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2005年トップリーグ

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2005-6年トップリーグ

●入替戦


試合日程/結果

セコムラガッツ  31 九州電力(トップチャレンジ2第2位)  20
トップリーグ2005-2006 入替戦 開催地 秩父宮ラグビー場
開催日 2006年2月11日(土) キックオフ 14:00

新ライン不発、後半あわやも逆転で残留決めた!

大きな成長も、残された課題もすべてひっくるめて来季へ飛躍誓う

 あれは何だろう、見たこともない黒いかたまりが足音も立てず近づいてくる。ゆっくりと、少しずつ。だが、その姿ははっきりしない。すると、今度は背後から、何者かに心臓をつかまれ、左右にゆさゆさと揺さぶられる。やめろ、やめてくれ。声にならない声で叫ぶ。そこで、ふいに我に返る。夢、じゃない。記憶の中の何かが見せた心の原風景。
 重圧が、選手自身の心を苛んでいた。どれだけチームの勝利を確信しても、試合が近づくにつれ高まる緊張。今まで味わったことのない焦眉の急に、入替戦の真の厳しさを思い知らされる。
 負けてたまるか、強い気概に闘志がかき立てられる。だが、なんだこの胸騒ぎは──。
写真1:遊佐選手
写真2:鈴木貴選手
写真1:齊藤選手
 2月11日、遠からじ春を待つ日差しに包まれた東京・秩父宮ラグビー場。ここをホームゲームとする東日本のチームは数あれど、これほどホームと呼ぶに相応しいチームはないのではないか。ホームグラウンドは埼玉県狭山市だが、セコム本社ビルから秩父宮までは歩いてわずか10分。「キラーストリート」を一本越えるだけで、聖地へと足を運ぶことができる。
 決戦当日、本社ビル敷地内にある勝利の神様を奉った東郷神社の境内には、美しい白無垢をまとった花嫁の姿があった。なんとも縁起が良いではないか。午後2時キックオフ。純白の1stジャージーで登場したラガッツの選手たちには、悲壮感もなければ、目に微笑みを湛える者もいた。
 大丈夫だ、きっと。すべてうまくいく。趣きとこだわりをわがままに詰め込んだラガッツのラグビー。負けられない一戦にも探究心を怠らないチームは、入替戦を2006年度一発目のゲームと位置づけた。メンバー編成もトップリーグの頃とは大幅に入れ替えた。新たな試みはバックライン。従来のフラットなラインから、SOの立ち位置、そこから一人ひとりが深くワイドに広がって立つ。「前半、相手がディフェンスで前に出てくるだろうと読んでいた。そこを逆に利用して、深さをもって勝負していこうというプラン」(加藤尋久ヘッドコーチ)。
 スピードある鈴木貴士と艶島悠介を両翼に配置し、前半から積極的にボールを動かしたラガッツ。だが、パスが思うように繋がらない。展開するたびにミス、地面を転々とするルーズボール。なんとかキープするも大きく後退。さらに出足のいい相手のプレッシャーをまともに受け、接点で必要以上に人数を割く。「もう少し我慢すれば、走りこむスペースが見えてくるところで、待ちきれず詰めてしまった」(加藤ヘッドコーチ)。数的優位を作れぬままオープンに回してターンオーバー。前半6分、九州電力FB今村圭吾のトライ。まさか──先制を許した。
 とはいえ、自陣に入られたのはトライにつながった一度きり。風上に立ちキックを織り交ぜながら攻めれば、容易に敵陣に攻め入ることはできた。18分、相手ペナルティからラインアウトを選択、ラインアウト内でさらにオブストラクションのペナルティを受けると、もう一つ深くゴール前へ。モールを組むと一度ドライブし、満を持してオープンに展開。しかし、走りこんだ好調艶島がボールを放せない。やり直し。
 続く25分、今度はゴール前のチャンスにクイックで仕掛けると、最後は鈴木貴がディフェンス3人を抜き去りトライ。セレマイア・バイのゴール決まり7−5と逆転に成功する。
しかし、ホッとしたのもつかの間。2分後にはサインプレー一発で、再びゲームをひっくり返される。33分にはPGを追加され、8点のビハインド。「完全に自滅。いったい何をやってんだか・・」(FL渡邉庸介)。元ワラビーズ、ナイサン・グレイの本物。ベテラン吉上耕平のキレの良さ。嫌な汗が掌にまとわりつく。終了間際にも猛攻を見せる九州電力は幾度もライン際に迫りくる。ラガッツはかろうじてタッチに押し出しピンチを脱出、防戦一方のままで前半を終えた。
写真4:タアラ選手
写真5:仲野選手
 「あと40分しかない。さぁ、このまったりした空気を替えるのは誰だ?」。加藤ヘッドコーチの声に口々に反応する選手たち。「自分だよ、自分」(山賀敦之)、「誰も助けちゃくれない。一人ひとりでやるしかない」(生沼知裕)。
 対戦相手のスカウティングはトップキュシュウの終盤のゲームから行われていた。コカ・コーラウエストジャパンに勝って、リーグ優勝を決めたゲーム。逆に順位決定戦で同じくコーラに負けたゲーム。そしてチャレンジシリーズの2試合。「正直、強いイメージはなかった。グレイと川嵜(拓生)は要警戒。あと、チャレンジではSOが替わっていたので、瓜生(丈治)が戻ればラインはもっと動いてくるなと」(齊藤政美コーチ)。全てが計算通り。それでも、蓋を開けてみればこの有様だ。やはり一発勝負は怖ろしい。
 後半、ラガッツはNo8のスコット・カウチに代えて、トップリーグ最多トライゲッターのセネ・タアラを投入。そしてバイに代えてSOに仲野哲也を起用する。この試合最大のチャンスが訪れたのは15分。敵陣ゴール前で、相手の生命線・グレイが故意のペナルティでシンビンとなる。一番ゲームの本質を理解しているはずの世界的プレーヤーが、勝敗を左右するこの局面でまさかの退場劇。そういえば、日本選手権で早大に敗れたトヨタ自動車のトロイ・フラベルにも同じことが云えないか。あれほどの選手でさえも、競技にのめりこむと熱くなり、自我を喪失してしまうのだろうか。
 大黒柱を欠いた九州電力はラガッツの猛攻を防ぎきれない。直後のプレーで、今度は前半からラックで寝るプレーが目に付いたLO吉上がこれまたシンビン。このプレーでラガッツは認定トライを与えられ1点差に迫ると、フィールドに13人しかいなくなった相手に畳み掛け、一気に勝負を決めにかかる。
 後半23分、仲野の突破からCTB遊佐和彦が抜け、タアラがトライを奪って逆転すると、30分にもタアラが連続トライ。とどめは38分、途中出場のPR石塚陽介。これで勝負あり。苦しんだ末、入替戦の勝利をもぎ取って、来シーズンのトップリーグ残留切符を手にした。
 瓦解せんとする仲間に声をかけ、全試合力強いプレーでチームを引っ張った小池主将。その表情からは安堵の色も、心からの笑顔も読み取ることはできなかった。「トップリーグでもう一歩のところまで来た。この積み重ねに新たなチャレンジを加えて勝てるチームを作りたい」。
写真6:応援団
 心は、既に走り出している。「今日は戦う気持ちが整理できてなかった。口では圧倒って云いながら、ゲーム中にみんなの意識がぶれた。どうしたって負けるわけにはいかないけど、勝っても悔しい。もう、こんなところに出てちゃいけない」(鈴木貴)。
 過去3シーズン、昇格組はすべて自動降格か入替戦の憂き目に遭った。序盤にひたすら上位陣との対戦が続く巡り合わせも言い訳にはならない。「本気で日本一を狙うなら、格上に6対4の準備ではダメ。楕円球の不規則な転がりや、きわどいレフリングや、それら全てを凌駕する力をつけてねじ伏せなければ、このリーグで上には行けない」(黒岩純コーチ)。
 セコムラガッツ、来季もトップリーグで。これからも、何度でも、I'LL BE BACK──。
【文責=小谷たけし】
セコムラガッツ   九州電力
前半 後半 得点 前半 後半
1 4 T 2 1
1 2 G 1 0
0 0 PG 1 0
0 0 DG 0 0
7 24 15 5
31 合計 20
10 反則 19
セコムラガッツ アキ 九州電力
トライ ゴール ペナルティゴール ドロップゴール プレーヤー ノート ポジション トライ ゴール ペナルティゴール ドロップゴール プレーヤー ノート
    山賀 敦之  (PR)     中村 嘉宏 
    上野 進  (HO)     谷口 大督 
    竹内 基詔  (PR)     リック ティレル 
    生沼 知裕  (LO)     吉上 耕平後17分シンビン
    鈴木 学  (LO)     端迫 雅俊 
    齊藤 泰裕  (FL)     進藤 猛 
    渡邉 庸介  (FL)     川嵜 拓生 
    スコット カウチ  (NO8)     山本 英児 
    小池 善行  (SH)     村上 龍寛 
    セレマイア バイ1/1 10(SO)     瓜生 丈治 
    鈴木 貴士前25分 11(WTB)     前田 健介 
    遊佐 和彦  12(CTB)     ナイサン グレイ前28分,後15分シンビン
    及川 英典  13(CTB)     吉岡 泰一1/3,1/1
    艶島 悠介  14(WTB)     吉永 将宏 
    長井 達哉  15(FB)     今村 圭吾前6,後43分
    安藤 敬介  16(R)     荒川 淳 
    千巖 和彦  17(R)     田尻 亮 
    石塚 陽介後38分 18(R)     中園 浩樹 
    セネ タアラ後23,30分 19(R)     山元 宗一郎 
    堀越 健介  20(R)     松尾 匡祐 
    仲野 哲也2/4 21(R)     三輪 幸輔 
    ノーマン リガイリ  22(R)     山口 雄一 
    認定トライ後17分 -       
凡例
後半0分8.カウチ → 19.タアラ 交替 後半29分4.吉上 → 19.山元
後半12分6.齊藤 → 20.堀越 後半31分3.ティレル → 17.田尻
10.バイ → 21.仲野 後半37分14.吉永 → 22.山口
15.長井 → 22.リガイリ 後半40分9.村上 → 20.松尾
後半18分1.山賀 → 17.千巖   
後半32分3.竹内 → 18.石塚   
後半43分14.艶島 → 16.安藤   

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