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2005年トップリーグ

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2005-6年トップリーグ

●入替戦


試合日程/結果

セコムラガッツ  13 ワールドファイティングブル  18
トップリーグ 第1節 開催地 近鉄花園ラグビー場
開催日 2005年09月18日(日) キックオフ 13:00

旅立った仲間に贈るはずの白星、あと一歩届かず

リーグ降格因縁の相手に迫るも、終盤勝負どころのミスに泣く

写真1:遺影
 開幕戦前日の朝。澄み切った青空の下、狭山グラウンドでの最終練習を終えた選手たちに、加藤尋久ヘッドコーチの口から信じがたい事実が伝えられた。
 昨夏からガンとの闘病生活を続けてきたチームメートの生沼元が金曜の夜、26歳の生涯を閉じた。あまりにも早すぎる仲間の死。「なんであいつだけが逝かなあかんたっかんや」(FB長井達哉)。選手、スタッフは深い悲しみを胸に押し込めながら、精いっぱいの気力を振り絞り、開幕戦が行われる大阪へと向かった。
写真2:黙祷
 2年ぶりに帰ってきたトップリーグの舞台。初戦の相手はワールドファイティングブル。思えば2年前、最終戦でリーグ降格を決められた因縁の相手だ。リーグ初年度は5位と躍進し、実力を見せ付けたワールドだが、昨季は9位と沈み屈辱の入替戦を経験した。そんなシーズンを振り返り、舛尾敬一郎主将は繰り返し「地獄」と表現する。「地獄を見たシーズンだった。もうあんな経験は二度としたくない」──。
 入替戦が地獄、なればラガッツはどうだろう。まさしく地獄に落ち、旅してきた1年であった。トップイースト10を全勝で勝ち上がり、実際に体をぶつけ対戦することのできないトップリーグの相手をイメージしながら、じっくりチームを強化してきた。「本当の地獄がどんなものか、思い知らせてやる」(FL渡邉庸介)。
 試合前、ラガッツのロッカールームには生沼元の遺影が飾られた。ジャージーの肩口には喪章、選手たちの左手には黒いテーピングが巻かれ、生前の背番号である「5」の文字が記されていた。「グラウンドで一緒に戦ってこよう」。選手たちの目には光るものがあった。
写真3:渡邉選手
 午後2時キックオフ。序盤はワールドの圧力に耐える展開。LO真羽闘力、FLジョージ・スタワーズらが容赦なくタテを突き、ラガッツのゴールへ襲い掛かってくる。前半9分、モールからNo.8田中正純に押し込まれ、先制を許すとその後も1T1PGを追加され、15点のリードを奪われる。
 それでも負けられない戦いに悲壮の覚悟で挑むラガッツは、ゴールラインを背負いながら決死のディフェンスでその後の得点を許さない。スクラムで再三ペナルティを取られ、劣勢に立たされたFW陣も「苦しいこと、辛いことがあったら、テーピングを見よう。おいぬ(生沼元)のことを思い出そう」(No.8セネ・タアラ)。
 選手は合言葉のように「おいぬ、おいぬ」と声を掛け合い、前へと出続けた。前半終了間際にSO仲野哲也がPGを決め、反撃態勢に入ったところでゲームは折り返し地点に到達する。
写真4:リガイリ選手
スペース写真5:仲野選手
 後半に入ると、俄然勢いの出てきたラガッツは、持ち味のボールをダイナミックに動かすラグビーで流れをつかむ。バックスからの素早い仕掛け、その切り札はFBノーマン・リガイリ。トリッキーな走りと状況に応じた背後へのキック。リガイリにボールを集めてチャンスを作ると14分、ゴール前でそのリガイリがボールを持って加速。3人にタックルを受けながら外のスペースへふわっとした優しいパス。走りこんだWTB及川英典が相手を引きずりながら、豪快にインゴールへ飛び込んだ。
 待望の初トライ。仲野が難しい位置からのゴールを決め、点差は5点と縮まる。この日気温30.2度を記録したピッチ上では、ワールドの選手の足が次々に止まっていき、不用意なペナルティを繰り返すだけ。「もう相手はこっちの動きについてこれない」(及川)。32分には仲野のPGで、ついにその差2点と迫る。そして、36分。ラガッツの畳み掛ける攻撃に、ワールドは堪らずペナルティ。敵陣10mラインから内側に入った位置、小池善行主将は迷わずゴールを指さした。
 キッカーは、ここまですべてのゴールを決めている仲野。落ち着いてボールをセットすると呼吸を整えモーションに入る。逆転の夢を乗せて蹴り上げたボールは、無情にもわずかに右へ逸れた。
 「まだ時間はあるぞ。攻め続けろ」。ベンチからも大きな声が飛ぶ。ロスタイムは4分。ゲームを切らさず、逆転を信じて必死の攻撃を続ける。しかし、肝心の時間帯で痛恨のミスが相次いだ。攻撃の起点となるラインアウトでマイボールが確保できない。逆にPGを追加され点差は5点に。
 刻一刻となくなっていく時間。「一番、冷静でいなければいけない時間に、気持ちがはやってしまった」(小池主将)。そして、ノーサイドの笛が敗戦を告げた。
写真6:岡本選手
 「勝たなきゃいけないゲームだった」。逆転のPGを外した仲野。生沼元の大学の先輩だった。責任を感じ、天を仰いで涙した。だが、ラグビーというスポーツ。この黒星は到底一人の責任ではない。「今日は勝ちゲーム、勝てたゲームだった。こういう可能性のある試合を勝っていくことで、僕たちは変わっていかなればならない。勝利することで初めて、まずかったプレーを反省して、もっと成長することができる」(加藤ヘッドコーチ)。
 初戦13−18、勝ち点1。亡きチームメートへの白星は、次節以降へ持ち越しとなった。「結果は残念だった。でもみんなよくがんばった。はじめ(生沼元)と一緒にグラウンドで戦えたと思うから、胸を張って報告にいこう。」(加藤ヘッドコーチ)。試合後、チームは新幹線で帰京し、都内にある生沼元の実家へ向かい、静かに眠る本人と対面を果たした。
 「やりますから。みんなでがんばっていきますから。見ていてください」。生沼元と仲の良かった同期入社の小池主将。父・真微さん、妻・麻里さんの前で力強く誓った。セコムラガッツの忘れられないシーズンが始まった。
【文責=小谷たけし】
※ 生沼元選手の追悼記事は、後日ウェッブサイトに掲載します。
セコムラガッツ   ワールドファイティングブル
前半 後半 得点 前半 後半
0 1 T 2 0
0 1 G 1 0
1 1 PG 1 1
0 0 DG 0 0
3 10 15 3
13 合計 18
13 反則 15
セコムラガッツ アキ ワールドファイティングブル
トライ ゴール ペナルティゴール ドロップゴール プレーヤー ノート ポジション トライ ゴール ペナルティゴール ドロップゴール プレーヤー ノート
    山賀 敦之  (PR)     前川 賢司 
    安藤 敬介  (HO)     本多 貴 
    竹内 基詔  (PR)     藤本 護 
    澤口 高正  (LO)     真羽 闘力 
    丸山 隆正  (LO)     マット コベーン 
    渡邉 庸介  (FL)     ジョージ スタワーズ 
    岡本 信児  (FL)     舛尾 敬一郎 
    セネ タアラ  (NO8)     田中 正純前9分
    小池 善行  (SH)     中山 浩司 
    仲野 哲也1/1,2/3 10(SO)     由良 康美 
    正木 健介  11(WTB)     沼田 邦光 
    艶島 悠介  12(CTB)     大西 将太郎1/2, 2/2
    今井 通  13(CTB)     中矢 健 
    及川 英典後14分 14(WTB)     大向 将也 
    ノーマン リガイリ  15(FB)     四宮 洋平前22分
    上野 進  16(R)     安田 昇 
    千巖 和彦  17(R)     小倉 正隆 
    小松 元気  18(R)     大西 亮 
    脇屋 洋一  19(R)     イフェレイミ ラワンガ 
    大野 達也  20(R)     岡 孝次 
    セレマイア バイ  21(R)     ウィ ウオ 
    長井 達哉  22(R)     南 繁治 
凡例
後半17分2.安藤 → 16.上野 交替 後半11分2.本多 → 16.安田
後半29分12.艶島 → 21.バイ 3.藤本 → 17.小倉
15.リガイリ → 22.長井 4.真羽 → 18.大西
後半44分11.正木 → 20.大野 後半19分5.コベーン → 19.ラワンガ
   7.舛尾 → 22.南
   後半47分16.安田 → 2.本多

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