防犯 2013年08月14日

第136回 【インタビュー】気づかぬうちに被害者に・・・警視庁に聞く、盗撮の現状と対策

残暑お見舞い申し上げます。立秋を過ぎたというのに、毎日「暑い」という言葉しか出てきません。ただ、今週は、お盆ということもあり、夏休みの人も多いのか、通勤電車はいつもより少しばかりすいているのは、ちょっぴりうれしいです。
若者がにぎわう私たちのオフィス周辺は、夏休みを満喫する人でいっぱい。お昼休みに外出すると羨ましくもありますが、たくさんの人がお休みの時に働いているから、シーズンオフにお休みがとれるのだ!と自分に言い聞かせながら、今日も仕事に励んでいます。勤務中の皆さま、いっしょに頑張りましょうね。

2013.8.14更新

盗撮は、女性がターゲットになることが多い犯罪のひとつ。被害に遭った本人が気づかないことがあるばかりか、ネットに流出してしまうと完全に消去することができないと言っても過言ではありません。では、どのようにすれば盗撮被害を遠ざけることができるのでしょうか。盗撮の傾向とその対策について、警視庁生活安全部生活安全総務課の髙橋邦子警部・生活安全対策第三係長と同部の國嵜祐子警部補に伺いました。

お二人のご紹介
写真:(右)髙橋邦子警部 (左)國嵜祐子警部補

警視庁生活安全部生活安全総務課の
髙橋邦子警部・生活安全対策第三係長(右)

警視庁生活安全部生活安全総務課生活安全対策第三係の
國嵜祐子警部補(左)

増加傾向にある盗撮

Q
盗撮に不安を感じる女性は少なくありません。盗撮の傾向について教えてください。
A
髙橋警部:盗撮は首都圏で多く発生しています。盗撮は、痴漢や強制わいせつと同じで、人が多くて混雑している場所で多く発生しています。盗撮は、迷惑防止条例で取り締まりの対象になるれっきとした犯罪です。条文のなかには、公共の場で、通常の衣服で隠されている部分を撮影することが盗撮であると、はっきり明記されています。
また、公衆トイレや公衆浴場、公衆が使用できる更衣室などに盗撮目的でカメラを設置するだけでも罰せられます。
つまり、通常の衣服で隠されている部分を撮影しようとする行為自体が条例の対象なのです。
東京都内において、痴漢の犯罪認知件数が横ばいなのに対し、盗撮は増加傾向にあります。
スマートフォンの普及や、撮影機器の性能の向上もあり、一般の人でも撮りやすくなったのも、盗撮行為の増加につながっていると思います。
女性の視点で盗撮の現状を教えてくださった髙橋警部(左)と國嵜警部補(右)

女性の視点で盗撮の現状を教えてくださった髙橋警部(左)と國嵜警部補(右)

Q
盗撮被害に遭いやすい場所はありますか。また、その手口はどのようなものですか?
A
國嵜警部補:東京都内の統計になりますが、やはり駅構内が一番多く、4割強を占めています。駅のプラットホームや階段、エスカレーターなどで、後ろから盗撮する手口が多いです。次に多いのが、店内です。
たとえばセールなどに夢中になっていると、前に気をとられるため、後ろから狙われやすくなります。次いで、混雑時の電車内です。
つまり、階段のように上下差があったり、後ろに回りやすい場所などでは、盗撮される可能性があることが分かります。
最近は、スマートフォンなどで撮影するときに、シャッター音を出さずに撮影できたり、撮影画像した画像をスマートフォン本体に残さずにサーバーにアップするといったアプリが悪用されることもあるようなので注意が必要です。
また、画像だけでなく、動画で撮影されるケースもあります。たとえば、エスカレーターで女性の後ろにつき、スマートフォンを見ているかのように装い、動画撮影するのです。
Q
公共のトイレなどでも盗撮される恐れがあると聞いたことがあるのですが・・・・。
A
髙橋警部:どのような場所であっても不安なときは、確認したほうがいいですね。特に、必要もないのにトイレの個室のなかに紙袋が置いてあったり、不審な穴が開いていたりすると注意したほうがいいですね。

盗撮被害に遭わないようにするには

Q
被害に遭っていることすら気付かないこともあるなんて怖いですね。何かできる対策はあるのでしょうか?
A
髙橋警部:一番は、周囲に気を配ることです。屋外などでイヤフォンを使用している人が多いですが、これは盗撮のみならず、痴漢にも気づきにくくなります。
そして、後ろを振り返ることも大切なんですよ。犯罪者は顔を見られることを嫌がるので、何気なく振り返るだけでも抑止力になります
あとは、やはり服装にも注意してほしいですが、女性にとってファッションは楽しみでもあります。ミニスカートの時は特に、注意を払うようにしてくださいね。

万が一、盗撮被害に遭ってしまったら

Q
万が一被害に遭ってしまった場合や、被害現場に遭遇した場合は、どのようにすればいいのでしょうか。
A
國嵜警部補:被害に遭ってしまった場合、痴漢に遭ったときと同じように大声を出して、周りに協力を求め、現行犯逮捕する(してもらう)ことが重要です。示談など自分で判断せず、警察に通報してください。また、盗撮されている被害者は気づかないことが多いので、被害現場を見かけたときは教えてあげるようにしましょう。
また、最終的にはインターネット上に画像などが出回らないよう、画像などを消去してもらうなどの措置が重要となります。一度画像がネット上に出てしまうと、いくらデータを削除しても、誰かがその画像を持っていれば何度でもネット上に公開され、完全に消去することは難しくなります。その場の画像を消去するだけでなく、警察で調べてもらうようにしましょう。
Q
最後に、読者の女性の皆さんにメッセージをお願いします。
A
髙橋警部:普段からしっかり対策をすることはもちろんですが、万が一被害に遭ったときは泣き寝入りせず、警察に相談してください。女性みんなで犯罪を遠ざけていきましょう
國嵜警部補:ちょっとした不注意などから被害に遭うこともあります。音楽を聴いたり、スマートフォンを操作しながら歩いたり、注意散漫になることは避けましょう
盗撮の現状、そしてその対策について、髙橋警部、國嵜警部補には同じ女性という視点からも私たちが気をつけるべきことを分かりやすくお話ししていただき、改めて防犯意識を持つことの大切さを実感しました。
「防犯女子」として、毅然とした態度で「安全・安心」の毎日を過ごしたいですね。
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