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シニアのためのランニング講座

 このページでは、オリンピアンや長距離競技の専門家に監修をいただき、これからランニングを始めようと思っている人から、ランニング初心者、さらにはレースに挑戦するランナーにとってランニングを「安全・安心・快適・健康」に楽しむために役立つ情報を、毎月1回お届けします。

前河 洋一(まえかわ よういち)

【プロフィール】国際武道大学教授 日本陸連普及育成委員会ランニング普及部長
筑波大学大学院修了、日本陸連公認上級コーチ、国際陸連レベル1公認コーチ、健康運動指導士。筑波大学時代に箱根駅伝(5区)出場。訳書は「アドバンスト・マラソントレーニング」と「ダニエルズのランニング・フォーミュラ」(ともにベースボール・マガジン社)、著書「ありそうでなかったマラソンの教科書(ランナーズ)」など。マラソンベストは2時間19分34秒。
 第6回 「夏の体力づくり」

 リオデジャネイロ・オリンピックの開幕まであとわずか、スポーツに関する報道や話題も増えてきました。この夏、どの様なドラマが待ち受けているのか?オリンピックへの関心もヒートアップする時期は、梅雨明けを迎えるタイミングでもあります。すでに国内では猛暑日を記録するなど、身体へのダメージも大きくなりますが、梅雨明け前後は湿度も高く、体調管理には一層の注意が必要です。しかも、暑さへの適応が不十分で熱中症のリスクも高まっています。

夏のトレーニング

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 夏の期間はマラソンなどの長距離(長時間)ランニングには不向きなシーズンと言えますが、秋以降の大会エントリーはすでに始まっており、目標を見据えてトレーニングに取り組みたいところです。7~8月は外気温が30℃を超えることも珍しくないので、日中の長時間ランニングはおすすめできません。直射日光を避けて短時間で切り上げるか、少しでも気温が低い早朝や夕方の時間帯を活用するなどの工夫が必要です。
 企業や大学の駅伝チームは、"夏合宿"と称して高原や避暑地、過ごしやすい北海道などに出かけてじっくり走り込む(長い距離を走る)のが恒例となっています。最近では市民ランナーのグループでも、長野県の菅平などに遠征して短期合宿(2泊3日程度)を企画するなど、工夫を凝らしているようです。合宿のメリットは、環境を変えることで気分転換ができ、短期集中トレーニングで普段できないようなスケジュールをこなせることです。加えて、仲間との交流や情報交換、新たな発見および学びに出会えることもあります。短期間で自身のバージョンアップにつながるきっかけやヒントが盛りだくさんと言えるでしょう。

欲張らずに量より質を重視

 合宿などではトレーニングの量的な確保を優先しますが、夏を快適に乗り切るためには、詰め込みすぎるのは禁物です。高温多湿環境ではむしろ2~3割程度、量(距離)を減らすイメージで、疲労が蓄積しないように体調管理を優先すべきです。距離を短くすればペースアップができますので、100~200mの距離を快適なスピードで、休息を挟んで繰り返すような"ウインドスプリント"を実施すれば、効率の良い滑らかなフォームの習得にも効果的です。直線の場所があれば、短時間で10回くらい往復することによって持久力の向上にもつながります。また適度な起伏や坂道があれば、心肺機能と脚筋力にも刺激が加わり、ランニングフォームの改善も期待できます。コース設定にもよりますが、距離や繰り返し(往復の)回数、一回ごとの休憩時間などを能力に応じてアレンジすれば、持久力トレーニングの代表格である"インターバルトレーニング"になります。

体力を構成する要素

 学校で習った"体力"とは、行動体力と防衛体力に分類され、一般的には行動体力を運動能力と捉えています。その行動体力には筋力・持久力・柔軟性・瞬発力・敏捷性・巧緻性・平衡性などの要素が含まれます。一方、防衛体力とは環境への適応能力や免疫力、ストレスへの抵抗力、体温調節力、意欲や判断力など、日常生活における積極的な活動をするための総合力で構成されています。皆さんが各々、自分の長所と短所を認識して健康的な生活を送れるように、また、心身のバランスを保ちながら積極的に活動を続けられるように、体力の向上を目指しましょう。

弱点を補うトレーニング

 人には必ず利き手や利き足がありますが、左右差が大きいと身体のバランスが崩れます。ランニングで同じ部位ばかり痛くなるとか、スポーツで特定の関節や筋肉だけが疲労したり、片方だけ肩が凝るなどの症状が出る場合には、左右のアンバランスや不均衡が考えられます。元来、全くの左右均等を保てる人は少数派ですが、左右差は小さい方が良いので、弱い部分を強化してバランスを整えることを意識して下さい。その主要項目は、筋力と柔軟性です。そこでストレッチや筋トレを行う際に、まずは左右のバランスを意識しながら、弱い部分を鍛えましょう。

例えば、スクワットを例にすると~

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①自分の姿勢を鏡に映しながら、両膝を曲げて腰を落とす(スクワット)動作を7~8回繰り返す。その際に、左右の肩が水平位置を保てているか?をチェックしてみる。少しでもどちらかに傾いていれば、バランスが崩れていると判断する。
②片脚立ちの姿勢から膝を90度くらい(ほぼ直角)に曲げる動作(=片脚スクワット)を4~5回繰り返す。左右それぞれ同じように行ってみる。その際に、"膝を曲げて上体を支える時"、"膝を伸ばして片脚断ち姿勢に戻す時"、それぞれが左右均等にできればOK。左右差を感じる場合には、弱い側を鍛えるために、両脚でのスクワットにプラスして弱いと思われる側の脚で片脚スクワットを加える。

 ストレッチを行う際も、左右それぞれの柔軟性をチェックしながら実施することによって、バランスを意識できるでしょう。

第6回 RUNポイント
  • 夏のトレーニングでは疲労が蓄積しないよう体調管理を優先しましょう。
  • 筋力、柔軟性は左右のバランスが大切です。バランスを意識して弱い部分を鍛えるトレーニングを!



第6回 「夏の体力づくり」