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シニアのためのランニング講座

 このページでは、オリンピアンや長距離競技の専門家に監修をいただき、これからランニングを始めようと思っている人から、ランニング初心者、さらにはレースに挑戦するランナーにとってランニングを「安全・安心・快適・健康」に楽しむために役立つ情報を、毎月1回お届けします。

前河 洋一(まえかわ よういち)

【プロフィール】国際武道大学教授 日本陸連普及育成委員会ランニング普及部長
筑波大学大学院修了、日本陸連公認上級コーチ、国際陸連レベル1公認コーチ、健康運動指導士。筑波大学時代に箱根駅伝(5区)出場。訳書は「アドバンスト・マラソントレーニング」と「ダニエルズのランニング・フォーミュラ」(ともにベースボール・マガジン社)、著書「ありそうでなかったマラソンの教科書(ランナーズ)」など。マラソンベストは2時間19分34秒。
 第5回「新たなシーズンの前に理論を学ぼう」

 全国各地から桜の便りが届き、約1カ月かけて桜前線が北上する爽やかな季節を迎えました。寒暖の差が大きいので、体調管理には引き続き注意が必要ですが、ランニングには最適のシーズンです。
 さて、注目を集めたオリンピックの選考レースが終了して、リオデジャネイロで闘う日本代表選手が決まりました。同時に、国内のマラソンシーズンも一段落して、4月には"長野"や"かすみがうら"のレースはありますが、職場と同様、新年度に向けて気持ちを新たにスタートする時期です。
 2016年度の目標は?と、年間計画を立てるにあたって、まずは体調を整えて心身の準備を!そして、この時期にこそ、理論を学んでカラダの仕組みとトレーニングについて理解を深めましょう。不安を取り除き、ミスを防いで安全安心なランニングライフを楽しめるように、リセットするチャンスでもあります。ところが、さあ、走りましょう!と言われても、または、走ろう!と思い立ったとしても、
 いつ走れば良いのか?
 どのくらい走れば良いのか?
 どの様に走れば良いのか?
 何を食べれば良いのか?
 どんなシューズを履けば良いのか?
 体調管理の方法は?
等々と、疑問は尽きません。さらには生活環境や体力レベル、体格なども個人差が大きく、自分に最も適した方法を模索し、判断して決定することは容易ではありません。

トレーニングの構成要素

 スポーツトレーニングには次に挙げる5つの内容が含まれており、これらがバランス良く身につくことによって成果が上がると言われています。その5つとは「体力」「技術」「戦術」「意志」「理論」です。これらの総合力が走るための能力を決定づけます。

マラソンにおけるトレーニングの構成

体力:持久力(スタミナ)、筋力、柔軟性、身体組成(体脂肪率)
技術:効率の良いランニングフォーム、状況に応じた走り方
戦術:ペース配分、コースの攻略、競走相手との駆け引き、ウエア・シューズ選び
意志:やる気やモチベーション、忍耐力、集中力、我慢強さ、生きがい
理論:カラダの仕組み、トレーニング方法、歴史、哲学

 一般的には体力や技術を高めるのがトレーニングの目的ですが、闘うためには戦術や心を磨かなければなりません。そしてそれら全ての根底をなすのが「理論」です。つまり、頭で理解して実践に繋げることが重要で、目的意識を持って学ぼうとする姿勢が求められています。中でもランニングは、自らの意志で自分のカラダをコントロールする身体活動(スポーツ)です。
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 そこで、新たなシーズンに向けた準備をするに当たり、この時期に理論を学んでおくことをお薦めします。ランニングの月刊誌やHow to本は数多く出版されていますが、経験論がその中心をなしていて、基本的な理論がおろそかになっているケースも少なくありません。ランニングに直結する学問としては、運動生理学や栄養学、解剖学、バイオメカニクス、スポーツ医学や心理学などですが、関連分野に基づく正しい理論が生かされていないために、せっかくのトレーニングが実を結ばない事態を生じます。正しい理論とは特殊な例ではなく、普遍的に誰もが活用できる安全で安心な道標です。少しずつでも進歩してバージョンアップするためにも、人間の身体について理解する"自分自身を知る"ことが大切だと言えるでしょう。
 人間の身体は、外からの刺激に対して反応(時には抵抗)または適応します。例えばランニングにおいても、短いスタートダッシュを繰り返し練習すると瞬発力が高まりますが、長い距離をゆっくり走り続ければ持久力が向上します。しかも外見の変化(パワー系はガッチリ、持久系はスリム)だけではなく、身体の内部や機能面でも変化が起きています。つまり、ある特定の運動に対して、それにふさわしい反応が起こり、より効率良く運動ができるように適応します。この現象がトレーニング効果であり、目的に合わないトレーニング(ランニング)を続けることは、身体にも悪影響を及ぼします。従って、カラダの仕組みとトレーニング理論を学ぶことは、全てのスポーツに共通する大原則なのです。

 世界的にも知られた「ダニエルズのランニング・フォーミュラ」(ベースボール・マガジン社)最新版が発売となりました。
世界のトップランナーを育てた基本理論ですが、マラソン完走を目指そうとする初心者から、レベルアップを試みるランナーまで、幅広く親しまれています。ランニングとカラダの仕組みを理解する上でも、大いに参考になると思います。

第5回 RUNポイント
  • スポーツトレーニングは5つの要素のバランスが重要!
  • トレーニングの第一歩は自分自身の身体を知ること!



第5回 「新たなシーズンの前に理論を学ぼう」