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シニアのためのランニング講座

 このページでは、オリンピアンや長距離競技の専門家に監修をいただき、これからランニングを始めようと思っている人から、ランニング初心者、さらにはレースに挑戦するランナーにとってランニングを「安全・安心・快適・健康」に楽しむために役立つ情報を、毎月1回お届けします。

前河 洋一(まえかわ よういち)

【プロフィール】国際武道大学教授 日本陸連普及育成委員会ランニング普及部長
筑波大学大学院修了、日本陸連公認上級コーチ、国際陸連レベル1公認コーチ、健康運動指導士。筑波大学時代に箱根駅伝(5区)出場。訳書は「アドバンスト・マラソントレーニング」と「ダニエルズのランニング・フォーミュラ」(ともにベースボール・マガジン社)、著書「ありそうでなかったマラソンの教科書(ランナーズ)」など。マラソンベストは2時間19分34秒。
 第3回 「ランニングの特性と基本」

 一年のうちで最も寒い時期を迎え、外出するのもためらいがちですが、マラソンランナーは夏も冬も季節を問わずトレーニングしています。また、寒い冬の季節でもレースが行われ、2月と言えば"東京マラソン"の開催月にあたります。市民ランナーの皆さんには、体調管理を心掛けてランニングに親しんでいただきたいので、無理のない範囲でランニングを継続して下さい。季節に応じた過ごし方と健康づくりが最優先です。
 年末から年始にかけての高校駅伝(京都)、ニューイヤー駅伝(群馬)、箱根駅伝、さらにその後の都道府県対抗女子駅伝(京都)と男子駅伝(広島)の順で、国内の主要な駅伝が開催され、駅伝シーズンが一段落しました。テレビに釘付けになったり、沿道に出て応援された方もいらっしゃるのではないでしょうか。特に1987年に日本テレビが中継を始めた箱根駅伝のテレビ視聴率は、毎年28%前後の驚異的な数字をたたき出し、その人気ぶりがうかがえます。私が箱根駅伝(5区)を走った頃はテレビ中継がなかったので、NHKラジオで放送されていました。
 国内のマラソンシーズンとしては、この後も東京マラソンを含めたオリンピックの選考レースが続きます。いずれもテレビ中継されますので、選手の熾烈な代表争いとともに、ランニング フォームやペース配分、ランナーの特徴などにも注目して、イメージトレーニングに活用してみてはいかがでしょう。

ランニングフォームの基本

1)歩幅と衝撃

 通常の歩行では、一歩の歩幅は身長の0.4倍前後だと思われますが、速歩(エクササイズのウォーキング)になると0.5倍くらい。接地時の衝撃も速度を上げると大きくなり、速歩の場合には体重の1.5倍前後の衝撃を受けると言われています。衝撃を受け止めるのはシューズのソール部分、足関節や下肢の筋肉、そして膝関節や太ももの前側です。上り坂や階段では、筋肉や関節にも大きな力が加わりますが、衝撃(ダメージ)は下り坂の方が大きくなります。
 同じようにランニングでは、個人差もありますが、ゆっくり走る時の1歩の歩幅(ストライド)は身長の0.6~0.7倍、ペースを上げた時には0.8~0.9倍。一流のマラソンランナーは身長とほぼ同じ(0.9~1.0倍)歩幅でレースを走り、100mを10秒前後で走る短距離ランナーは、身長の1.3倍前後の歩幅(1歩が2m50cm前後)で駆け抜けます。ランニング時に地面から受ける衝撃は、速度によっても異なりますが、ペースが遅いジョギングなどでは体重の1.5~2倍、マラソンレースなどでは2.5倍前後、短距離走では4倍程度と推定されます。つまり、速度が上がればダメージも大きくなるのです。

2)ピッチとストライド

 また、マラソンレース中のピッチ(1分当たりの歩数:脚の回転数)は190歩前後ですが、一般のランナーが軽快に走るためには170~180歩(1分間当たり)が一つの目安となるでしょう。疲れにくい経済的な走法としては、ストライドを欲張らずにピッチを上げること(ピッチ走法)が基本で、距離が短くなるにつれてペースは速くなりますので、その対応策としてピッチを減らさずにストライドを大きくすることが求められます。この動作を滑らかにかつスムーズにできれば、スピードへの対応もできるのです。
 ランニングスピードは、ピッチとストライドの組み合わせ(かけ算=積)で決まることから、軽快なピッチと適正なストライドを身につけることが、ランニングフォームを安定させるための必須課題となります。

3)重心の安定

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 フォームの全体像に影響を及ぼすのが、ランニング中の目線や腰の位置です。視線を落とさずに進行方向(前方)斜め下の走路を見るようにします。腰を引かずにほぼ直立の姿勢ですが、ほんのわずかに上体が前傾するイメージを描いて下さい。
 ランニングは自分の体重を目的方向に移動させる作業ですので、上下や左右に身体がぶれてしまうのはエネルギーの無駄遣い(燃費が悪い)となり、疲労を招きます。腰の位置(重心と見なす)をなるべく安定させるように心掛け、脚を前方に置くイメージで素早く振り出します。肘を曲げて腕を前後に振るのは、脚の素早い動きを引き出すと同時に、軽快なリズムを刻むためにも重要です。特に、脚の動きが鈍ってきた時などは、腕振りを意識してリズムをとるように心掛けて下さい。
 推進力を得ようとして地面を後方へ蹴り出すのは、マイナス要因が大きくなります。前方への振り出しが遅れること、重心の上下動が大きくなること、ふくらはぎの筋肉がダメージを受けることなどです。従って、足首を使って蹴るのではなく、脚を素早く前方へ振り戻すことを意識した方が良いでしょう。無駄のないスムーズな体重移動を理想とします。

4)ランニング障害の予防

 ランニングでは接地時に足首や膝関節に大きな衝撃が加わります。障害予防の観点では、衝撃を小さくすることと衝撃を分散したり上手に受け止めること、さらには衝撃に耐えるフォームと筋力や柔軟性を向上させることが課題となります。仮に小さな衝撃であっても、繰り返しダメージを受けると、関節や筋肉に炎症を起こします。
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 正しいフォームで走っていればリスクは小さいのですが、接地時の関節の捻れやゆがみはランニング障害につながる可能性が高く、筋力や柔軟性の向上とともに、フォームの改善が障害予防にも重要です。加えて、ストレッチングやアイシング(走った後に膝や足首を冷やす)などの身体ケアを習慣づけて下さい。

第3回 RUNポイント
  • ジョギング時に地面から筋肉や関節に受ける衝撃は体重の約2倍!
    正しいランニングフォームを身につけることが長続きの秘訣です。
  • 走る前のストレッチ、走った後のアイシングを忘れずに!



第3回 「ランニングの特性と基本」