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第20回
2016/07/12

海外に誇れる日本の街

倉敷 町並み保存のモデルケースを歩く(後編)

倉敷は日本の美しさを凝縮したような街だ。流行に流されず、質素でいながら輝いている。そんな倉敷を代表するのが「町並み保存のモデルケース」と言われる美観地区。今回はジーンズの産地・児島地区もあわせて訪ねてみた。

すがすがしい気風

倉敷アイビースクエア
倉敷アイビースクエア
 美観地区から「倉敷アイビースクエア」までは狭い通りに土産物店が連なる通りを歩く。
 アイビースクエアは、もとは1889(明治22)年に建設された倉敷紡績の工場で、その前、江戸時代には倉敷代官所があった場所でもある。今は、ホテル、倉紡記念館、オルゴールミュゼ、児島虎次郎記念館などの施設に使われているが、随所に工場だった頃の面影が残っていて、経済産業省の「近代産業遺産」にも指定されている。
 アイビースクエアの名前の由来になっている、赤煉瓦を這うツタは、美観を考えたのだとばかり思っていたら、工場内を夏涼しく、冬暖かくするために植えられたと聞いて驚いた。労働環境を考える経営者が明治時代にもいたとは思ってもみなかった。倉紡のことをもっと知りたくなって、倉紡記念館を見学することに。
 記念館で倉敷の歴史や倉敷紡績の歴史を辿り、昔の映像などを見ていると、倉敷の街と倉敷紡績や大原家との結びつきの強さがわかってきた。これは、企業城下町というようなものではなく、ひとつの文化なのだ。町並みを守るという意識も、そうした独自の文化の中から醸成されてきた可能性が高いのではないか。その文化を築いたルーツは明治ではなく江戸時代の倉敷のことも知らないといけない。
 そう考えて、近くの大橋家住宅に行ってみることにした。江戸時代に水田・塩田開発で財をなした大地主・大橋家の邸宅で、建設は1796(寛政8)年。国指定の重要文化財である。
 入館料を払ってさっさと中に入ろうとしたら、まず説明を聞いてからだという。長屋門がある通常の町家とは違った、武家の構造であることなどを聞く。こういうところもいいなあ。入ってもらうことではなく、知ってもらうことが目的なのだ。
 中に入ると、余計な贅をこらすのではなく、何よりも快適に暮らすことに主眼を置いた間取りがすがすがしい。
 大原孫三郎たちも同じように、ともに快適に暮らすという考え方から、企業と人が一体となった独特の街づくりをはじめたのだろう。

塩田王と国産ジーンズ発祥の地

ベティスミスジーンズミュージアム
ベティスミスジーンズミュージアム
 翌日は、倉敷の現代の特産品を訊ねて、児島地区に足を伸ばすことにした。駅前からバスに揺られておよそ40分。下之町というバス停(停車は朝夕のみ)を降りて「ベティスミスジーンズミュージアム」に向かう。児島は国産ジーンズ発祥の地なのである。
 江戸時代の児島は塩田で栄えた土地だが、干拓地では綿花栽培も盛んだった。綿は砂地や塩分の残る土地に向く作物だったのだ。そこから綿織物業が生まれ、帆布や学生服がつくられるように。しかし、化繊が主流になると需要は低迷し、新しいビジネス・チャンスを求めて始まったのがジーンズづくりだった。
高城染工場(ショップ)
高城染工場(ショップ)
 1964(昭和39)年に誕生した「BIGJOHN」ブランドが第1号。その後、さまざまなメーカーが生まれ、有名ブランドの本社も多い。ジーンズを仕事着からファッションに変えたのは、児島のジーンズメーカーだ、とも言われている。女性向けジーンズをはじめてつくった「ベティスミス」も児島が本社だ。
 ジーンズミュージアムでは、ジーンズの歴史や生産工程を知ることができるほか、体験工房では併設するアウトレットショップで買ったジーンズや持ち込みのジーンズ、またバッグなども自分でオリジナルに加工することもできる。
 また、すぐそばの藍染めの「高城染工場」では見学や体験を受け入れている。
野崎家旧宅
野崎家旧宅
 ジーンズのあとは、「塩田王」と呼ばれた野崎家の旧宅に足を向けた。金・土・日・祝には「児島ジーンズバス」が巡回しているのだが、あいにくこの日は平日。路線バスを中央病院前で降りて10分ほど歩く。
 野崎家旧宅は、大橋家同様に水田・塩田開発で財をなした野崎武左衞門が天保から嘉永にかけてつぎつぎに造営した大邸宅。野崎家は現在も、製塩大手のナイカイ塩業の経営にあたっている。
 南北に約42メートルの主屋をはじめ建物は広大だが、やはり飾り立てずに落ち着きがある。博物館登録された国の重要文化財だが、ドラマの撮影などでも旧家のロケ地として誓われているそうだ。
 ファッションと、博物館になった大邸宅。ここでも「文化」という言葉が浮かんでくる。
 倉敷には本物の文化がある。だから時代に流されず、落ち着くのだ。旅の終わりにつくづくそう感じた。


取材先
  • 【倉敷アイビースクエア】倉敷市本町7-2 TEL:086-422-0012
  • 【大橋家住宅】倉敷市阿知3-21-31 TEL:086-422-0007
  • 【ベティスミス(ジーンズミュージアム)】倉敷市児島下の町5-2-70  TEL:086-473-4460
  • 【高城染工場】倉敷市児島下の町7-2-6 TEL:086-472-3105
  • 【旧野崎家住宅】倉敷市児島味野1-11-19 TEL:086-472-2001
※このコラムは『セコムライフ』2009年夏号に掲載した記事をベースにWEB用に再構成したものです。

第20回 倉敷 町並み保存のモデルケースを歩く(後編)

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