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第19回
2016/07/05

海外に誇れる日本の街

倉敷 町並み保存のモデルケースを歩く

倉敷は日本の美しさを凝縮したような街だ。流行に流されず、質素でいながら輝いている。そんな倉敷を代表するのが「町並み保存のモデルケース」と言われる美観地区。今回はジーンズの産地・児島地区もあわせて訪ねてみた。

歴史ある商店街を歩く

 JR倉敷駅前からセンター街を抜けて、えびす通りという昔ながらの商店街に出る。一本の通りだが、正式には「えびす通商店街」「えびす商店街」「本通り商店街」という3つの商店街が連なっている。今は駅前にある老舗デパート「天満屋」も昔は商店街の中にあった。
 歴史のある商店街だけあって、個人経営の店がほとんど。個性的な店先についついいろんな店をのぞきたくなる。「倉敷最古の備前焼専門店」という看板にひかれて「陶備堂」という店に入り、徳利をひとつ買った。独特の茶褐色の地肌は、土に鉄分が多く含まれるためだと聞いた。
 店を出てすぐのところに、阿知神社のある鶴形山公園への登り口がある。阿知神社は倉敷の総鎮守で海上交通の守護神・宗像三神を祭っている。倉敷が昔から海上交通の要衝だったことがわかる。また、境内の藤は樹齢でも大きさでも日本一といわれ、岡山県指定の天然記念物だ。
 街を見下ろすと実に良い感じに建物が並んでいる。
 「そうか、倉敷は空襲に遭っていないのだ」
 そんなことを今更のように思い出した。
 倉敷の街は、江戸時代には幕府の天領で、米や塩などの集散地として栄えた。明治維新後は、小松原慶太郎、木村利太郎、大橋澤三郎らが地元の資産家だった大原孝四郎の出資を受けて設立した倉敷紡績を中心に紡績の街として発展した。太平洋戦争で岡山や水島など、周辺の都市は空襲を受けたが倉敷だけは戦禍を免れた。
 再び商店街に戻る。本町通りからはアーケードがない。少し歩くと、倉敷の銘菓「村雀」を100年以上もつくっているという老舗「木本戎堂」。その先には、ルネッサンス洋式の美しい洋館が見える。中国銀行倉敷本町出張所だ。1891(明治24)年に倉敷紡績設立にも関わった地元の実業家・小松原慶太郎が設立した倉敷銀行、のちの第一合同銀行の倉敷支店として建てられたもので、国登録の有形文化財である。

メセナの先駆者・大原孫三郎


美観地区の町並み
 出張所を右に曲がると、目の前には奇跡のように美しい町並みが広がる。倉敷の美観地区だ。
 なまこ壁が続く通りの向こうにあるひときわ大きな屋敷は、倉敷紡績の創業家・大原家の本邸と別邸「有隣荘」だ。大原家は重要文化財で、現在も大原家の人々が住んでいる。有隣荘は全体に独特の茶色に彩られているような外観で、屋根瓦には唐三彩を使っている。

大原美術館
 目の前の掘割りが、倉敷川。昭和天皇が倉敷を訪れたときにつくられた「今橋」を渡ると「大原美術館」である。1930(昭和5)年に倉敷紡績の二代目社長だった大原孫三郎が、社会貢献のためにつくった日本初の私設美術館だ。孫三郎は実業家であるとともにプロテスタントの信者で、美術館のほかにも病院なども建設している。まさにメセナの先駆者だったのである。
 美術館開設のために美術品の収集に当たったのは孫三郎の友人で洋画家の児島虎次郎。彼の作品は、「倉敷アイビースクエア」内の「大原美術館別館 児島虎次郎記念館」に展示されているそうだ。あとで行ってみよう。

倉敷館観光案内所
 大原美術館の南に見えるレトロな建物は、1917(大正6)年に倉敷町役場として建てられた木造洋館建ての「倉敷館」。今は観光案内所と休憩所になっている。
 その先にある「倉敷民藝館」は倉敷の町並み保存の先駆けと言われる施設。開館は1948(昭和23)年。まだ、景観保護が話題になる以前に、江戸時代の米蔵を再生してつくられた日本では2番目に古い民芸館だ。民家の中に生活を再現するようにした展示が、生活に根ざした民芸にふさわしい。
 倉敷館の前の中橋を渡ったところにある「倉敷考古館」も元は江戸時代からの米蔵だ。中に入ると、米蔵独特の香りが今でも残っているので驚いた。岡山県の南部・吉備地方から出土した石器などの考古資料が展示される施設で、吉備地方の古代文化の素晴らしさが体験できる。古墳文化の出現を物語る家形土器はほかに例のない貴重な資料だ。
 いずれにしても、古い建物はなくならないうちに地道に保存し、使うことが大切なのだと感じた。取り壊しが決まってから保存運動をしても遅いのだ。
 美観地区では証券会社も、電光掲示板ではなく黒板に市場の速報を書いている。不便かもしれないが、徹底ぶりがすばらしい。
 ぶらぶら歩くうちに「くらしき川船流し」という案内を見つけた。先ほどの倉敷館でチケットを買って船着き場に向かう。乗り場には笠を着た船頭さんが待っていた。船は5人乗りの木造和船で、船頭さんが竿を操って進むのである。船の上から見ると江戸時代に荷物の積みおろしに使っていたという雁木や石組みがよくわかる。船頭さんの解説も親しみやすくおもしろかった。


取材先
  • 【大原美術館】倉敷市中央1-1-15 TEL:086-422-0005
  • 【阿智神社】倉敷市本町12-1 TEL:086-425-4898
  • 【倉敷館観光案内所】倉敷市中央1-4-8 TEL:086-422-0524
  • 【倉敷民藝館】倉敷市中央1-4-11 TEL:086-422-1637
  • 【倉敷考古館】倉敷市中央1-3-13 TEL:086-422-1542
※このコラムは『セコムライフ』2009年夏号に掲載した記事をベースにWEB用に再構成したものです。

第19回 倉敷 町並み保存のモデルケースを歩く(前編)

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