第9回 
気合いと気負い

ここでは、シニアの方の毎日が心を元気に、
健康に過ごしていただけるようなコラムをご紹介します。
飲み物を片手に、ホッと落ち着ける時間になりますように。

ポイントは、自分の底にある気持ちを認めること

 スポーツの世界、そして何か勝負事やビジネスの重要な場面で「気合いを入れていこう」という言葉をよく聞きます。単なる技術でも、能力でもないそれ以上の力を発揮しようというときに、応援の言葉として、または自分自身に言い聞かせるような感じで、「気合いだ!」といっている人がいます。
 気合いが入って、勝負や仕事がうまくいくと喜びもひとしおです。逆に本来は実力があるのに、気後れしてしまうとか、緊張しすぎて堅くなってしまうと力が発揮できずに、残念な結果になってしまうことがあります。ですから、事に向き合うときに十分な練習や資料の準備をしておくことだけではなく、心のコンディションを整えることはとても重要です。
 気合いを入れようと思いすぎて「気合いだ!」といっているうちに気負ってしまっては、本末転倒です。ここで「気合いの入れ方」についてのちょっとしたポイントをお話ししましょう。気合いを入れたいときには、まず「自分の心の底にある気持ち」を見るとよいと思います。「失敗するかもしれない・・・」という不安や焦りがあるのか、それとも「きっとうまくいくぞ!」という前向きな心や自信、期待感があるのかということです。「気合いだ!」といっている本人も気づいていないかもしれない心の底にあるその気持ちはとても重要です。これから勝負にでるというときに、胸に手を当てて気持ちを感じてみましょう。「焦りや不安」が、何となくでも感じられたら、「気負った」向き合いになってしまいます。
 そんなときには、「焦ってはいけない!」と焦る心を消そうと必死になるよりも「焦りの心があるな・・・」と素直に認めて深呼吸しましょう。そして焦りを優しく見つめながら、「きっとうまくいくよ」と焦る自分に優しく声をかけてあげましょう。心にある気持ちを否定するより、それを認めた上で、自分を応援してあげてみましょう。もし、そばに友人や家族がいたら、「大丈夫だよ。」と優しい笑顔をもらうとよいかもしれませんね。勢いだけでスローガンのように「気合い」を連呼するより、静かな力強さがわいてくるとおもいます。「気合い」が「気負い」にならないように注意しながら気合いを入れて勝負しましょう。
大多和 二郎 (おおたわ じろう)
プロフィール
大多和 二郎 (おおたわ じろう)
横浜国立大学大学院修了(臨床心理学専攻)
臨床心理士、臨床動作学講師としてカウンセリング、大学、
専門学校講師等を歴任 著書として
「触感刺激法で性格が変わる」祥伝社 NONブック等がある

第9回 気合いと気負い