第2回 
優しく、聞き取りやすい声を意識しよう

ここでは、シニアの方の毎日が心を元気に、
健康に過ごしていただけるようなコラムをご紹介します。
飲み物を片手に、ホッと落ち着ける時間になりますように。

 こんにちは。臨床心理士の大多和二郎です。
 以前、私がスタッフとして関わっていたある心理学のセミナーで、スタッフ数人とアメリカ人講師とで昼食をとったときのことです。私がスタッフに日本語でちょっとしたアドバイスをしていると、アメリカ人講師が、急に私に向かってにこにこしながらいろいろ話しかけてきたのです。
 英語で語られたその内容は、「今あなたが話していたアイディアはすごくいいと思う。きっとうまくいくでしょう!」ということでした。日本語をまったく理解しないアメリカ人が確信を持って私のアイディアに太鼓判を押してくれたのです。そこで、「どうしてわかったの?」と、そのアメリカ人に尋ねてみると「あなたの表情、そして声が優しく、そしてイキイキとしていて、聞いている人も目が輝いていたので、きっとうまくいくということが分かった」ということでした。
 心理学の専門家だったと言うこともありますが、そのアメリカ人は、私の「声の表情」をしっかりとみていたのです。20年も前のできごとなのですが、言葉の言葉でない部分の意味を感じさせられた印象的な体験なので今でもよく覚えています。
 例えば、イタリア語は分からなくても、「チャオ!」と言われると思わず「チャオ!」と言ってしまって、何となくつながった感じがしたり、英語で話しかけられてよく分からなくても、最後に「OK!」と言われると、ホッとしたり。挨拶や感謝の言葉など短いフレーズには、ちょうどかけ声や動物の鳴き声にも似た、音として人の心に響くものがありますね。このように言葉は音としての表情も持っています。
 皆さんは自分の声の表情を意識してお話ししていますか?普段はあまり意識していない人が多いと思うのですが、声の大きさや出し方、響かせ方によって、同じ言葉でも優しくもなり、厳しくもなり、心に響いたり、空々しく聞こえたりもします。外出するときにしっかり時間をかけてメイクする女性でも、声のお化粧はあまり考えていないかもしれません。人に声をかけるとき、気持ちを伝えたり、意見を言うとき、人の心に響かせるような表情を持ち、優しく聞き取りやすい声で話をしていきたいですね。
 声の表情を確かめるために、ちょっと目を閉じて家族の声を聞いてみてください。そこに優しさを感じたら、「ありがとう」と、心に響かせるように言ってあげましょう。きっと何か暖かい空気が流れると思います。今日から、優しさの表情を持った声でお話ししてみてはいかがでしょう。ちょっとした気配りですが、きっとまわりの人の笑顔が多くみられるようになると思います。
大多和 二郎 (おおたわ じろう)
プロフィール
大多和 二郎 (おおたわ じろう)
横浜国立大学大学院修了(臨床心理学専攻)
臨床心理士、臨床動作学講師としてカウンセリング、大学、
専門学校講師等を歴任 著書として
「触感刺激法で性格が変わる」祥伝社 NONブック等がある

第2回 優しく、聞き取りやすい声を意識しよう