【子どものインターネットトラブル最前線(1)】ソーシャルゲームサイトと個人情報のトラブルを知る

セコムの舟生です。

財団法人インターネット協会主幹研究員の大久保貴世さん(左)にインターネットトラブルの今を伺うインターネットをめぐるトラブルは親にとって心配事のひとつ。
このブログで募集している「アンケート」にお寄せいただくご意見からもインターネットトラブルへの関心の高さをうかがい知ることができます。

インターネットの流行や話題は、めまぐるしいスピードで移り変わるため、問題が起きていても把握するまでに時間がかかり、問題の「今」を正確に知ることは困難な状況です。

そこで、相談窓口として、たくさんの子どもの訴えに耳を傾けてきた
財団法人インターネット協会 主幹研究員の大久保貴世さんに、子どものインターネットトラブルの「今」を伺いました。今回から3回に分けてレポートしたいと思います。

題して「子どものインターネットトラブル最前線」。初回となる今回は、「ソーシャルゲームサイトと個人情報のトラブル」についてご紹介します。第2回のテーマは「いまどきの子どもたちを取り巻くトラブルの火種」で、最終回の3回目は「インターネットトラブルの回避方法」についてまとめていきます。

ぜひ、現代の子どもを取り巻くインターネットトラブルの現実をお知りいただき、その対策を考えるきっかけにしてください。


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▼ インターネットは「個人情報」ありきの時代へ
舟生:
最近の子どもが巻き込まれているインターネットトラブルの動向について教えてください。

大久保さん:数年前は「個人情報を安易に出さない」ことが第一でした。というのも、不用意に個人情報を発信して、悪用されるトラブルが後を絶たなかったためです。

しかし最近では、事情が変わってきています。個人情報にまったく触れずにインターネットを楽しむことが難しくなってきていると思います。

たとえば、子どもたちの間でよく利用されているソーシャルゲームやコミュニティーサイトをはじめとしたSNSは、登録時にハンドルネームやメールアドレス、生年月日や性別など、ちょっとしたプロフィールの登録が求められます。

舟生:確かにSNSは、個人情報を登録しないと閲覧すらできないものが多いですね。大人も含め、使っている人が多いので、子どもたちもあまり躊躇(ちゅうちょ)しないのかもしれません。

大久保さん:SNSでは、情報が不十分だとコミュニケーションが成り立たないような仕組みになっています。また、「だれも見てくれないから顔写真を貼ってみよう」とか「興味をひくプロフィールを追加しよう」とか、注目を集めるために自己主張しないといけないような雰囲気があります。

携帯電話やパソコンを使うことに抵抗がない一方で、個人情報をどこまで開示して、どこからは開示しないという判断について、すべての子どもが学習済みとは残念ながら言えません

 

▼ 初めての失敗がSNSでは危険
舟生:
初心者である子どもがはじめて利用するサイトとして、SNSは問題が多そうですね。

SNSと切り離せない個人情報の問題。開示していい情報とそうでないものの判断を子ども任せにしない大久保さん:SNSでは、「私はこういう人」「この人はこういう人」というプロフィールの共有が楽しみのひとつですが、「○○小学校○年○組の○○です。吹奏楽部です」といった詳細なプロフィールを公開してしまう子が、実際にいるんです

すると、登録してすぐに興味を持った人からたくさんメールが来る。インターネットに徐々に慣れるつもりが、見知らぬ人とのやり取りがはじまってしまう。友だちになった人のページを見ると足跡が残る。SNSの世界をウロウロしているうちに、プライベートな情報が知れ渡ってしまいます。これは初心者に多い"つまづき"です。

舟生:同年代を装って誘いをかける悪い大人もいると聞きますが、未熟さを露呈することで狙われる可能性が高まるかもしれませんね

 

▼ インターネットには特有の規則があることを知るべき
舟生:
ソーシャルゲームサイトでは、15歳以下の子どもが利用できる機能を制限しているもサイトもありますね。

大久保さん: 15歳というのは、インターネットの世界でひとつのポイントです。15歳くらいの年代のトラブルが多いんです。うっかりIDやパスワードを教えてしまって、勝手にキャラクターを操られたとか、たまっていたポイントを残高ゼロまで使われてしまったという話をよく聞きます。

「友だちに嫌われたくない」「もっと仲良くなりたい」といった理由で、越えてはいけないラインを越えてしまうことが、15歳くらいまでは多いということでしょう。

舟生:「これをしたらどうなるだろう」「もしかしたらマズイかもしれない」という注意力や警戒心が、まだ働かないのでしょうか。

大久保さん:犯罪レベルの悪いことなら子どもでも理解できますが、個人情報にあたるものを発信したり、「友だちになって」と書き込んだりするくらいだと、それほど悪いこととは思いませんよね。日常の交友感覚でSNSに足を踏み入れてしまうと、そんな感覚なのだと思います。

SNSの利用規約を見れば、個人情報の取り扱いや禁止行為、その理由なども書かれていますが、規約を熟読してから登録する子どもはほとんどおらず、読みとばしてしまいがちです。

ただ、ひとたびトラブルが起きると、「知らなかった」では済まないこともあります。利用規約違反で強制退会になることもありますし、犯罪に巻き込まれることだってあるかもしれません


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今年の5月に警視庁から発表された「コミュニティーサイトに起因する児童被害の事犯に係る調査分析について(平成23年度下半期)」によると、被害児童のコミュニティーサイト利用にかかる保護者の指導状況は、「サイトの利用を親に話していないので、注意を受けたことがない」が32.3%。「注意を受けたことはない、放任」が28.6%親がまったく関知していないケースが6割以上にのぼることがわかります。

子どもがインターネットトラブルに陥る遠因は、親の無関心にあるのかもしれませんね。





2012年9月20日(木)

カテゴリー: インタビュー・座談会

プロフィール

舟生 岳夫

セコム株式会社
IS研究所 所属

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