「施設クリニック」で学校の安全をチェック!

セコムの舟生です。

「施設クリニック」で学校の安全をチェック!2001年6月、大阪教育大学附属池田小学校で起きた児童殺傷事件以降、多くの学校で防犯対策の強化が行なわれてきました。文部科学省が3年前に行った調査では、96.6%の小学校が「校舎内への不審者の侵入防止の対応を取っている」と報告しています(2007年度・文部科学省「学校の安全管理の取組状況に関する調査」)。

子供が1日の大半を過ごす学校は、「安全・安心に生活できる場所」であってほしいものです。皆さんは、お子さんが通う学校を、「侵入者に対する防犯対策は大丈夫だろうか?」といった視点で見たことはありますか?

先日、小学校・幼稚園の施設を「安全」の視点で点検する「施設クリニック」に参加し、教育施設の防犯のポイントについて診断してきました。今回はそのレポートをお届けします。

どんなところに、どのような危険があるのか一緒に考えてみましょう。

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この「施設クリニック」は、キッズデザイン協議会の主催によるもので、2007年度、2008年度はいずれも大型の商業施設を対象に行われました。

今年度は第3回として、「子供達が安全に過ごせる教育の場の実現に貢献すること」を目的に2010年2月17日、東京学芸大学附属幼稚園小金井園舎と附属小金井小学校(東京都小金井市)のご協力を頂いて実施されました。

クリニックの参加者はキッズデザイン協議会の会員企業・団体からの34名で、みな "子供の安全と健やかな成長"に高い関心を持ったメンバーです。当日は建築・構造上の問題や、事故の危険などについてそれぞれの専門の立場から7つのチームに分かれて小学校・幼稚園のクリニックを実施しました。私・舟生がリーダーを務めるチームは主に「防犯」の観点から学校の点検を行いました。


どこに、どのような危険があるのか考えてみよう!
屋外プール周辺を点検!
下の写真は、屋外プールの周辺を点検していたときに撮影したものです。防犯の観点から、どこに、どんな危険があると思いますか?一緒に考えてみましょう。

「施設クリニック」で学校の安全をチェック!

手前の金網側は通路を挟んで運動場に面しています。反対側である写真奥はコンクリートの壁。その向こう側は施設の裏側にあたり、小さな雑木林のようになっています。


舟生の視点
1)人の目が行き届きにくい場所。「何かが起きたことに気づかない」ことが怖い

壁の向こう側は施設の裏側にあたり、人の目が行き届きにくいスペースになっていることが気になりました。壁や柵はありますが、乗り越えて入ってこようと思えば可能な高さです。壁の裏側は草木が多くて身を隠しやすい場所になっているため、何か問題が起きたことに気付けない可能性もあります。

2)プールを使う際は、のぞきに注意
プールの目隠しに、コンクリートの壁があるのは◎。ただ、一見、気がつかないような小さなすき間や穴からのぞかれることもあります。プールサイドが見える場所がないか点検してみましょう。

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この学校では、「施設クリニック」で学校の安全をチェック!外側に面した校舎へのアプローチは正面玄関に限られており、そこもオートロックで受付で制御しているなど、基本的な安全面についてはしっかりと考えられており、先生方の意識も高く、子供たちが学ぶ環境として安全を保たれたよい状態にあると感じました。

また、廊下には生徒が作成した安全マップが掲示されていたり、廊下ですれ違った子供たちがみな挨拶してくれたことも非常に印象に残っています。

それでも厳しい目で見ていくと、気になるところもいくつか見つかります。


扉の施錠を確実に
「施設クリニック」で学校の安全をチェック!不審者の建物への侵入を防ぐためには、施錠の徹底が重要です。右の写真は、体育館の裏側の扉。いくつもある扉のうち、施錠されていない扉がありました。

施錠は最も実行しやすい防犯対策の一つです。全ての扉の施錠を確実に行うことが大切です


不用意に窓を開けない
「施設クリニック」で学校の安全をチェック!児童が使用するトイレの脇の窓がわずかに開いています。まだ校内に児童がいる時間帯です。もし不審者がこの窓から侵入して、トイレに潜んでいたら...。

暑い日や、換気のために窓を開けておくことはよくあることですが、危険なのは、不用意に窓を開けておくことです。特に目に付きにくい場所は注意が必要です。閉まっていても施錠がされているかも確認しましょう



周囲から見えにくく、人が隠れやすい場所に要注意
「施設クリニック」で学校の安全をチェック!周囲から見えにくいところや、人が身を隠しやすい場所が、敷地内のどこにあるかを知っておくことはとても大切です

たとえば、校庭脇の高い塀や樹木が生い茂る場所などは、周囲から見えにくいところと言えます。また、身を隠しやすい場所は、倉庫・建物の裏などです。


「施設クリニック」で学校の安全をチェック!外部から不審者の侵入を防ぐには、敷地を囲む塀を高くしたり、有刺鉄線を張り巡らしたりするという方法もありますが、児童が集う学び舎に相応しい方法ではありませんね。

防犯カメラの設置は犯罪の抑止効果が期待できますが、あまりカメラだらけというのも気持ちの良いものではないですし、数多く設置するには予算の関係で難しい場合もあるようです。

現実的な対策としては、「ソフト面」を改善するのが良いと思います。まずは「危機管理マニュアル」をもとに現在の運用が最適かどうかをもう一度見直し、先生方がしっかりと理解すること。次に保護者の協力を得ること。そして教師・児童・保護者が、それをしっかりと実行していくことが重要です。また、年月が立てば人の入れ替わりや周囲の状況の変化も起こります。定期的に見直しを行いながら常に最善の状態を保っていく努力は欠かせません。

保護者の皆さんも「安全」の視点から、学校を見てみてはいかがでしょうか?防犯以外にも、事故防止といった観点からも気づくことがあるかもしれません。





2010年3月23日(火)

カテゴリー: インタビュー・座談会

プロフィール

舟生 岳夫

セコム株式会社
IS研究所 所属

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