【インタビュー】子供の事故を防ぐための病院での取り組み~現場の看護師さんの声~

セコムの舟生です。

子供の事故を防ぐための病院での取り組み前回、子供の事故をテーマにした講演会のレポートをお届けしました。講演会終了後に、国立成育医療センターで、事故による負傷で病院を受診した子供たちについて事故情報の収集と事故防止に当たっていらっしゃる、西海看護師と林看護師に、お話をうかがいました。

舟生:西海さんの講演で「お尻拭きで、赤ちゃんの手や顔を拭いてしまうお母さんがいる」というお話がありましたね。わたしも、つい、やってしまったことがあります(笑)。

西海看護師:赤ちゃんのお尻拭きでお尻以外の場所を拭いてしまうお母さんって、けっこう、いらっしゃるんですよ。

舟生:あれって、いけないんですか?

西海看護師:成分が目や口に入ってしまうのはよくないんです。

林看護師:お尻拭きの裏の注意書きに書いてありますね。

舟生:なるほど。普段の何げない行動の中にも、子供にとって危険なことがいろいろありますね(納得)。

* * * * * *


■ 病院での事故情報収集について 舟生:今回、「事故情報収集の現場から子供たちの安全・安心に資する製品を考える」というテーマでの講演でしたが、お子さんが重症を負ってしまった事故の場合、事故についての話を聞きにくいことはありませんか?

林看護師:子供がケガしてしまったことで、お母さんも気が動転してしまい、なかなかお話を聞けないこともありますし、警戒される方もいます。そういったときには、気持ちをほぐすよう言葉をかけたりすることも必要です。ただ、24時間365日患者さんを受け入れていまして、たくさんの患者さんが受診しますので、それほど時間はかけられません。短い時間に聞き取りをしなければならない難しさはあります。

子供の事故を防ぐための病院での取り組み西海看護師:事故の場合、"子供の事故は親の責任"と感じてしまうお母さんも多いです。事故についてお話を聞こうとすると、「こちらの責任ですから」「もう思い出したくないので」と、事故について話をしたがらない方もいます。子供が事故でケガしたことを責められるのではといった気持ちもあるのではないかと思います。そんなとき、「今後の事故防止に役立てるために、聞き取り調査している」ということをきちんと説明すると、意外と快く、情報提供していただけたりもします。

舟生:入院するような重症の患者さんの場合、事故情報の収集は大変ではないですか?

西海看護師:かえって、患者さんが入院する場合には、入院してから話を聞くこともできますので、その方が時間をかけて聞き取りを行うことができます。

舟生:お父さんや事故にあってしまったお子さん本人からも、事情を聞くことはありますか?

林看護師:お子さんがお話しできるようであれば、話を聞くこともあります。もちろん、お父さんと一緒にいるときに事故が発生したときには、お父さんにお話をうかがうこともあります。

西海看護師:でも、お父さんと一緒のときに起こった事故の場合、お父さんが来院されないことが多いんです。"病院で叱られる"と思うからかもしれませんね。


■ 室内での事故について
舟生:講演会のお話の中で、ロフトにつながるハシゴの階段から転落した事故例を紹介されました。小さい子供の事故はやはり家の中が多いのでしょうか?

西海看護師:3歳までの乳幼児は、家の中の事故が多いです。最近はおしゃれなデザインの家も増えてきましたが、そういった家は、夫婦2人が暮らすのにはよいのですが、子供がいる家庭向きのつくりでないこともあるようです。聞き取り調査のときに保護者の方から「どうしたらいいですか」と相談されることもありましたが、私たちは建築や設計の専門家ではないので困ってしまうこともあります。

子供の事故を防ぐための病院での取り組み林看護師:ロフトのハシゴもそうですが、階段からの転落は大変多いです。子供は体に比べて頭が大きく重いので、転落したときに、頭をぶつけてしまい重篤なケガになることが多いです。イスから転落する事故も多いですよ。

舟生:ハイハイをしている乳幼児が、イスによじ登ってしまうとかですか?

林看護師:よじ登ったり、イスの上に立ったり。座っていても転落することがあります。

西海看護師:回転イスに座ってグルグル回ったりすることもありますね。

舟生:イスに座ってグルグル回るのは、うちの子もよくやっていました(笑)。

林看護師:卓上コンロを囲んでお鍋をしているとき、歩き回っていた子供がコンロのコードにつまずいてしまい、お鍋がひっくり返って、子供が煮えたぎったお湯をかぶってしまったという事故もあります。冬場はこうした事故が多く起こるので、ぜひ注意していただきたいです。

舟生:最近子供たちの間で流行しているコマの玩具がありますが、私も気にかけています。事故情報などはありませんか?

林看護師:今のところ事故事例の報告を私は把握していません。でも、けっこう硬い素材でできている玩具なので注意をしたほうがいいかもしれませんね。

西海看護師:玩具といえば、食玩は気をつけたほうがいいと思います。注意書きには対象年齢が書かれていますが、対象年齢以下の子供もほしがりますよね。お母さんも子供がほしがると、つい買ってあげてしまうところがあるようです。小さい部品がありますので、より年少のきょうだいがそれを口に入れてしまい、誤嚥(ごえん)する事故も起きています。

林看護師:家の中での事故といえば、よその家に行ったときにはいつも以上に気をつけたほうがいいです。自分の家はしっかり子供のための安全確保ができていても、よその家はそうでないことはよくあります。そうすると事故が発生するかもしれません。

舟生:ほかにも何かありますか?

西海看護師:子供は大人の真似をしたがりますので、子供には関係がないと思えるようなものでも、気をつけたほうがいいです。以前、子供がシュレッダーに指を入れてケガをする事故が大きく報道されましたが、シュレッダーでケガをする事故は、それ以前から報告されていたんです。お母さんが「もしかしたら、危ないかも...」と感じたら、それは事故につながる可能性があると思って、気をつけたほうがいいです。子供は時々、とんでもない遊びをするものです。


■ 兄弟がいる場合
子供の事故を防ぐための病院での取り組み舟生:兄弟がいるご家庭では、事故について何か特徴がありますか?

西海看護師:下の子も上の子と同じことをしたい。けれど身体の発達が追いついていない。それで下のお子さんがケガをすることもよくあります。たとえば、お姉ちゃんが出窓からジャンプして飛び降りるのを見て、自分もできると思ってやってしまい骨折するとかですね。

舟生:お母さんが忙しいときに、上の子に「ちょっと面倒をみていて」なんてことはあると思いますが、いかがでしょうか?

西海看護師:上のお子さんの年齢や注意力によると思います。しっかりしたお子さんなら、ちょっとの間見ていてくれるとお母さんも助かるかもしれません。でも、初めは面倒をみていてくれても、途中で他のものに注意が向いてしまって、弟や妹を放っておくようですと困ります。

林看護師:それに、万が一上の子にお世話をお願いしていたときに事故が起きてしまったら、上の子に「自分のせいで...」と、心の傷ができないか心配です。

舟生:兄弟がいるときには、そういったことにも気をつけたほうがいいのですね。最後に「子供の防犯ブログ」をご覧になっているお母さん、お父さんの方々に、子育ての応援メッセージをいただけますか?

林看護師:子育ては大変だと思いますので、何でも一人で抱え込まないようにしてほしいですね。いろいろな人や機関に助けてもらいながら子育てをしていってほしいなと思います。

西海看護師:子育てについても、事故予防についてもそうですが、今はパソコンなどで簡単に情報が調べられるので、もっといろいろな事例に触れていただいて「うちの子もこんなことするかも!」という危険をイメージしたり、事故防止のための工夫を生活の中に取り入れていただきたいと思います。

舟生:西海さん、林さん、貴重なお話をありがとうございました。

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林さんと西海さんが、「冬場に気をつけたい事故」を教えてくださいました。 これからますます寒くなります。みなさん、ぜひ気をつけましょう!

*冬の時期に気をつけたい事故
・ファンヒーターなど、暖房器具による事故
→暖房器具による火傷に注意しましょう
→暖房器具をガードする柵に、ずっと近づいているのも危険です

・加湿器の事故
→蒸気の吹き出し口での事故や、倒して中のお湯がこぼれてしまうことがあるので、床に置いている場合は気をつけましょう
→高い場所に置いている場合は、コードを引っ張って加湿器を倒してしまった場合、お湯をかぶる危険があります

・卓上でお鍋をしているときの事故
→お鍋を囲んでの食事中、誤ってお鍋をひっくり返し、熱湯をかぶってしまう可能性があるので注意しましょう
→急に子供が手を鍋の中に突っ込んで火傷をすることもあります
→テーブルからたれ下がっているコンロやホットプレートのコードに引っかかったり、コードを手で引っ張ったりすることがあるので、注意しましょう





2010年1月21日(木)

カテゴリー: インタビュー・座談会

プロフィール

舟生 岳夫

セコム株式会社
IS研究所 所属

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