ケータイ有害サイトの脅威<その3>~子供を見守る市民ボランティア~

セコムの舟生です。

ケータイ有害サイトの脅威~暴走する学校裏サイト~」「~プロフから流出する個人情報~」と題して、お伝えしている「ケータイ有害サイトの脅威」。今回は、その完結編「~子供を見守る市民ボランティア~」をお届けします。

群馬県子どもセーフネットインストラクターであり、中高生のお子さんをお持ちの小川さんと小此木さんに、子供の携帯電話利用についてお話を伺いました。引き続き、群馬大学社会情報学部 大学院 下田博次教授にも同席していただきました。

* * * * *

舟生:小川さんと小此木さんは、群馬県子どもセーフネットインストラクターとして、保護者・先生・地域の方を対象にした大人向けの講演会でお話をされていますが、ご苦労されることはありますか?

小此木さん:携帯電話に関する機能的なものを含めて、進歩や進化が激しいため、私たちのように説明する側に立った場合、いち早く情報収集して、常に新しいものを自分で吸収して学習していかなければならないという点は、大変だと感じますね。子供を取り巻くネット環境の変化は、本当にすさまじいものがあります。

小川さん:私たちは市民ボランティアですから、皆がそれぞれ仕事を持ちながら活動をしています。どうしても活動できる範囲が限られてしまうので、それをお互いに補い合いながら活動をするのが、大変な点だと思います。

舟生:子供を持つお父さんお母さんとして、子どもセーフネットインストラクターとして、講演会やワークショップを行って、気付いたことや感じたことがあれば教えてください。

ケータイ有害サイトの脅威小此木さん:親としての視点、インストラクターとしての視点で共通して言えることは、親御さんは携帯電話からのインターネット利用の恐ろしさや危険性について、まったく知らないことに驚きを感じます。

私自身を振り返ってみても、こういった市民ボランティアをするまでは、まったく知らなかったんですね。それを考えると、ひとりでも多くの保護者に携帯電話の実態を知ってもらいたいと感じます。

小川さん:携帯電話の実情について、親が知らされていないんじゃないかなと感じるんです。携帯電話のコマーシャルでもメディアでも何でも、いい情報しか教えてくれないじゃないですか。「こんなに便利だよ」「こんなに楽しいよ」「子供も守れるよ」というような言い方で、子供を持つ親に買わせているように思うんです。その辺の"教えてくれない点"に、問題があると思うんです。

もっとも、親自身がもっとも学習をして知ればいいのでしょうけれども、そうであればなおさら、そういった携帯電話・インターネット利用の恐ろしさや危険性について、教えてくれる"きっかけ"や"場"が必要だと思います。

舟生:『セコムと話そう「子供の防犯」ブログ』の読者は、未就学児や小学生のお子さんを持つ保護者の方が多いのですが、小学生のお子さんに、既に携帯電話を持たせている方もいますし、これから携帯電話を持たせようと考えている保護者の方も多くいます。

そういった保護者の方も子供に携帯電話を持たせるにあたって「メールやネットの被害に遭うのではないか」「子供のおもちゃになるのではないか心配」「携帯電話の通話料が気になる」といった漠然とした不安をお持ちの方は多くいます。

ただ、携帯電話やインターネット利用の恐ろしさと危険性について、判っていない方が多いんですね。むしろ「子供に携帯電話を持たせることが、安心」と思っている方のほうが多いんです。

小川さん:そういうふうにコマーシャルが流れていますから、保護者の方がそう考えてしまっても仕方がないですね。

小此木さん:まずは、どういった理由で子供に携帯電話を持たせるかですね。「安心安全のため」「すぐに通話できるから」それだけの理由であれば、インターネットに接続しない契約にするほうが安心です。この問題は、携帯電話のパーソナルメディアとしてのメディア特性で、携帯電話からのインターネット利用が非常に問題であることなのです。

何のために持たせるのかを考えて、「親子間で連絡がとれればいい」というのであれば、アクセス制限をかけるなり、インターネット接続の契約をしないという選択肢があります。

小川さん:インターネット契約しなくても、通話と簡易的なメールはできるわけです。連絡をとる手段として携帯電話を考えているなら、それだけで十分です。

舟生:簡易メールはできませんが、高齢者向けの携帯電話も機能を最小限に絞っていますから、通話だけならあれでもいいですね。

小川さん:通話だけならそれで十分です。低学年のお子さんの場合は、とくに親のほうの都合で携帯電話を持たせたい場合が多いですね。その道具に、インターネットへのアクセス機能が付いていることが問題だと思います。

小此木さん:子供向けの携帯電話が「防犯ブザーや子供の位置が分かるGPS機能がついていますよ」ということで売られていますが、もともとは携帯型の「電話」なんです。だから、うちの子には防犯ブザーとココセコムを持たせ、携帯電話は通話のためだと、切り離して考えています。

自分がそうしていますので、他の方にもそうやってお話をします。「防犯ブザーが付いているから安心!」だったら、防犯ブザーだけを持てばいいと思うんです。子供の居場所がすぐ知りたいのであればココセコムなどがあるように、子供が安易にインターネットに接続できない製品があるわけですから、そういったものを利用することを考えていただきたいなと思っています。

舟生:保護者としては、お子さんの姿がちょっと見えなくても携帯電話を持たせていれば、"いつでも連絡がとれるから安心"という気持ちがあるんだと思います。子供の携帯電話に連絡をしてみて、子供が「○○ちゃんの家で遊んでいるよ」と確認が取れれば安心できますね。

小川さん:でも、それは本当の安心でしょうか。お子さんに携帯電話を持たせて、すぐに通話ができて、連絡がとれることが、本当に安全なのでしょうか。その点について、具体的に考えて欲しいと思います。たとえば「子供の危険を携帯電話で知らせてくれて、母親が子供を助けに行って、はたして助けられるのかどうか...」そこまで自分で具体的に想像してみると、自ずと答えが見えてくると思います。

舟生:これだけ携帯電話が普及しているなかで、子供を持つ親として、どんなことを学んでいかなければならないと思いますか?

ケータイ有害サイトの脅威小川さん:私たちが講演会などで、こんな話を例に出します。子供が成長する過程で、保護者は様々なものを子供に与えていきます。"包丁"もそうですし、"自転車"でもそうでしょう。しかし、子供に自転車を与えるときに、ただ「はい、使いなさい」といって買って与えませんね。

自転車に子供が乗れるようになるまで一緒に練習したり、「あそこの角で事故があったから、必ず止まりなさいよ...」みたいに、乗れるようになってからも親が見守ったりします。そうやって親たちは、今まで子供たちを見守り続けていたはずです。親がきちんと理解しているものを子供に与えていたはずです。

しかし、携帯電話はどうでしょう。親よりも、子供のほうが使い方を知っていたりしませんか? "プロフ"や"オンラインゲーム"など、親が知らない遊び場サイトの使い方を子供が知っていたりするんです。

このように親が使いこなせないものを与えっぱなしにしてしまっていること、そこに問題があると思うんです。ぜひ、携帯電話という道具がどんなものなのかを学んでほしいと思います。

舟生:親は保護者ですから、子供を守り育てなければなりませんね。その部分が、携帯電話の利用に関しては欠落しているのかもしれません。

小川さん:保護者だからこそ、この道具が子育てにどういった影響があるのかを、しっかりと学んでいかなければならないと思います。

舟生:群馬県では、ねちずん村・子供セーフネットインストラクターなどのように、携帯電話の遊び場サイトを見守る仕組みが立ち上がっていますね。たとえば、この『セコムと話そう「子供の防犯」ブログ』やねちずん村のホームページを見て、子供の携帯電話利用に危機感を感じた保護者の方もいるかと思います。そうした場合、まず、どんなことから始めたらいいと思いますか?

小川さん:まずは小さなことからでいいと思うんです。そういったことを心配する親が、連絡を取り合いながらグループをつくり学習会を開いてみる。そうした行動が第一歩であると思うんです。他の人に守ってもらうのを期待するより、自分の子供は自分で守りたいと思いますよね。

舟生:そういった小さな活動からなら、だれでも実行しやすいですね。

ケータイ有害サイトの脅威下田教授:小さなグループでの活動なら、その気になればすぐに始められます。実際に、"グループ活動"という規模のものなら既に各地にたくさんできており、私も講演のために全国に出かけています。

舟生:みなさんは、お子さんに携帯電話を持たせていますか?

小此木さん:我が家では、携帯電話の利用についてルールを決めて、それを守ることを子供に納得させてから携帯電話を持たせています。

舟生:それは厳しいルールですか?

小此木さん:いえ、ごくシンプルなものです。食事中に家族のいるところでは携帯電話を使わない、夜中は自分の部屋へ持っていかない、家に帰ってきたら家族が携帯電話を置く"決めた場所"に置いておくなど、本当に単純な約束ばかりです。

小川さん:親も同じ約束を守ることが大切ですね。子供はダメで親はOKでは、説得力がありませんよ。こういったルールを、携帯電話を持たせるときにきちんとつくっておけば、子供は高校生になっても自分の携帯電話を部屋には持ち込みません。我が家ではリビングでしか使わないというルールをつくっていますが、自然に、子供は約束を守っています。

舟生:何事も最初が肝心ということですね。「これから子供に携帯電話を持たせよう」と考えている保護者の方にも、大きなヒントになったことでしょう。ありがとうございました。


◆ お知らせ ◆
「キッズデザイン博2007」開催!

キッズデザイン協議会主催の「キッズデザイン博2007」が、8月8日から開催されます。一般公開は、8月9日~11日。会場には、キッズデザイン賞が展示されるほか、創造性を育む工作や、お子様の身体や体力を測るワークショップが開催されます。

ぜひ、夏休みの思い出づくりに、親子で「キッズデザイン博2007」にお越しください
皆様の参加をお待ちしております。

日時:2007年8月8日(水)~11日(土)(一般公開は9日~11日)
10:00~17:00(最終日のみ16:00終了)
会場:TEPIA 3Fエクジビションホール(東京メトロ銀座線「外苑前」駅下車徒歩約5分)
参加費:無料
*一部のワークショップは事前予約が必要ですので、サイトでご確認の上、ご来場ください。





2007年8月 8日(水)

カテゴリー: インタビュー・座談会

プロフィール

舟生 岳夫

セコム株式会社
IS研究所 所属

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