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タイトル - セコムロボットXにおけるキーテクノロジー

 これまでセコムでは、侵入者検知や火災検知など、異常状態を一早く検知するためのセンシング技術の研究開発と、それを運用していくためのノウハウを蓄積してきた。

 また一方、IS研究所では物理セキュリティの分野ならびに情報セキュリティの分野において、次の時代を支えて行くキーテクノロジーとして、画像センシングを始めとする様々な最新のセンシング技術、顔/音声/指紋などの個人認証技術、ロボティックス技術などの研究に取り組んできた。

 ロボット警備は、まさにこれまでのIS研究所の取り組みの中から生み出された技術、あるいはこれから生み出される技術を統合し、全く新しい監視形態や価値観を生み出すプラットフォームとしての可能性を秘めていると言える。セコムが考えるロボット警備とそれを実現する上で重要な要素技術について紹介する。


目次
 

はじめに
  ロボットの利点とセキュリティ警備サービスとしての利用
  セコムロボットXの機能
  セコムロボットXの機能を実現するキーテクノロジー
  おわりに


はじめに

 近年、次世代ロボットと呼ばれているサービスロボットに対する関心は、

1) 各地で開催されているロボットコンテスト

2) DARPA Grand Challenge、またその日本版ともいえる「つくばチャレンジ」の開催

3) ロボット特区での路上実験

などに見られるように年々高まりつつある。また経済産業省による「次世代ロボット安全性確保ガイドライン」に代表されるように、ロボットと生活を共にする時代がまさに始まろうとしており、一般家庭向けに発売されたロボットの例も幾つかある。

 その中でセコムにおいても、ハンディキャップをもつ方が自分のペースで食事を楽しむことを支援する「マイスプーン」、常駐警備員に替わって広い屋外を巡回警備する「セコムロボットX」をそれぞれ2002年5月、2005 年10月に発売開始した。これらのロボットの中にはIS研究所で生まれた研究成果が活かされていると共に、日々改良が重ねられている。

図1図1図1

図 1  セコムが開発したロボット(左から、マイスプーン、セコムロボットX、セコムロボット)

ロボットの利点とセキュリティサービスとしての利用


一般にロボットを利用する利点として、

   1) 人よりも正確で、人よりも力強く、人よりも速く、そして何より人より効率的な作業ができる

   2) 遠隔操作により危険区域でも安全に作業ができる

   3) 単純な作業も24時間、休む事無くこなすことができる

などが挙げられる。しかしセキュリティという視点から考えた場合、特に屋外では現在の屋外監視の主役である監視カメラやその他の固定されているセキュリティセンサーなどと比較して、

   1) 映像の記録にとどまらず、より積極的に不審者や異常状態を検知できる

   2) 不審者を追尾することにより、証拠となる記録画像を十分残すことができる

   3) 移動巡回という形で能動的に監視していることをアピールすることで、より大きな抑止力となり犯罪を
     未然に防止できる

   4) 広い区域の異常監視や、時間帯により異なる場所での監視/受付業務、臨時的な警備要求にも柔軟に
    対応できる

   5) 状況に応じ動的に適切なセンサーのポジショニングが取れることにより、環境変化、あるいは組織的
     にかつ悪意 により 形成された死角を覗き込むことでセキュリティグレードの向上を図ることができる

など幾つかのメリットが挙げられる。このようにロボットというプラットフォームに警備としてのアプリケーションを搭載することで、これまでにない新たな価値を創造することができる。

 

セコムロボットXの機能

 まずはじめにセコムが提案する巡回監視ロボット「セコムロボットX」の機能について紹介する。セコムロボットXは予め設定された巡回路を、常駐警備員に替わり自動的に巡回するロボットであり、巡回中はカメラによる画像記録はもちろん、侵入者や不審車両、盗難、火災検知を行うロボットである。異常を検知した際には警備室などに設置されているロボット操作装置に無線にて異常を通知する。異常が通知されると警備室に待機している常駐警備員はリアルタイムで送られてくる画像を確認しながら、遠隔操作により異常に対処する。主要な機能を次表にまとめる。


表 1 セコムロボットXの機能と概要
機能 概要
(1)スケジュール巡回機能 予め設定されたスケジュールに従い、磁気ガイドに沿って巡回警備を行う機能
(2)立哨機能 進入禁止区域への人や車両の侵入検知や、来訪者の検知を行う機能
(3)カメラ記録機能

ロボットの全周360°を撮影する全方位カメラ、離れた車両のナンバープレートをも読み取ることのできるパン・チルト・ズームカメラにより、巡回中、立哨中の画像を全て記録する機能

(4)画像センシング機能 正常時の画像と比較することにより侵入者を検知する機能
(5)侵入検知機能 レーザレンジセンサーにより侵入者や不審車両、盗難などを検知する機能
(6)安全センシング機能 安全に巡回するための、障害物や路面の形状をセンシングする機能
(7)遠隔操作機能 侵入者を追尾する、あるいは一時的に置かれた荷物の陰を覗き込む為の遠隔操作機能





図2

図 2 セコムロボットXの各機能

セコムロボットXの機能を実現するキーテクノロジー

 前章で紹介したセコムロボットXの各機能は、これまでIS研究所で培ってきた画像センシングを始めとする様々なセンシング技術や制御技術が有機的に結合することで初めて実現されるものである。各機能を実現する上で、キーとなる要素技術と機能実現における役割についてまとめる。

図3

図 3 セコムロボットXの搭載センサー


表 2 セコムロボットXに生かされているキーテクノロジー
技術要素
応用/実現される機能
役割/概要
自己位置検出技術
侵入検知機能

レーザレンジセンサーで現在計測されているデータと同一箇所で過去に計測された正常データを比較することで異常を検知する。そのためにはロボット自身がどの位置でどの方向を向いているか(自己位置検出)の精度がセンシング性能に直結する。

安全センシング機能
(路面形状検出機能)

前方斜めを向けたレーザレンジセンサーで計測された路面までの距離情報、計測周期の間に移動したロボットの距離情報から路面の起伏や障害物を検知する。移動距離を正確に知ることが起伏勾配や障害物までの距離を把握する上で重要な技術となる。

スケジュール巡回機能
(ガイド追従機能)

屋外を走行する上では段差や路面の材質などにより、マグネットなどのガイド線を敷設できない区間は自己位置を正確に把握しながら自律的に走行する必要がある。また無ガイド区間が終了し、ガイド線に復帰する際にソフトランディングする上での重要な技術となる。

トラッキング技術
侵入検知機能
レーザレンジセンサーで現在計測されているデータと同一箇所で過去に計測された正常データから移動侵入物体を検出する際、異常領域が同一異常物体であることを認識し、トラッキングすることで誤検出や多重検出を抑えることが出来る。
侵入検知機能
(侵入者カメラ追尾機能)

証拠画像を記録する上で、上記同様同一の移動物体と認識しパン・チルト・ズームカメラで、あるいはロボット自体で追尾記録する上で必要な技術となる。
立哨機能
(出入管理機能)
来訪者検知や不正車両の侵入を検知する際、同一の物体と捉えることで移動物体の移動方向を把握することが可能となり、そのことで正当な移動経路と異常な移動経路を区別することが出来る。
屋外画像処理技術
画像センシング機能
これまで屋内の侵入センサーとして培ってきた技術を屋外に展開したもので、太陽光や植栽のゆれなど外乱の多い屋外でセンシングする上で重要な技術である。
センシング技術
安全センシング機能
(障害物検知機能)

超音波センサー、加速度センサー、傾斜センサー、赤外線センサーなど各種センサーで誤検知のないセンシングを実現する上で、これまで機械警備で培ってきたセンシング技術のノウハウが生かされている。


 以上の様に様々な要素技術の組み合わせによりそれぞれの機能が実現されている。またここでは触れなかったが、立哨機能のような出入管理を行ううえでは認証技術も重要な技術であり、今後融合されるべき要素の1つである。



おわりに

 セコムが考えるロボットサービスと、巡回監視ロボットの研究開発の中で統合されたキーテクノロジーを紹介した。また今回は触れなかったがサービスロボットを有用なものとするためには、技術だけではなくサービスを運用していくためのノウハウも重要なウェイトを占めている。

 いずれにしても自ら移動することの出来るロボット警備は固定式のセンサーには無い多くの利点や可能性を有しており、お互いの利点や欠点を補い合いながら組み合わせて運用していくことが、今後ロボットの利用範囲を広げていく上で重要である。



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