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タイトル - 高齢者の外出促進に関する研究


 日本は世界でも類を見ない速度で高齢社会となり、健康維持の必要性はますます高まっている。しかし、現実には運動を行う時間や気力がないケースがみられ、如何に無理なく日常生活の中で運動をするかが課題となっている。

 そこで、本研究では健康維持の手段として歩行・外出に着目し、義務ではなく楽しく歩行・外出に取り組めるようなシステム創りを目的とした。具体的には、小型の携帯型GPS端末(ココセコム)とIT機器(地図情報システム、パソコン)を組み合わせる事で、高齢者が思わず外出したくなり、自然に行動範囲が広がるようなシステムを構築した。

 本システムの効果を検証するために東京都三鷹市で60歳以上の方16名にご協力頂き、実証実験を行った。尚、実験開始から2週間は、通常の外出量を測定するためにパソコンから地図情報を見られない期間(「予備期間」)とし、そのあと数ヶ月間システムを利用できるようにした。

 予備期間中および実証実験終了後には、評価のために健康診断、脳機能検査、アンケートを実施した。

 実験結果は、歩行距離が増加した人数を見ると16名中12名であり、本システムは歩行促進に寄与したと言える。また、検査結果から15名中4名に健康維持9名に健康改善、15名中13名に脳機能改善が見られた。

 


目次
 

研究の背景
  研究過程
  実証実験内容
  実証実験結果


研究の背景

 平成17年度の高齢社会白書によると、65歳以上の高齢者人口は平成16(2004)年10月1日時点で2,488万人であり、総人口に占める高齢者の割合(高齢化率)は19.5%となっている。こうした高齢社会において、高齢者が健康なまま日常生活をすごせることは重要であり、健康維持の必要性はますます高まっている。

 厚生労働省の健康日本21 に関する文章によると、身体活動量が多い者や運動をよく行っている者は、総死亡、虚血性心疾患、高血圧、糖尿病、肥満、骨粗鬆症、結腸がんなどの罹患率や死亡率が低いと述べられている。しかしながら、現実には運動を行う時間や気力がないケースがみられ、如何に無理なく日常生活の中で運動をするかが課題となっている。

※ 高齢社会白書 : 高齢社会対策基本法に基づき、平成8年から毎年政府が国会に提出している年次報告書
※ 健康日本21 : 「21世紀における国民健康づくり運動」の通称で、健康づくりに関する意識の向上及び取組を促すもの

 

研究過程

 そこで、本研究では健康維持の手段として歩行・外出に着目し、義務ではなく楽しく歩行・外出に取り組めるようになれば、先述の課題を解決できると考えた。

 具体的には、小型の携帯型GPS端末(ココセコム、図1)と地図情報システムを組み合わせる事で、高齢者が思わず外出したくなり、自然に行動範囲が広がるようなシステムを構築した。本システムは、移動軌跡を地図上に表示する機能や、移動距離を東海道五十三次に換算した時の到達宿場町を表示する機能(図2)、デジカメで撮った写真を地図上に貼り付ける機能などを有する。

※ ココセコム : GPS端末の位置情報を、高い精度で検索できる弊社のサービス。(http://www.855756.com/top.html)

図1 ココセコムの携帯端末

図 1 ココセコムの携帯端末

図2 本システムの表示画面

図 2 本システムの表示画面

実証実験内容

 本システムの効果を検証するために東京都三鷹市で60歳以上の方16名にご協力頂き、実証実験を行った。

 モニターの方々には、外出時に必ずココセコムを持って頂くことを依頼した。また、ご自身の移動結果を自宅パソコンで見る為のログインアカウントを発行した。但し、実験開始から2週間は、従来(パソコンから結果を見た事がない状態)の外出量を測定するための期間(以降「予備期間」)とし、予備期間経過後にアカウントを発行した。実験期間は予備実験期間を含め、およそ6ヶ月である。 本システムの効果を定量的に評価するため、予備期間中および実験終了後に、健康診断、脳機能検査、PCリテラシー検査、3種類の市販アンケートを実施した。また、実験終了後には主観アンケートを実施した。

※ 3種類のアンケート : 「ヘルスアセスメント」「運動習慣クラーク」「M・Pカウンセラー」

 

実証実験結果

図3 健康診断結果

図 3 健康診断結果

 実験結果は以下のとおりである。

 まず、予備期間とアカウント発行後の比較において、歩行距離が増加した人数を見ると16名中12名であり、本システムは歩行促進に寄与したと考えられる。

 次に、健康診断結果では、15名中4名に健康維持、9名に健康改善が見られた。また、脳機能検査の結果では、15名中13名に脳機能改善が見られた。

 最後に、市販アンケートでは、血圧やコレステロールなどの病態発生リスクが抑制される生活習慣に改善されている事や、心の安定、抑うつ性の改善などが見られた。また、主観アンケートでは、全員が「楽しかった」と回答し、6割が「家族との会話が増えた」、過半数が「積極的になった」「明るくなった」と答え、メンタル面においても良い影響があったと考えられる。

 

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