ブロックチェーンのハッカソン「Move Hackathon」においてセコムのチームが上位に入賞

IS研究所では、セコムグループのBPO・ICT事業の中核を担うセコムトラストシステムズ株式会社と共同で、ブロックチェーン関連技術の研究開発に取り組んでいます。この取り組みの一環として、今年7月に開催されたブロックチェーンの国際ハッカソン「Move Hackathon」に参加しました。このハッカソンは、アジア最大級のWeb3カンファレンスである「WebX」のサイドイベントでもあります。セコムのチームは、全18チームの中からファイナリストに選抜され、4位に入賞しました。

ハッカソンに参加したセコムのメンバー
ハッカソンに参加したセコムのメンバー

「Move Hackathon」は、パブリックブロックチェーン「Sui」とスマートコントラクト開発用言語「Sui Move」を用いたハッカソンです(2023年7月に国内で初開催)。このハッカソンにおいてセコムのチームは、VC(Verifiable Credentials)とブロックチェーンを組み合わせた「Sui-Port」というプロダクトを提案しました。Sui-Portは、プライバシーに配慮した本人確認(KYC)と資格確認、ブロックチェーン上のNFT移転との連携を実現しました。

現実世界の商取引では、金銭や物の授受だけでなく、取引に関わる人物のKYCや資格確認が必要になる場合があります。たとえば、日本では20歳未満の人物へのお酒の提供は法律で禁止されています。お酒の販売者は、購入者の年齢を確認してお酒の売買を行います。従来のブロックチェーンの世界には、取引を行う人物のKYCと資格確認に相当するプロセスがありません。またKYCと資格確認のために属性情報そのもの(居住地や年齢など)を開示することには、プライバシー上の懸念がありました。

セコムのチームは、ゼロ知識証明によってこれらの課題を解決できる可能性に着目しました。そして属性情報を開示することなく、属性情報が所定の条件を満たすことを検証する技術を開発しました。Sui-Portはこの技術を活用して、プライバシーに配慮しつつKYCと資格確認を行い、ブロックチェーン上のNFT移転を許可します。

ゼロ知識証明は、IS研究所が取り組む研究テーマの一つでもあります。Sui-Portに活用した技術は、2023年10月30日から福岡で開催されたコンピュータセキュリティシンポジウム2023(CSS2023)のデモンストレーションセッションにも出展され、最優秀デモンストレーション賞を受賞しました。

参考:ゼロ知識証明によるプライバシーを最大限保護する属性認証方式の研究

今後もIS研究所では、ブロックチェーンをはじめ、社会に変革を起こす最先端の技術を活用したプロダクトの企画と制作に取り組みます。その取り組みを通じて、新たな技術や次世代のサービスに繋がる知見を得る試みを続けてまいります。