開催レポート
第24回:ポストZ世代と問う、これからの『選択の科学』~あなたはなぜそれを選ぶのか

今回は、「ポストZ世代と問う、これからの『選択の科学』~あなたはなぜそれを選ぶのか」をテーマに、産業界の参加者とともに、多様な価値観で次代を彩る高校生/大学生/院生も交えながら、世代を超えた「選択」の価値観についてデザインワークショップ形式でディスカッションを開催しました。

モノが満ち溢れ、目新しさが薄れる現代、「モノ消費」「コト消費」、さらには「トキ消費」から「イミ消費(社会性)」「エモ消費(感情)」「ヒト消費(推し)」など、消費のスタイルが大きく変化をしています。“多様性と自分らしさ”という現代的な価値観のなかで、人々は何を基準に商品を選択し、消費し、その満足感や幸福さはどうなっていくのか。成熟し、変化する時代の、様々な世代の選択と消費にかかる価値観、そして未来への期待を探るのが狙いです。

まずはアイスブレイクを通じてチームビルディングを行った後、続くワークショップでは、世代や背景、価値観や視点が異なる多種多様な参加者が、それぞれの視点から「商品選択の基準や悩み・課題」について互いの価値観を共有しながら分野横断的に対話を深めました。新たな価値を生み出す新機軸なサービスや、影の部分を解消する仕組みなど、価値観や課題の本質を紐解きながら、未来の社会に繋がるアイデアに議論が展開しました。

開催概要

2023年9月27日(水)17:00~20:00

総合ファシリテーター

  • セコム株式会社 本社オープンイノベーション推進担当 リーダー / セコムオープンラボ総合ファシリテーター
    沙魚川 久史

    セコムでは、研究開発や科学研究助成事業責任者を経て、現在オープンイノベーションチームを率い、各種の新価値探索から「SECOM カンタービレ」「dot-i(ドットアイ)」など協働商品開発まで担う。イノベーション推進に向け「セコムオープンラボ」を主宰、挑戦的ブランド「SECOM DESIGN FACTORY」を立ち上げて展開中。本社企画部担当課長を兼任。社外では、東京理科大学客員准教授を経てフェロー、大学や国立研究開発法人、産学官コンソーシアムなどでも活動。主な著書に『知的財産イノベーション研究の展望(第5章)』(白桃書房)など。

当日の模様

今回は、「ポストZ世代と問う、これからの『選択の科学』~あなたはなぜそれを選ぶのか」と題して、多様な価値観で次代を彩る高校生/大学生/院生約50名と、金融や情報通信を始めとした様々な業種の産業界中心の参加者約50名とともにデザインワークショップ形式でアイデアディスカッションを開催しました。

「ダサくない水」がハイプライスで売れる現代、モノが満ち溢れ、目新しさが薄れる現代、「モノ消費」「コト消費」、さらには「トキ消費」から「イミ消費(社会性)」「エモ消費(感情)」「ヒト消費(推し)」など、消費のスタイルが大きく変化をしています。“多様性と自分らしさ”という現代的な価値観のなかで、人々は何を基準に商品を選択し、消費し、その満足感や幸福さはどうなっていくのか、多様な価値観を取り入れながら、未来への期待を探るのが今回の目的です。

冒頭、イントロダクションでは、多様な視座による価値観の探索とコミュニケーションを重視した「セコムの“共想”」と、セコムオープンラボが持つ意味、オープンイノベーションによって結実した新たなサービスなどをご紹介。2010年代のベストセラー『選択の科学』(文藝春秋)から10年余り、現代における「商品の選択」を巡る幾つかの切り口と、今回のテーマに込めた背景についてフロアにインプットしました。

今回は、アイスブレイクとして、幅広い世代が集うチームビルディングのために世代の異なる参加者が相互理解を深めるゲームを実施。企業人と学生世代の間のライフスタイルや価値観の違いを可視化しながらグループ内の交流を深め、チームビルディングを進めました。

続くワークショップでは、61企業/官庁や大学から約100名の参加者が、13グループに分かれてそれぞれの視座からディスカッション。ワークタイムを細かく区切り、議題を変えながら、商品選択の基準や悩み・課題について、様々な視座・価値観・専門性により議論が展開されました。日々のお困りごとや感情の変化を可視化しつつ、これから必要になってくる新たなニーズをもとにアイデア提案へと昇華させるアプローチです。

ワークショップの前半戦は、商品選択に纏わる課題探索の時間帯です。商品選択の基準や悩み・課題についてそれぞれの主観や想いといった視点から課題を掘り下げ、発散させながら議論を進めます。
商品選択は日々の生活において当たり前のものである一方で、それに纏わる感情や価値観の変化を見つめなおすことは意外に新鮮な体験です。背景にある感情や日ごろ感じるもやもや感などの非言語的メッセージを、多彩な切り口から可視化していきました。

今回の軽食には、テーマである「選択」というキーワードにあわせて、“迷う”をコンセプトに、数十種のミニおにぎりやミニサンドイッチ、ミニバーガーのほか、セコム本社が所在する原宿地域で人気となっているカラフルや飲料や多くのバリエーションがあるお団子など、多数のフードをご用意。コミュニケーションが進む議論の場を演出しました。

途中、コーヒーブレイクタイムには、参加者が大きく移動して他グループと交流し、更なる多様性を取り込みながら、マッシュアップを進めました。

コーヒーブレイクを挟んだ後のワークショップ後半戦では、前半で出てきた商品選択の基準や悩み・課題を参考にしながら、グループ毎に自分たちを選択の悩みから解放する理想像や期待を叶えるモノやサービス、あるいはプロモーション方法について、新しいアイデアを提案。影の部分を解消する仕組みなど、価値観や課題、その裏にある感情を丁寧に紐解きながら、未来の社会に繋がるアイデアに議論が展開されました。

ここで出てきた、幾つかの興味深いアイデアを簡単にご紹介します。

  • 推しが勧める商品や推し仲間のコミュニティ(価値観が近い)が勧める商品を共有するサービス「推しと推しコミュニティで共感(シェア)」。選択の手間が無くなると同時に、「推し」を通して共感しているため、購入後の後悔に繋がらない。
  • 全ての商品が強制的にお試ししないと購入できないルールを法律的に定める「全試法」。強制的にお試しすることで、購入後に失敗してしまったという後悔を失くすことが可能。
  • メタバース的に構成された自分と対話できるサービス「メタミラー」。ステマを回避し、自分にあった世界観に基づいて壁打ち/対話しながら意思決定ができる。非日常も体験できるように、自分の価値観と少し異なるメタバース的に構成された他人から新たな視点を提示してもらえる機能も搭載。
  • 購入時のこだわりの少ない安価な消費財の自動選択アプリ「やっちゃえガチャ」。企業側にも商品認知拡大のメリットがあり、消費者側もタイパ・割引・ワクワク感などのメリットがあるサービス。
  • 購入後の自分の未来を見られるサービス「ミライジブン」。購入後の自分の生活を事前に見ることで、買った後の後悔を失くすことができる。
  • 比較サイトを経由して自分の譲れないポイントを押さえた複数アイテムを、近所のコンビニ等に届けてくれるサービス「ご近所百貨店」。長く使うアイテム(時計、服、財布など高価格帯のもの)を購入する際は、複数店舗を回って実物を見て比較することが多いが、本サービスを使用することで短時間・1箇所で購入することが可能に。

ワークショップ後には、大判のアイデア整理シートに各テーブル内での議論と提案アイデアをまとめ、その成果を発表して参加者全員でシェア。ふんだんなイラストとキャッチーなフレーズで参加者の心を掴みます。
参加者全員による投票を行い、もっとも多く共感を集めたグループを「最優秀共感賞」、次点を「優秀共感賞」として表彰しました。賞に選ばれたグループのメンバーには、それぞれに「“悩み”から解放する!」をコンセプトにご用意したリラックスギフトを副賞としてお贈りしました。

今回のセコムオープンラボは、“多様性と自分らしさ”という現代的な価値観のなかでの「商品選択」をキーワードに、それぞれの選択の基準だけでなく、普段感じている課題感や違和感などの非言語化メッセージを可視化し、共有することで、対話を深めていきました。全く異なる視座・価値観を持つ者同士の意見が交差することで、数多くの興味深いアイデアが次々と生み出され、参加者間で多くの気づきと新しい交流が生まれる場となりました。

ここで議論されたアイデアや、多種多様な視座からの未来像や課題感は、セコムを含め、参加者それぞれが持ち帰り、各々の視点から新たな“気づき・きっかけ”として活用いただけることと思います。この場を起点に、みなさまの想いが更に高まり、新たな創発が起きていくことを期待しています。

お問い合わせフォームへ

トップに戻る