多くの地域では、夏休みも終盤に入り、ご家族との楽しい思い出がたくさん積みあがった頃ではないでしょうか。
　ご家族や友人たちと夜空に打ちあがる花火大会を見に行った方も多いかと思います。また、ご自宅の庭や近くの公園で、小さな花火大会を開いたという方も少なくないと思います。
　小さな花火といえば、線香花火が思い出されます。徐々に変化していく花火が楽しいものです。この変化には名前が付いているそうで、「牡丹」「松葉」「柳」「散り菊」というそうです。この夏、最後の「散り菊」まで落とさずに見ることができた方は、いらっしゃいますか。

花火による火災は８月に多い
　楽しい花火ですが、火をともなう遊びゆえに、事故に発展するケースもあります。東京消防庁のまとめによると、花火が原因で火災になったという事例は、2009年から2013年までの５年間で119件あります。それを月別に見たものが、右の図です。７月と８月に多く発生していることがわかります。夏休み期間中に多く起こっているのです。多くは、誤った使い方をしたことによるもののようです。
　事例では、本来は地面に置いた状態で楽しむべき打ち上げ花火を、手に持って振り回したため、近くのゴミに火がついてしまったケース。遊んでいた場所が草の茂っているところで、花火の火が草に燃え移ってしまったケースなどが示されています。

花火の中身は「火薬」です
　また、花火による火災の年齢分布をみると、13歳以下が27％、14〜19歳が65％、20歳以上が８％となっています。中高生の花火による火災が大半となっていることがわかります。おそらく、大人抜きで羽目を外した楽しみ方をした時に事故が起こっているのではないかと思います。友だち同士で、夜の公園などで遊ぶのは楽しいものです。しかし、小さな花火とはいえ、中身は火薬です。
　これらの、いわゆる"おもちゃ花火"でも、火薬類取締法で火薬の量が決められています。少ないものでは１グラム以下と少量のものもありますが、地面に置いて火が噴きだすような花火では10グラムほど入っているものもあります。一度に複数本の花火を束ねて火をつけたり、ちょっと大きいものを振り回したりすると、事故や火災に発展しかねません。
　海外の例ですが、アメリカでは、１年間におもちゃ花火で１万人近くが負傷して治療が必要な状況だそうです。火薬の量が異なるために、単純に比較することはできませんが、火薬が多くなると危険性は高まるといえそうです。

正しい使い方をしていても事故が起こる可能性も
　楽しい花火ですが、火薬という危険物を取り扱っていることを忘れないでいただきたいと思います。花火に書いてある注意書きを守ること、周りに燃えやすいものがないか確認すること、多くの花火を一度に着火させないことなど、ルールを守って火災や事故にならないようにしましょう。
　手軽に楽しめるおもちゃ花火には、いろいろな種類があります。また、正しい使い方をしていても、製品の不良などによって思わぬ事故に至る場合もあります。万が一の場合に備えて、子どもだけではなく、大人が必ず見守ることも大切なリスクマネジメントかと思います。


セコムＩＳ研究所
リスクマネジメントグループ
濱田宏彰