皆さんは、ロジスティクス(Logistics)という言葉を聞いたことがありますか。もともとは軍事用語であり、戦場にいる味方の兵士に、弾薬などの武器や燃料を配給するなどの非戦闘活動を表す言葉です。
　ロジスティクスには、広く食糧配給や医療、そして手紙の配達サービスなど、前線の兵士が生きるために必要なものを供給することまでが含まれ、日本語では「兵站」（へいたん）と訳されています。現代的な軍隊では、前線にいる兵士の数倍に及ぶロジスティクス要員がいて当たり前といわれています。

本当の意味でのロジスティクスとは
　ビジネスの世界では、ロジスティクスを「物流」と理解する向きもあるようですが、本当の意味でのロジスティクスとは、物流に限らず、前線(ライン)で行われているさまざまな活動に対し、「必要なモノを」、「必要な時」、「必要な量を」、「必要な場所に」供給する諸活動のことです。
　たとえば、マラソンランナーに、レースの途中で飲料水を提供したり、電光掲示板などで必要な情報を教えたりすることはロジスティクスそのものです。国際スポーツの舞台で、選手村などの参加者の宿泊施設を用意したり、ケガに備えた医療スタッフを待機させたりすることも、広い意味ではロジスティクスにあたります。

セキュリティにもロジスティクスは不可欠
　さてここで、ホームセキュリティなどのセキュリティシステムについて考えてみます。セキュリティシステムの場合、何かあったときに、その場所に急行するセキュリティスタッフには、その場所の位置や、発生した異常の種類などの情報を適確に伝えなければなりません。
　また、異常が発生した物件の安全確認や点検に必要な、さまざまなツール類やその情報についても間違いなく供給し、その業務が滞りなく進むようにする必要もあります。すなわち、お客さまに、「安全・安心」をお届けするセキュリティ業務にもロジスティクスは必要不可欠であるということです。

セコムの持つロジスティクスのノウハウ
　セコムは、セキュリティサービスのためのロジスティクスにも多くのノウハウを持っています。その一部は、セコムの情報系グループ会社であるセコムトラストシステムズ�鰍ｪ提供する「セコムあんしんエコ文書サービス」などとしてサービス提供をしています。
　また、セコムの研究部門であるＩＳ研究所においてもロジスティクスは重要な研究テーマの一つであり、セコムが社会に提供しているソリューションのなかにその研究成果が活かされている例も少なくありません。

ロジスティクスがセキュリティの成否を左右する
　豊臣秀吉は、ロジスティクスに天賦の才能があり、「墨俣（すのまた）の一夜城」、「中国大返し」、「小田原攻めの持久戦」など、後の世に語り継がれる数々の戦績は、効率的なロジスティクスがあってこそといわれています。セキュリティを提供するうえでも、ロジスティクスは欠かせないものであり、これによってセキュリティの質が左右されるといっても過言ではありません。
　ホームセキュリティなどのセキュリティサービスを検討する際には、それを提供するサービスプロバイダのロジスティクスにも目を向けていただければと思います。

（参考)
・安心豆知識「セキュリティは単純な価格比較では選べない」
・「セコムあんしんエコ文書サービス」(セコムトラストシステムズ)
・人員配置スケジューリング技術とその応用(セコムIS研究所)

セコムＩＳ研究所
セキュリティコンサルティンググループ
甘利康文