残暑お見舞い申し上げます。立秋も過ぎ、暦のうえでは秋になりましたが、地球温暖化の影響からか、まだまだ猛烈な暑さが続いています。以前は、夏の暑い日々に涼をもたらしてくれていた夕立ちも、地球温暖化の影響からか、最近はゲリラ豪雨のような形で、局所的な災害をもたらすことが多くなっているように感じます。この急激に発達した雨雲の近辺では雷が発生し、これが社会インフラに影響をおよぼすことも少なくないようです。この雷による被害（雷害）ですが、最近は社会インフラにとどまらず、個人の所有する家電製品に影響をおよぼすことが多くなっています。

　雷というと、雷雲からの放電現象である稲妻・落雷を想像される人も多いかと思いますが、雷による災害である雷害は、直接的な落雷によるものにとどまりません。雷が発生する際には、空気中で放電が起こり、これがその周囲にある電線という電線に電流を流す働きをします。雷によって間接的に流れる電流を「誘導雷」と言い、実は雷による被害の多くがこれによって起きています。自然現象である雷が、人間の設置した電線に間接的に電流を流し、その瞬間的に流れる大きな電流が、電線を介して家庭に侵入してくるのです。これを「雷サージ」と呼ぶのですが、これで壊れる家電製品が後を絶ちません。

　最近の家電製品の多くは、テレビやDVDレコーダーなどに限らず、洗濯機や電気釜などの白物家電に至るまで、内部にパソコンに使われるものと同じタイプの電子部品が使われています。これらの電子部品は、性能を向上させるためにより小型化、複雑化し、雷サージで、過大電流が流れると故障しやすくなっています。雷による家電製品への被害を少なくするためには、家の側で雷が発生したら、家電製品につながった電源や通信などのケーブルをできる限り抜いて対応することが必要となります。どうしても電源を切ることができない家電製品には、雷サージに対応したケーブルタップなどの対応製品もありますので、これらを使うことも検討してみてください。

　雷によって家電製品が故障した場合は、たとえ保証期間内であっても無償修理が受けられないケースがほとんどです。家電製品が雷害で故障した場合、消費者の味方になってくれるものの代表に「火災保険」があります。火災保険は名前に「火災」と付くことから、火事に対応する保険だと思われる向きが多いのですが、一般には地震を除く天災にも対応しています。火災保険は、その付保対象によって「建物の火災保険」と「家財の火災保険」の２つに分かれ、それぞれ別契約の扱いとなります。雷害によって、太陽光発電装置やアンテナ設備などの家に付随する設備が壊れた場合は建物の火災保険、パソコンやテレビなどの、いわゆる家電製品が壊れた場合には家財の火災保険によって補償がなされます。建物の保険で家電製品は補償されませんし、家財の保険で家の設備が補償されることもありません。火災保険に加入されている方は多いと思いますが、ご自分が加入されている火災保険の付保対象を改めて確認してみてください。

　また、火災保険による保険金はこちらから請求しないと支払われません。雷で被害を受けた場合には、まず保険代理店や保険会社に報告して相談することが大切です。また、雷害による損害は、所得税の雑損控除の対象にもなるので、被害を受けた場合、税務署に相談することも忘れないようにすることです。現代の便利な生活の多くは、家電製品などの電子機器を抜きにして語れません。そのため、雷害が、私たちの生活におよぼす影響はより大きなものになっているといます。社会インフラを提供している企業などでは、雷害対策を必死になって行っています。現代の便利な生活を享受している私たち一人ひとりも、できるところから対策を考えてみてはどうでしょうか。

（参考）
・レーダー・ナウキャスト(気象庁)　雷・竜巻・降水の発生状況

・セコム安心マイホーム保険

・セコム保険サービス（株）（セコムグループの保険代理店）

・被害にあったら確定申告を(2010年02月22日「安心豆知識」)

セコムIS研究所
セキュリティコンサルティンググループ
甘利康文