2003年7月18日
セコム医療システム株式会社
「メディカル・リスクマネージメントシステム」を発売開始
 セコム医療システム株式会社(本社:東京都渋谷区、社長:小幡文雄、資本金:2億円)は、東北大学医学部附属病院との産学共同研究において、医療事故の分 析にFTA(Fault tree analysis:故障ツリー解析)・FMEA(failure mode & effects analysis:故障モード解析)の手法を確立させ、その手法をシステムとして組み上げた「メディカル・リスクマネージメントシステム」を完成させ7月 から発売を開始いたします。すでに導入が決定している2つの特定機能病院(国立大学病院と私立大学病院)にまずは導入します。

 このリスクマネージメントシステムは院内に設置されているオーダ端末や電子カルテ端末からタイムリーにインシデントやアクシデント情報を報告できるレ ポートシステムとリスクを徹底的に分析し潜在危険度を数値化するリスク分析システムで構成されています。当社は本システムを院内にサーバーを設置しない ASP方式、または院内にサーバー設置する非ASP方式(C/S方式)の2通りで各医療機関に提供します。

 リスクの分析には、安全に関わる様々な分野で実績のある信頼性解析手法(故障ツリー解析と故障モード解析)を用い、これによってリスクの特定と定量化を 行います。システムを単に導入するのみでなく、信頼性解析手法の有効性と医療機関における利用方法等についてもセコム医療システム株式会社の専門家が顧客 へサポートします。

 人の命を預かる医療現場では、些細なミスも許されません。しかし、ミスが事故に至った医療機関では詳細な事故調査・分析と対策を講じているものの、次々 と似たような事故が医療機関で発生しています。このような医療事故の発生を防ぐためには、まず第一に、『人は過ちを犯すもの』という認識と、エラーが起き てしまったときにそれを医療事故へと発展させないシステムを作らなければなりません。そのためには、事故が発生したときに、その直接の原因を追及するだけ ではなく、医療機関が普段から抱えている問題や環境など、その背景にある顕在化していない問題のリスク分析が必要となります。今回、セコムが販売するシス テムは、事故そのものから、事故に繋がる可能性のあるクレームや手術オカレンスまで、広範囲の情報について、そのリスクを分析するものです。

 具体的には、報告書情報に基づき、『それが生ずるためには何が起こらなければならないか?』という質問を繰り返し、望ましくない事象との因果関係を解析 します。そして、『システムの弱点を把握する』ために、潜在危険度=(発生する可能性/検知確率)×致命度 で表現し、これによってリスクを定量化して、 優先的に取り組むべき課題を明確化させます。

 多くの医療事故は臨床の現場で発生し各医療機関はその原因調査を実施しています。しかし、対策の内容と結果はほとんど公表されることがなく、医療機関内 に閉じらたままとなっております。医療機関が医療事故の発生防止をより効果的に行うためには、各医療現場がそれぞれ事故防止に取り組むだけではなく、取り 組みによって得られたノウハウを、共有できるようにすべきです。この要請に応えるためにセコムは、「メディカル・リスクマネージメントシステム」をASP 方式で提供することも可能にしました。

ASPとしてリスクマネージメントシステムを提供されることによって利用者は、システムの導入、維持管理やメンテナンスに一切悩まなく て済むだけではなく、他の医療機関のリスク対策ノウハウをいわば共有財産として利用することもできます。もちろん、個人情報や個別の情報のセキュリティに ついては十分配慮し、ネットワークもセコムヘルスケアネット(医療専用のIP−VPN)を通信インフラとして利用しています。
リスクマネージメントシステムの特長は以下の通りです。
 
1. ASP型システムで情報共有化
(1)ブラウザ上で動作し、端末にアプリケーションを登録しないで利用できます。
(2) 効果が得られた他の医療機関の事故防止対策情報を共有財産として利用できます。
(3)ユーザにサーバーを構築する必要がありません。
2. ネットワーク
通信回線は、セコム医療情報専用ネットワーク(セコムヘルスケアネット)を使用することによって安全なネットワーク環境下でのASPを可能にしています。
3. 使い勝手
医療事故その他の医療機関のリスクに関わる事象は発生源でタイムリーに報告できます。
この報告によって同時に上長やリスクマネージャーへの報告が行われ、リスクマネージャーは、問題の発生及びその状況を迅速に把握することができます。操作法も非常に簡単で、インターネットと同様にWeb画面の操作でご利用頂けます。
4. 問題事象のコード化とエラーマップによる再発の発見
  リスク事象を捕らえる上で必要な情報は全てコード化してあります。もちろん、ユーザーごとに追加することはできます。フェーズ、プロセス、発生エラーの軸でマップ展開を可能にしており、再発を一目で発見できます。
5. 分析帳票類
  故障ツリー解析表
故障モード解析表
各種グラフ表示(期間、部門指定可能)
クレーム一覧表(期間、部門指定可能)
インシデント一覧表(期間、部門指定可能)
アクシデント一覧表(期間、部門指定可能)
手術オカレンス一覧表(期間、部門指定可能)
提供予定価格(ソフトのみ)
  ASP方式は  5万円/月額から(端末台数に制限なし)
C/S方式は   500万円から(端末台数に制限なし)

導入サポート、コンサルティングは別途
 医療事故等の情報の収集がうまく進まない医療機関、現状収集したインシデントレポートやアクシデントレポートを事故防止対策に役立てることができない医療機関、医療事故防止対策を講じても良い結果が得られない医療機関、医療従事者の意識改革をしたい医療機関などで利用が期待されます。

 なお、セコムは7月16日から18日の期間、東京ビッグサイトで開催される国際モダンホスピタルショー2003に本システムを出展いたします。
<技術関係のお問合せ>
セコム医療システム株式会社 ソリューション部 出野
TEL:03-5775-8031


<報道関係のお問い合わせ先>
 セコム株式会社 広報室 安田
 TEL: 03-5775-8210