当中間連結会計期間における日本経済は、原油高や米国のサブプライムローン問題が国際経済に影を落とす中で、好調な企業収益を背景に設備投資の増加や雇用情勢の改善が見られ、景気はおおむね緩やかな拡大基調で推移しました。
近年の治安の悪化や凶悪犯罪の頻発などを背景に、安全・安心に対する社会的ニーズはますます多様化・高度化しています。このような状況の中、当社グループは、社会にとって安全・安心で、便利で、快適なサービスを創造し、これらを複合的・融合的に提供する「社会システム産業」の本格展開に向けて、セキュリティサービス事業をはじめ、防災事業、メディカルサービス事業、保険事業、地理情報サービス事業、情報通信・その他の事業をそれぞれ拡充し、社会のニーズに応えることに努めました。
セキュリティサービス事業には、事業所向けおよび家庭向けのセントラライズドシステム(オンライン・セキュリティシステム)、常駐警備、現金護送のほか、安全商品の販売などが含まれます。事業所向けには、オンライン・セキュリティシステムの機能を強化するとともにラインナップを充実させ、引き続き新規契約の獲得に注力しました。また、出入管理システムをはじめとする安全商品の販売に努めました。一方、家庭向けでは、オンライン・セキュリティシステム「セコム・ホームセキュリティ」の契約増加に努めたほか、安全商品の販売を促進し、ご家庭にトータルな安全を提供することを目指しました。
防災事業では、オフィスビル、プラント、トンネル、文化財、船舶、住宅などの様々な施設に自動火災報知設備や消火設備をはじめとする各種防災システムの提供を行っています。当中間連結会計期間は、大型案件における組織的営業活動の徹底や、最適な施工・メンテナンス体制の整備などに注力しました。
メディカルサービス事業には、在宅医療サービス、遠隔画像診断支援サービス、電子カルテ、医療機器等の販売、高齢者施設の経営、介護サービス、医療機関向け不動産賃貸などがあります。当中間連結会計期間は引き続き、訪問看護サービスや薬剤提供サービスを中心とした在宅医療サービスの拡充に注力しました。
保険事業では、事業所向けの「火災保険セキュリティ割引」、家庭総合保険「セコム安心マイホーム保険」、セコムの緊急対処員が“現場急行サービス”を行う自動車総合保険「NEWセコム安心マイカー保険」、最適な治療でガン克服を目指す「自由診療保険メディコム」など、当社グループならではの保険の販売に努めました。
地理情報サービス事業では、GIS(地理情報システム)技術を活用した自治体・民間向け業務支援サービスの提供をはじめ、測量・計測、建設コンサルタント事業などを行っています。当中間連結会計期間も、地方公共団体向けの統合型GIS製品「PasCAL」シリーズや、民間企業向けの「MarketPlanner」「LogiSTAR」「CRmanager」などの販売に注力しました。また、平成19年6月に高度な撮影能力を有するドイツの商用人工衛星「TerraSAR-X」の打ち上げが成功したことを受けて、その撮影データを幅広い分野で活用するための事業基盤を整備しています。
情報通信・その他の事業には、情報通信サービス、不動産開発・販売、不動産賃貸などがあります。情報通信サービス分野では、「安全」「安心」を24時間・365日提供する技術力やサービス力を活かし、情報セキュリティと大規模災害対策を核に据えたトータルな情報・ネットワークサービス事業を展開しており、コンサルティングサービスから具体的なソリューションの提供まで、BCP(事業継続計画)の視点に立ち急激に変化する企業環境に対応しています。不動産開発・販売分野では、セキュリティを重視した分譲マンション「グローリオ」シリーズなどの開発・販売に努めました。
これらの結果、当中間連結会計期間における連結売上高は、前第4四半期首より新たに能美防災株式会社が連結子会社となった寄与もあり3,236億円(前年同期比20.9%増加)となりました。また、利益面におきましては、営業利益は492億円(前年同期比16.7%増加)、経常利益は529億円(前年同期比17.0%増加)、中間純利益は294億円(前年同期比12.5%増加)となっております。
これを事業別にみますと、セキュリティサービス事業は、セントラライズドシステムを中心に順調に推移し、また、出入管理システムの大型受注等により商品売上も増加したため、売上高は2,099億円(前年同期比5.9%増加)、営業利益は532億円(前年同期比4.0%増加)となりました。
防災事業は、前第4四半期首より能美防災株式会社および上海能美西科姆消防設備有限公司等の子会社が、連結子会社となったことにより新設され、当中間連結会計期間の売上高は327億円、営業利益は11億円となりました。
メディカルサービス事業は、在宅医療サービス売上および高齢者施設売上が順調に推移していることに加え、医療機器販売売上が増加していることもあり、売上高は174億円(前年同期比19.7%増加)、営業利益は8億円(前年同期比42.9%増加)となりました。
保険事業の売上高は、セコム損害保険株式会社の正味収入保険料の増加および資産運用収益の改善により146億円(前年同期比11.5%増加)となりました。また、営業損益はセコム損害保険株式会社が、正味支払保険金が減少したほか、支払備金の繰入の減少により改善し、3億円の営業損失(前年同期は21億円の営業損失)となりました。なお、保険事業はその性格上、経常利益が重要な指標になりますが、保険事業の主たる会社であるセコム損害保険株式会社の経常利益は7億円(前年同期比139.4%増加)となっております。
地理情報サービス事業は、国土開発・保全および都市計画・防災計画のためのベースマップ作成、固定資産税評価・管理のための各種資料作成等の受注が堅調に推移し、売上高は140億円(前年同期比3.5%増加)となりました。しかしながら、株式会社パスコの主要市場である官公需は納品時期が年度末に集中しており、営業損益は上半期には損失計上、下半期には利益計上という季節変動要因が大きい傾向にあります。当中間連結会計期間は前年同期より3.8%改善し、22億円の営業損失となりました。
情報通信・その他の事業は、不動産開発・販売事業を行うセコムホームライフ株式会社が大幅な増収増益となったことにより、売上高は348億円(前年同期比23.4%増加)、営業利益は30億円(前年同期比93.8%増加)となりました。
また、所在地別にみますと、国内においては、売上高は3,136億円(前年同期比20.5%増加)、営業利益は550億円(前年同期比15.1%増加)となり、その他の地域においては、売上高が99億円(前年同期比33.7%増加)、営業利益は 3億円(前年同期比27.4%減少)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の状況は、以下のとおりであります。
|
前中間連結会計期間 (百万円) |
当中間連結会計期間 (百万円) |
前連結会計年度 (百万円) |
営業活動によるキャッシュ・フロー |
△ 26,774 |
53,336 |
△ 20,987 |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
22,232 |
△ 40,991 |
14,496 |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△ 36,377 |
△ 23,574 |
△ 30,495 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
54 |
680 |
620 |
現金及び現金同等物の減少額 |
△ 40,866 |
△ 10,549 |
△ 36,367 |
現金及び現金同等物の期首残高 |
228,745 |
192,378 |
228,745 |
現金及び現金同等物の中間期末(期末)残高 |
187,879 |
181,829 |
192,378 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは全体で533億円の資金の増加(前年同期は267億円の資金の減少)となりました。主な資金の増加要因は、税金等調整前中間純利益520億円、減価償却費193億円、受取手形及び売掛債権の減少225億円であります。また、主な資金の減少要因は、たな卸資産の増加117億円、仕入債務の減少94億円、法人税等の支払額245億円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは全体で409億円の資金の減少(前年同期は222億円の資金の増加)となりました。主な資金の減少要因は、投資有価証券の取得による支出598億円、警報機器及び設備等の有形固定資産の取得248億円、定期預金の増加27億円、短期貸付金の増加11億円であります。また、主な資金の増加要因は、投資有価証券の売却による収入420億円、有価証券の減少64億円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは全体で235億円の資金の減少(前年同期は363億円の資金の減少)となりました。主な資金の減少要因は、短期借入金の減少106億円、長期借入金の返済による支出22億円、配当金の支払額179億円であります。また、主な資金の増加要因は、長期借入による収入79億円であります。
これらの結果、現金及び現金同等物の中間期末残高は、前連結会計年度末に比べ105億円減少して1,818億円となりました。
2 【生産、受注及び販売の状況】
当中間連結会計期間における受注状況を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
事業区分 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
セキュリティサービス事業 |
4,926 |
11.6 |
3,774 |
△ 12.0 |
防災事業 |
41,795 |
― |
41,647 |
― |
地理情報サービス事業 |
26,795 |
13.2 |
22,121 |
34.8 |
情報通信・その他の事業 |
3,340 |
△ 7.2 |
1,710 |
29.0 |
合 計 |
76,858 |
142.5 |
69,254 |
214.5 |
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 平成18年12月8日、能美防災株式会社の第三者割当増資を引き受け、同社が持分法適用関連会社から連結子会社に異動したことに伴い、前連結会計年度より新たに「防災事業」を設け、独立区分して表示しております。
当中間連結会計期間における販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
事業区分 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
セキュリティサービス事業 |
209,974 |
5.9 |
防災事業 |
32,712 |
― |
メディカルサービス事業 |
17,407 |
19.7 |
保険事業 |
14,618 |
11.5 |
地理情報サービス事業 |
14,008 |
3.5 |
情報通信・その他の事業 |
34,886 |
23.4 |
合 計 |
323,609 |
20.9 |
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 平成18年12月8日、能美防災株式会社の第三者割当増資を引き受け、同社が持分法適用関連会社から連結子会社に異動したことに伴い、前連結会計年度より新たに「防災事業」を設け、独立区分して表示しております。
当中間連結会計期間において、当社グループ(当社および連結子会社)が対処すべき課題について、重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等はありません。
当社グループ(当社および連結子会社)は、安全を核とする社会システム産業を確立させるために、主として提出会社において研究部門と開発部門を組織し、必要な技術の研究、開発に積極的に取り組んでおります。なお、当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発費は総額2,824百万円であり、その大部分はセキュリティサービス事業および防災事業に係る研究開発費用、ならびに各事業部門に配分できない基礎研究費用であります。
研究部門(IS研究所)では、新サービスの創造・新機能の確立を狙った将来を見据えての先端技術の研究および商品のキーとなる基盤技術を研究しており、研究活動の構造を示すと次のとおりであります。
@先端技術分野
ブロードバンドネットワーク社会に対応した新たな「社会システム産業」を実現するための独創技術およびビジネスモデルを創出します。
イ ブロードバンドネットワーク通信を駆使したセキュリティシステムの研究等。
ロ バイオメトリクス(生体認証)応用技術、行動認識技術の研究等。
A基盤技術分野
イ 新しい原理によるセキュリティセンサー、既存セキュリティセンサーの性能向上手法の研究等。
ロ 大規模ビル用セキュリティシステム、ITシステムとセキュリティシステム、ビルオートメーションシステムとセキュリティシステムの統合技術の研究。
ハ テレラジオロジー分野におけるサービスシステムの研究、患者・医師・医療機関同士の情報連携の研究、生活習慣病予防・介護予防サービスの研究、障害者向けの福祉機器の研究等。
ニ ネットワークセキュリティ技術、インターネット上の安全を確保するための新たな認証技術の研究およびサービスシステムの研究等。
開発部門では、開発センターにおいて、より高品質なセキュリティ、安心感、利便性を提供するシステムや安全商品を社会動向、犯罪動向、通信インフラ等の動向を先取りし、当社独自のノウハウに先端技術・斬新的アイデアを盛り込み、信頼性の高い独創的な商品をいち早く商品化しております。
例えば、画像処理技術を活かした防犯用のセンサー、携帯電話インフラとGPS技術を活かしたシステム、様々な方式の非接触カードに対応したICカードリーダーおよびセキュリティのインフラとなるIT技術を駆使したコントロールセンターとの通信技術など、社会システム産業を支えるシステム・機器・セキュリティインフラ等の開発を行っております。
SIセンターでは、主として大規模施設および最重要施設向けセキュリティシステムの開発を担当しております。
多様化する顧客ニーズに対応するため、個人認証システムの技術応用や多様なアクセス管理手法の開発はもとより、効果的な施設運営管理手法の開発やネットワークを用いた分散と集中の管理手法の開発などにも取り組んでおります。
また、国内連結子会社の株式会社パスコでは、研究開発センターが中心となって基本技術の開発を行い、プロジェクトチームを編成して応用技術の開発、新製品の開発および既存商品の機能強化等を行っております。能美防災株式会社では、社会の安全に貢献することを基本理念として、火災事象の基礎研究をベースとした火災の早期検知・消火方法の確立に努めており、これらをもとに新しい防災システムの構築および機器の開発を行っております。
提出会社における研究開発分野及び研究開発体制は、下図のとおりであります。