当中間連結会計期間における日本経済は、好調な企業収益を背景に設備投資の増加や雇用環境の改善が見られ、景気は引き続き緩やかな回復基調で推移しました。
一方、近年の治安の悪化や個人情報保護への意識の高まりなどを背景に、安全・安心に対する社会的ニーズはますます多様化・高度化しています。このような状況の中、当社グループは「社会システム産業」の本格展開に向けて、新サービス・商品の提供、事業所の新設・再配置および組織の改編を行うなど中核となるセキュリティサービス事業を拡充させる一方、メディカルサービス事業、保険事業、地理情報サービス事業、情報通信・その他の事業を積極的に展開し、顧客のニーズにより一層合致した高付加価値サービス・商品を提供することに努めました。
セキュリティサービス事業には、事業所向けおよび家庭向けのセントラライズドシステム(オンライン・セキュリティシステム)、常駐警備、現金護送のほか、安全商品の販売などがあります。当中間連結会計期間、事業所向けには、ご契約先に設置した画像センサーで異常発生時に遠隔画像監視を行う「セコムAX」、幅広いセキュリティニーズへの対応が可能な汎用性の高い「セコムDX」などのオンライン・セキュリティシステム、出入管理システムや監視カメラなどの安全商品の販売に引き続き努めました。また大規模施設向けに、セキュリティシステム、常駐警備および安全商品などを組み合わせたオーダーメイドのシステムを提供することにも注力しました。一方、家庭向けには、住宅の規模や形態に合わせて最適なシステムを4タイプの中から選ぶことができる、新たな「セコム・ホームセキュリティ」シリーズを当中間連結会計期間に販売開始し、これまで以上に幅広い層のお客様のご要望にお応えできるようになりました。また、消防法改正により住宅用火災警報器の設置が順次義務付けられることを踏まえた新「ホーム火災センサー」の発売、戸建住宅の侵入手口の多くがガラス破りであることを踏まえた「SECOMあんしんガラス」や「SECOMあんしんフィルム」の販売強化を行いました。このほか、首都圏や関西圏の一部地域で「セコム・ホームセキュリティ」のお客様を対象に提供していた生活支援サービス「セコム・ホームサービス」について、サービス提供エリアを名古屋近郊や福岡近郊まで拡大しました。ご家庭の日常で起こるさまざまな問題の解決を手助けする「セコム・ホームサービス」が「セコム・ホームセキュリティ」に加わることで、ご家庭により高品質・高付加価値のサービスを包括的に提供することが可能になります。
メディカルサービス事業には、在宅医療サービス、遠隔画像診断支援サービス、電子カルテ、医療機器等の販売、有料老人ホームの経営、介護サービス、医療機関向け不動産賃貸などがあります。当中間連結会計期間は、訪問看護サービスや薬剤提供サービスを中心とした在宅医療サービスの拡充に注力しました。また、当社グループのセキュリティやメディカルのノウハウを結集した有料老人ホーム「セコムフォート」シリーズ第一弾として、平成18年10月1日に「コンフォートガーデンあざみ野」を横浜市にオープンしました。
保険事業では、セコムの緊急対処員が“現場急行サービス”を行う自動車総合保険「NEWセコム安心マイカー保険」をはじめ、事業所向けの「火災保険セキュリティ割引」、家庭総合保険「セコム安心マイホーム保険」、最適な治療でガン克服を目指した「自由診療保険メディコム」など、セコムならではの保険の販売に努めました。また当中間連結会計期間、乳ガンを経験された女性専用のガン保険「自由診療保険メディコムワン」を発売し、「自由診療保険メディコム」のラインアップを拡充しました。
地理情報サービス事業では、地理情報システム(GIS)技術を活用した自治体・民間向けソリューションサービスの提供をはじめ、測量・計測、建設コンサルタント事業などを行っています。当中間連結会計期間も、地方公共団体向けの統合型GIS製品「PasCAL」や、民間企業向けにエリアマーケティングを支援する「MarketPlannerシリーズ」等の販売を行ったほか、アジアを中心とした海外市場の開拓にも注力しました。
情報通信・その他の事業には、情報通信サービス、不動産開発・販売、不動産賃貸などがあります。情報通信サービス分野では、サイバーセキュリティサービスの提供を行うセコムトラストネット鰍ニ、ネットワークシステムの構築・運用を行うセコム情報システム鰍ェ平成18年5月1日付で合併し、会社名をセコムトラストシステムズ鰍ニ改め、新たなスタートを切りました。不動産開発・販売分野では、セキュリティを重視した分譲マンション「グローリオ」シリーズの開発・販売に努めました。
これらの結果、当中間連結会計期間における連結売上高は2,676億円(前年同期比2.5%増加 ※下表1参照)となっております。利益面におきましては、前期に「退職給付会計に係る会計基準」の一部改正に伴い、期首の未認識年金資産超過額を一括して費用の減額(△15億円)として処理したため増加率は小幅となり、営業利益は422億円(前年同期比2.9%増加)、経常利益は452億円(前年同期比8.2%増加)、中間純利益は261億円(前年同期比12.0%増加)となりました。
これを事業別にみますと、セキュリティサービス事業は、セントラライズドシステムを中心に順調に推移しており、売上高は1,982億円(前年同期比4.1%増加)となり、営業利益は512億円(前年同期比2.9%増加)となりました。
メディカルサービス事業は、潟}ックの大口案件の医療機器売上が減少したことにより、前年同期比△1億円1.3%減少の145億円となり、営業利益は6億円(前年同期比16.7%減少)となりました。
保険事業は、セコム損害保険鰍フ正味保険料収入は13億円増加しましたが、セコム保険サービス鰍ェ当中間連結会計期間より、保険事業の保険会社代理店業務における売上高の計上基準につき、受取保険料を売上高、保険会社への支払額を原価に計上する方法から、両者を相殺した手数料相当額を売上高に計上する方法に変更したため(前年同期を当期と同じ処理とした場合、20億円減少)、売上高は前年同期比△7億円5.7%減少の131億円となり、また営業損益はセコム損害保険鰍ェ台風13号の影響により自然災害に係る保険金の支払い等が約5億円増加したため、前年同期比△5億円32.1%損失増の21億円の営業損失となりました。なお、保険事業はその性格上、経常利益が重要な指標となりますが、保険事業の主たる会社であるセコム損害保険鰍ヘ前年同期5億円の損失計上に対し当期は2億円の利益計上となっております。
地理情報サービス事業は、売上高は135億円(前年同期比2.1%増加)となり、営業損益は潟pスコの請負業務に係わる売上が下期に集中するために上期は人件費等の固定費増加を吸収できず、前年同期比△1億円8.4%損失増の23億円の営業損失となりました。
情報通信・その他の事業は、売上高はセコムホームライフ鰍ェ上半期完成予定であった物件の完成が下半期に遅れたこともあり、前年同期比△7億円2.5%減少の282億円となりましたが、コスト管理を進めた結果、営業利益は15億円(前年同期比32.0%増加)となっております。
また、所在地別にみますと、国内においては、売上高は2,602億円(前年同期比2.2%増加)、営業利益は478億円(前年同期比1.6%増加)となり、その他の地域においては、売上高が74億円(前年同期比13.6%増加)となり、営業利益は4億円(前年同期比19.8%増加)となりました。
表1. セグメント別の前期比増減内訳 |
(金額単位:億円) |
|||||||
事業の種類別セグメント |
売上高 |
前期比較 |
|
事業の種類別セグメント |
営業利益 |
前期比較 |
||
増減額 |
増減率 |
|
増減額 |
増減率 |
||||
セキュリティサービス |
1,982 |
78 |
4.1 |
|
セキュリティサービス |
512 |
14 |
2.9 |
メディカルサービス |
145 |
△1 |
△1.3 |
|
メディカルサービス |
6 |
△1 |
△16.7 |
保険 |
131 |
△7 |
△5.7 |
|
保険 |
△21 |
△5 |
△32.1 |
地理情報サービス |
135 |
2 |
2.1 |
|
地理情報サービス |
△23 |
△1 |
△8.4 |
情報通信・その他 |
282 |
△7 |
△2.5 |
|
情報通信・その他 |
15 |
3 |
32.0 |
** 売上高 合計 ** |
2,676 |
64 |
2.5 |
|
消去及び全社 |
△67 |
1 |
2.7 |
|
|
|
|
|
* 営業利益 合計 * |
422 |
11 |
2.9 |
(2) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の状況は、以下のとおりであります。
|
前中間連結会計期間 (百万円) |
当中間連結会計期間 (百万円) |
前連結会計年度 (百万円) |
営業活動によるキャッシュ・フロー |
25,847 |
△ 26,774 |
41,607 |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△ 6,434 |
22,232 |
△ 113 |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△ 22,851 |
△ 36,377 |
△ 6,168 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
82 |
54 |
470 |
現金及び現金同等物の増減額(△は減少額) |
△ 3,355 |
△ 40,866 |
35,795 |
現金及び現金同等物の期首残高 |
192,950 |
228,745 |
192,950 |
現金及び現金同等物の中間期末(期末)残高 |
189,594 |
187,879 |
228,745 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、保険契約準備金の減少が478億円(前年同期は77億円の減少)、販売用不動産が167億円増加したことによるたな卸資産の増加195億円(前年同期比7.1%増)、仕入債務の減少116億円(前年同期は44億円の減少)、法人税等の支払額213億円(前年同期比40.6%増)などの減少要因により、税金等調整前中間純利益444億円(前年同期比5.9%増)、減価償却費176億円(前年同期比3.0%増)、受取手形及び売掛債権の減少131億円(前年同期比17.5%減)の増加要因があるも、全体では267億円の資金の減少(前年同期は258億円の資金の増加)となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、警報機器及び設備購入等の有形固定資産の取得による支出が244億円(前年同期比8.6%増)、投資有価証券の取得による支出が297億円(前年同期比6.2%増)、貸付による支出が36億円(前年同期比55.0%減)となりましたが、投資有価証券の売却による収入が643億円(前年同期比46.8%増)、有価証券の減少に伴う資金の増加56億円(前年同期は90億円の資金の減少)、貸付金の回収による収入が121億円(前年同期比20.8%減)となったため、全体では222億円の資金の増加(前年同期は64億円の資金の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加87億円(前年同期は81億円の減少)、社債の発行による収入48億円(前年同期は14億円の収入)などの増加要因がありましたが、社債の償還による支出306億円(前年同期は3億円の支出)、配当金の支払134億円(前年同期比20.0%増)などにより、財務活動の結果使用した資金は363億円(前年同期比59.2%増)となりました。
これらの結果、現金及び現金同等物の中間期末残高は、前連結会計年度末に比べ408億円減少して1,878億円となりました。
2 【生産、受注及び販売の状況】
当中間連結会計期間における受注状況を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
事業区分 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
セキュリティサービス事業 |
4,414 |
86.4 |
4,288 |
121.8 |
地理情報サービス事業 |
23,674 |
10.2 |
16,406 |
21.7 |
情報通信・その他の事業 |
3,599 |
53.3 |
1,326 |
△ 13.7 |
合 計 |
31,687 |
20.9 |
22,021 |
29.9 |
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当中間連結会計期間における販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりであります。
事業区分 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
セキュリティサービス事業 |
198,214 |
4.1 |
メディカルサービス事業 |
14,541 |
△ 1.3 |
保険事業 |
13,105 |
△ 5.7 |
地理情報サービス事業 |
13,537 |
2.1 |
情報通信・その他の事業 |
28,268 |
△ 2.5 |
合 計 |
267,666 |
2.5 |
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当中間連結会計期間において、当社グループ(当社及び連結子会社)が対処すべき課題について、重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等はありません。
当社グループ(当社および連結子会社)は、安全を核とする社会システム産業を確立させるために、主として提出会社において研究部門と開発部門を組織し、必要な技術の研究、開発に積極的に取り組んでおります。なお、当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発費は総額2,017百万円であり、その大部分は提出会社におけるセキュリティサービス事業に係る研究開発費用および各事業部門に配分できない基礎研究費用であります。
研究部門(IS研究所)では、新サービスの創造・新機能の確立を狙った将来を見据えての先端技術の研究および商品のキーとなる基盤技術を研究しており、研究活動の構造を示すと次のとおりであります。
@先端技術分野
ブロードバンドネットワーク社会に対応した新たな「社会システム産業」を実現するための独創技術およびビジネスモデルを創出します。
イ ブロードバンドネットワーク通信を駆使したセキュリティシステムの研究等。
ロ バイオメトリクス(個体認識)応用技術、行動認識技術の研究等。
A基盤技術分野
イ 新しい原理によるセキュリティセンサー、既存セキュリティセンサーの性能向上手法の研究等。
ロ 大規模ビル用セキュリティシステム、ITシステムとセキュリティシステム、ビルオートメーションシステムとセキュリティシステムの統合技術の研究。
ハ テレケアおよびテレラジオロジー分野におけるサービスシステムの研究、患者・医師・医療機関同士の情報連携の研究、生活習慣病予防・介護予防サービスの研究、障害者向けの福祉機器の研究等。
ニ ネットワークセキュリティ技術、インターネット上の安全を確保するための新たな認証技術の研究およびサービスシステムの研究等。
開発部門では、開発センターにおいて、より高品質なセキュリティ、安心感、利便性を提供するシステムや安全商品を社会動向、犯罪動向、通信インフラ等の動向を先取りし、当社独自のノウハウに先端技術・斬新的アイデアを盛り込み、信頼性の高い独創的な商品をいち早く商品化しております。
例えば、画像処理技術を活かした防犯用のセンサー、携帯電話インフラとGPS技術を活かしたシステム、様々な方式の非接触カードに対応したICカードリーダー及びセキュリティのインフラとなるIT技術を駆使したコントロールセンターとの通信技術など、社会システム産業を支えるシステム・機器・セキュリティインフラ等の開発を行っております。
SIセンターでは、主として大規模施設および最重要施設向けセキュリティシステムの開発を担当しております。
多様化する顧客ニーズに対応するため、個人認証システムの技術応用や多様なアクセス管理手法の開発はもとより、効果的な施設運営管理手法の開発やネットワークを用いた分散と集中の管理手法の開発などにも取り組んでおります。
また、国内連結子会社の潟pスコでは、研究開発センター(旧名称:GIS総合研究所)が中心となって基本技術の開発を行い、プロジェクトチームを編成して応用技術の開発、新製品の開発および既存商品の機能強化等を行っております。
提出会社における研究開発分野及び研究開発体制は、下図のとおりであります。