第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

 当中間連結会計期間における日本経済は、企業収益の改善を背景に民間設備投資が増加し、個人消費に持ち直しが見られるなど、全般に緩やかな景気回復基調で推移しました。

 一方、近年の治安の悪化、個人情報の保護に関する法律の完全施行などを背景に、安全・安心に対する社会的ニーズはますます多様化・高度化しています。このような状況の中、セコムグループは「社会システム産業」の本格展開に向けて、新サービス・商品の提供や販路の拡大などを行い、中核となるセキュリティサービス事業を拡充させる一方、メディカルサービス事業、保険事業、地理情報サービス事業、情報通信・その他の事業のさらなる展開を図りました。各事業分野において高品質なサービス・商品を提供することはもちろん、それらの事業・サービスのさらなる融合により、お客様のニーズにより一層合致した高付加価値サービス・商品の提供に努めました。

 セキュリティサービス事業では、事業所向けに、画像監視による「セコムAX」や入退室管理にモニター機能を付加した汎用性の高い「セコムDX」などのオンラインセキュリティシステム、出入管理システム、監視カメラなどの拡販に引き続き努めました。また、当中間連結会計期間には、万引き防止システム国内シェアトップの企業との提携により、店舗での万引き防止対策として有効な「不正持出し監視システム」を発売しました。家庭向けには、オンラインセキュリティシステム「セコム・ホームセキュリティ」の契約増加に努めたほか、家庭総合保険や、「セコムあんしんガラス」、「ホームカメラシステム」、「セキュリフェースインターホン」などの安全商品を積極的に提案しました。

 メディカルサービス事業には、在宅医療サービス、遠隔画像診断支援サービス、電子カルテ、医療機器等の販売、有料老人ホームの経営、介護サービス、医療機関向け不動産賃貸などがあります。訪問看護サービスや薬剤提供サービスを中心とした在宅医療サービスの拡充に注力したほか、一人ひとりにきめ細かい対応を行う会員制健康管理サービス「セコム健康くらぶKENKO」を開始しました。「セコム健康くらぶKENKO」では、お客様が最新鋭の医療設備を備えた提携先のクリニックで質の高いサービスを受けられます。

 保険事業では、自動車総合保険「NEWセコム安心マイカー保険」、事業所向けの「火災保険セキュリティ割引」、家庭総合保険「セコム安心マイホーム保険」、最適な治療でガン克服を目指した「自由診療保険メディコム」など、保険とセキュリティ、医療を融合させた商品の拡販に努めました。

 地理情報サービス事業(従来「情報・通信・その他の事業」に区分していた事業を当期より「地理情報サービス事業」と「情報通信・その他の事業」に区分しております。)では、地理情報システム(GIS)技術を活用した自治体・民間向けのソリューションサービスの提供をはじめ、測量・計測、建設コンサルタント事業などを行っています。当中間連結会計期間には、大地震発生時の従業員の帰宅や企業の危機管理対策を支援する「帰宅支援マップサービス」を開始しました。

 情報通信・その他の事業には、情報サービス、不動産開発・販売、不動産賃貸などがあります。情報サービス分野では、サイバーセキュリティサービスの提供やネットワークシステムの運用などに引き続き注力しました。不動産開発・販売分野では、セキュリティを重視した分譲マンション「グローリオ」シリーズの開発・販売に努めました。

 

 これらの結果、当中間連結会計期間における売上高は 261,219百万円(前年同期比 3.2%増加)、経常利益は 41,798百万円(前年同期比 16.1%増加)、中間純利益は 23,363百万円(前年同期比 16.1%増加)となりました。

 

 これを事業別にみますと、セキュリティサービス事業は、セントラライズドシステムを中心に順調に推移しており、売上高は 190,353百万円(前年同期比 3.4%増加)となり、営業利益は 49,772百万円(前年同期比 6.2%増加)となりました。

 メディカルサービス事業は、在宅医療サービス及び医療機器販売等が順調に推移しており、売上高は 14,725百万円(前年同期比 19.6%増加)となり、営業利益は 745百万円(前年同期比 73.5%増加)となりました。

 保険事業は、売上高は 13,904百万円(前年同期比 3.1%減少)となり、営業損益は 1,621百万円の営業損失(前年同期比 0.7%損失増)となりました。なお、保険事業はその性格上、経常利益が重要な指標となりますが、保険事業の主たる会社であるセコム損害保険株式会社の経常損失は 508百万円(前年同期比 57.3%損失減)となっております。

 地理情報サービス事業は、売上高は 13,253百万円(前年同期比 6.1%増加)となり、営業損益は 2,126百万円の営業損失(前年同期比 10.7%損失減)となりました。

情報通信・その他の事業は、売上高は 28,981百万円(前年同期比 3.1%減少)となり、営業利益は 1,210百万円(前年同期比 997百万円増加)となりました。

なお、当中間連結会計期間より「情報・通信・その他の事業」の区分に属しておりました「地理情報サービス事業」について独立区分して表示し、「情報・通信・その他の事業」については「情報通信・その他の事業」に名称を変更しております。前年同期比較に当たっては、前中間連結会計期間分を変更後の区分に組み替えて行っております。

 

所在地別にみますと、国内においては、売上高は 254,667百万円(前年同期比 3.2%増加)、営業利益は 47,096百万円(前年同期比 10.2%増加)となり、その他の地域においては、売上高が 6,551百万円(前年同期比 5.1%増加)となり、営業利益は 393百万円(前年同期比 2.0%増加)となりました。

 

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の状況は、以下のとおりであります。

 

 

前中間連結会計期間

(百万円)

当中間連結会計期間

(百万円)

前連結会計年度

(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

49,308

25,847

90,108

投資活動によるキャッシュ・フロー

△ 44,884

△  6,434

△ 41,221

財務活動によるキャッシュ・フロー

△ 32,284

△ 22,851

△ 43,162

現金及び現金同等物に係る換算差額

20

82

25

現金及び現金同等物の増減額(△は減少額)

△ 27,840

△  3,355

5,750

現金及び現金同等物の期首残高

187,199

192,950

187,199

現金及び現金同等物の中間期末(期末)残高

159,359

189,594

192,950

 

 

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前中間純利益 41,933百万円(前年同期比 15.4%増)、減価償却費 17,096百万円(前年同期比 2.7%増)、受取手形及び売掛債権の減少 15,955百万円(前年同期比 18.4%減)などの増加要因から、たな卸資産の増加 18,291百万円(前年同期比 13,243百万円増)、法人税等の支払額 15,198百万円(前年同期比 8.3%減)などの減少要因を差し引いた結果、営業活動から得られた資金は 25,847百万円(前年同期比 47.6%減)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、警報機器及び設備購入等の有形固定資産の取得による支出が 22,544百万円(前年同期比 14.2%減)、投資有価証券の取得による支出が 28,027百万円(前年同期比 29.5%減)となったため、投資有価証券の売却による収入が 43,826百万円(前年同期比 64.5%増)となりましたが、投資活動の結果使用した資金は 6,434百万円(前年同期比 85.7%減)となりました。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少 8,151百万円(前年同期比 54.5%減)、配当金の支払 11,251百万円(前年同期比 11.1%増)などにより、財務活動の結果使用した資金は 22,851百万円(前年同期比 29.2%減)となりました。

 

 これらの結果、現金及び現金同等物の中間期末残高は、前連結会計年度末に比べ 3,355百万円減少して 189,594百万円となりました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 受注状況

当中間連結会計期間における受注状況を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

事業区分

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

セキュリティサービス事業

2,368

99.3

1,933

24.7

地理情報サービス事業

21,492

2.3

13,479

△  2.4

情報通信・その他の事業

2,348

△ 35.8

1,536

△ 18.2

合 計

26,209

1.4

16,949

△  1.7

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3 当中間連結会計期間より、「情報・通信・その他の事業」の区分に属しておりました「地理情報サービス事業」を独立区分して表示し、「情報・通信・その他の事業」については「情報通信・その他の事業」に名称を変更しております。なお、前年同期比較に当たっては、前中間連結会計期間分を変更後の区分に組み替えて行っております。

 

(2) 販売実績

当中間連結会計期間における販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

事業区分

販売高(百万円)

前年同期比(%)

セキュリティサービス事業

190,353

3.4

メディカルサービス事業

14,725

19.6

保険事業

13,904

△  3.1

地理情報サービス事業

13,253

6.1

情報通信・その他の事業

28,981

△  3.1

合 計

261,219

3.2

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3 当中間連結会計期間より、「情報・通信・その他の事業」の区分に属しておりました「地理情報サービス事業」を独立区分して表示し、「情報・通信・その他の事業」については「情報通信・その他の事業」に名称を変更しております。なお、前年同期比較に当たっては、前中間連結会計期間分を変更後の区分に組み替えて行っております。

 

3 【対処すべき課題】

当中間連結会計期間において、当社グループ(当社及び連結子会社)が対処すべき課題について、重要な変更はありません。

 

4 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループ(当社および連結子会社)は、安全を核とする社会システム産業を確立させるために、提出会社において研究部門と開発部門を組織し、必要な技術の研究、開発に積極的に取り組んでおります。なお、当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発費は総額1,955百万円であり、その大部分は提出会社におけるセキュリティサービス事業に係る研究開発費用および各事業部門に配分できない基礎研究費用であります。

 

研究部門(IS研究所)では、新サービスの創造・新機能の確立を狙った将来を見据えての先端技術の研究および商品のキーとなる基盤技術を研究しており、研究活動の構造を示すと次のとおりであります。

@先端技術分野

ブロードバンドネットワーク社会に対応した新たな「社会システム産業」を実現するための独創技術およびビジネスモデルを創出します。

イ ブロードバンドネットワーク通信を駆使したセキュリティシステムの研究等。

ロ バイオメトリクス応用技術、行動認識技術の研究等。

A基盤技術分野

イ 新しい原理によるセキュリティセンサー、既存セキュリティセンサーの性能向上手法の研究等。

ロ 大規模ビル用セキュリティシステム、ITシステムとセキュリティシステム、ビルオートメーションシステムとセキュリティシステムの統合技術の研究。

ハ テレケアおよびテレラジオロジー分野におけるサービスシステムのアーキテクチャ、医者・患者向けのユーザーインターフェイスの研究、障害者向けの福祉機器、スケジューラの研究等。

ニ ネットワークセキュリティ技術、公開鍵認証基盤を活用した新たな認証技術の研究等。

 

開発部門では、開発センターにおいて「社会のニーズを先取りし、革新性と独創性を求め、高い信頼性を追求する。」という考え方に立って、直接業務に必要な技術等の開発を行っております。

例えば、ご契約先での異常発生を感知するセンサーの開発、ビル・店舗・家庭向けの安全システム、出入管理システム、消火システムなど、社会システム産業を支えるシステム・機器等の開発を行っております。

 

SIセンターでは、大規模施設および最重要施設向けセキュリティシステム分野において、多様化する顧客ニーズに対応して、あるいは時代に先駆けた高度で高品質なセキュリティシステムを提供し続けるために、下記のような開発アイテムを取り上げ、積極的な取り組みを行っております。

@大規模セキュリティシステム

個人認証システムの技術応用、多様なアクセス管理手法の開発、ヒューマンインターフェースの開発、効率的な施設運営管理手法の開発、ネットワークを用いた分散と集中の管理手法の開発。

A品質管理手法

大規模システムの機能維持管理手法の開発、多物件の効率的保守管理システムの開発、シミュレータを用いた効率的な信頼性評価手法の開発。

 

また、国内子会社の潟pスコでは、GIS総合研究所が中心となって基本技術の開発を行い、プロジェクトチームを編成して応用技術の開発、新製品の開発および既存商品の機能強化等を行っております。

 

 

 

 

 

 

 

提出会社における研究開発分野及び研究開発体制は、下図のとおりであります。