第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、企業利益の好転を背景とした民間設備投資の増加など景気回復基調から始まりましたが、雇用改善が一巡したことや、自然災害および暖冬による個人消費の伸びの鈍化などから、景気回復は緩やかなものとなりました。

一方、近年の治安の悪化、特に凶悪な強盗事件や子供の連れ去り事件の発生などの社会情勢や相次ぐ個人情報の漏洩事件などを背景に、安全・安心に対する社会的ニーズはますます高まるとともに多様化しています。このような状況の中、セコムグループは「社会システム産業」の本格展開に向けて、新サービス・商品の提供や販路の拡大などを行い、中核となるセキュリティサービス事業を拡充させる一方、メディカルサービス事業、保険事業、情報・通信・その他の事業のさらなる展開をはかりました。各事業分野において高品質なサービス・商品を提供することはもちろん、それらの事業・サービスのさらなる融合により、顧客のニーズに、より一層合致した高い付加価値を持つサービス・商品の提供に努めました。

セキュリティサービス事業では、事業所向けに、画像監視による「セコムAX」や「セコムIX」、入退室管理にモニター監視機能を付加した汎用性の高い「セコムDX」などのオンラインセキュリティシステムや、画像劣化のない「D−CCTV」をはじめとする監視カメラなどの拡販に引き続き努めました。また、当連結会計年度には、さまざまな規格の非接触ICカードに対応した社員証の発行とセコムの「セキュアデータセンター」による厳格な顧客情報管理を行う「セコムIDカードサービス」を開始しました。家庭向けには、主力オンラインセキュリティシステム「セコム・ホームセキュリティ」の拡販に努めただけでなく、保険や防犯ガラス「SECOMあんしんガラス」、「ホームカメラシステム」、顔検知機能を持つ「セキュリフェースインターホン」などの安全商品を含め、顧客のニーズに合う包括的なサービス・商品を積極的に提案しました。当連結会計年度は、住宅侵入犯罪を未然に防ぐための「屋外画像監視サービス」や家庭用指紋照合システム「セサモ・ホームIDs」など、より高度なセキュリティを実現するサービス・商品を発売しました。このほか、最近社会問題となっている登下校中の小学生等を狙った誘拐事件に対応するため、位置情報提供サービス「ココセコム」をランドセルや通学服に専用端末を搭載させた上で販売するなど、そのさらなる普及に努めました。

メディカルサービス事業には、在宅医療サービス、遠隔画像診断支援サービス、電子カルテ、医療機器等の販売、高齢者向け施設の経営、介護サービス、医療機関向け不動産賃貸などがあります。当連結会計年度も訪問看護サービスや薬剤提供サービスを中心とした在宅医療サービスの拡充に注力したほか、デイサービス(通所介護)事業やAED(自動体外式除細動器)を活用した「セコムAEDパッケージサービス」を開始しました。

保険事業では、自動車総合保険「NEWセコム安心マイカー保険」、事業所向けの「火災保険セキュリティ割引」、家庭総合保険「セコム安心マイホーム保険」および最適な治療でガン克服を目指した自由診療保険「メディコム」など、保険とセキュリティ、医療を融合させた商品の拡販に努めました。また、大手生命保険会社と提携し「メディコム」の販路拡大をはかりました。 

情報・通信・その他の事業には、情報系サービス、地理情報サービス、不動産開発・販売、不動産賃貸などがあります。情報系サービス分野では、サイバーセキュリティサービスの提供やネットワークシステムの運用などに注力したほか、最近企業で相次いで発生した顧客情報流出事件に対応した「新・情報漏洩防止サービス」をいち早く開始しました。また、テロや広域大災害発生時に、顧客企業の対策本部初動をサポートするとともに、現地情報の収集と組織内での共有化、社員と社員の家族の安否確認が出来る業務早期再開支援サービス「セコム安否確認サービス(e−革新きずな)」を発売しました。地理情報サービス分野では、引き続き官公庁あるいは民間企業向けに様々なGIS(地理情報システム)商品の販売促進を行いました。不動産開発・販売分野では、セキュリティを重視した分譲マンション「グローリオ」シリーズの開発・販売に努めました。また、販売後も、「グローリオ」の居住者からの電話による生活相談を24時間365日受付け、セコムグループ各社に取り次ぐサービス「グローリオ・サポート24」をスタートし、防犯から暮らし全般までグループできめ細かく対応するサービス体制を確立しました。

 

これらの結果、当連結会計年度における売上高は547,230百万円(前連結会計年度比3.8%増加)、経常利益は83,478百万円(前連結会計年度比9.5%増加)となり、特別損失において減損損失7,589百万円等の合計で10,105百万円を計上しましたが、特別利益において固定資産売却益6,601百万円等の合計で11,381百万円を計上したため、当期純利益は48,517百万円(前連結会計年度比18.0%増加)となりました。

 

これを事業別にみますと、セキュリティサービス事業は、セントラライズドシステムを中心に順調に推移しており、売上高は377,598百万円(前連結会計年度比3.2%増加)となり、営業利益は94,784百万円(前連結会計年度比2.9%増加)となりました。

メディカルサービス事業は、在宅医療サービスおよび医療機器販売等が順調に推移しており、売上高は25,418百万円(前連結会計年度比15.9%増加)となりましたが、営業利益は695百万円(前連結会計年度比34.0%減少)となりました。

保険事業は、売上高は29,997百万円(前連結会計年度比3.5%増加)となりましたが、台風に伴う被害などで損害率が悪化したことなどにより、営業損益は2,538百万円の営業損失(前連結会計年度は1,247百万円の営業利益)となりました。

情報・通信・その他の事業については、売上高は114,216百万円(前連結会計年度比3.4%増加)となり、営業損益は3,996百万円の営業利益(前連結会計年度は281百万円の営業損失)となりました。

 

所在地別にみますと、国内においては、売上高は534,539百万円(前連結会計年度比3.7%増加)、営業利益は95,772百万円(前連結会計年度比1.6%増加)となり、その他の地域においては、売上高が12,691百万円(前連結会計年度比7.6%増加)となり、営業損益は290百万円の営業利益(前連結会計年度は105百万円の営業損失)となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物の状況は、以下のとおりであります。

 

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減

(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

87,939

90,108

2,169

投資活動によるキャッシュ・フロー

△  34,386

△  41,221

△   6,835

財務活動によるキャッシュ・フロー

△  36,211

△  43,162

△   6,950

現金及び現金同等物に係る換算差額

△     175

25

200

現金及び現金同等物の増減額

17,166

5,750

△  11,415

現金及び現金同等物の期首残高

170,033

187,199

17,166

現金及び現金同等物の期末残高

187,199

192,950

5,750

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益84,754百万円(前連結会計年度比1.9%増加)、減価償却費36,345百万円(前連結会計年度比3.1%減少)、利息及び配当金の受取額10,229百万円(前連結会計年度比6.4%減少)などの増加要因から、法人税等の支払額30,913百万円(前連結会計年度比25.8%増加)などの減少要因を差し引いた結果、営業活動から得られた資金は90,108百万円(前連結会計年度比2.5%増加)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、保険事業の運用資産の見直しなどにより、投資有価証券の取得による支出97,445百万円(前連結会計年度比56.7%増加)および投資有価証券の売却による収入66,534百万円(前連結会計年度比101.9%増加)となったほか、貸付金の回収による収入51,263百万円(前連結会計年度比9.1%増加)、警報機器及び設備購入等により有形固定資産の取得による支出が48,612百万円(前連結会計年度比23.0%増加)となったため、投資活動の結果使用した資金は41,221百万円(前連結会計年度比19.9%増加)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の減少に伴う資金の減少が10,169百万円(前連結会計年度比41.7%減少)、長期借入金の返済による支出31,456百万円(前連結会計年度比63.5%増加)、配当金の支払10,127百万円(前連結会計年度比12.5%増加)などにより、財務活動の結果使用した資金は43,162百万円(前連結会計年度比19.2%増加)となりました。

 

これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ5,750百万円増加して192,950百万円となりました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 受注状況

当連結会計年度の受注状況を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

事業区分

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

セキュリティサービス事業

4,138

19.7

1,430

△  10.5

情報・通信・その他の事業

42,124

13.6

6,775

2.1

合計

46,263

14.1

8,205

△   0.3

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 販売実績

当連結会計年度の販売実績を事業の種類別セグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

事業区分

当連結会計年度

自 平成16年4月1日

至 平成17年3月31日

(百万円)

前期比(%)

セキュリティサービス事業

377,598

3.2

メディカルサービス事業

25,418

15.9

保険事業

29,997

3.5

情報・通信・その他の事業

114,216

3.4

合計

547,230

3.8

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【対処すべき課題】

日々変貌していく社会において、人々の価値観の変化により、セキュリティをはじめ医療、保険、サイバーセキュリティ、地理情報サービスといった安全・安心に関わる社会的需要が一層多様化・高度化しております。

このような状況のもと、セコムグループはセキュリティサービスをはじめとする人々の安全・安心につながるさまざまなサービスを提供することで、より安心で便利、かつ快適な社会を実現する「社会システム産業」の構築を目指しております。その具体的な取り組みとして、まず、お客様のニーズに対応したきめ細かいサービスの提供に努めることで、お客様にご納得頂ける高品質なシステムを提供することを目指します。また、グループ各事業のさらなる融合化・複合化を進め、セコムグループの総合力を活かした包括的なサービスの提供に努めます。さらに、業務の見直しにより、徹底した経営の効率化を追求します。

これらの取り組みを通じて、セコムグループは“あらゆる不安のない社会”の実現と「困ったときはセコムに頼めばよい」と言われる企業体になることを目指してまいります。

 

 

4 【事業等のリスク】

当社グル−プ(当社および連結子会社)の事業等に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示という観点から以下に開示しております。当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の早期対応に努める所存であります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

 @信用リスク

  当社グル−プは、営業活動や投融資活動などにおいて、主に国内の取引先に対し発生するさまざまな信用リスクにさらされています。当社グル−プは、その状況を定期的に見直し、必要な引当金等の検討ならびに計上を行っておりますが、今後、取引先の財政状態が悪化した場合は、貸倒引当金の積み増しをせざるを得なくなる可能性があり、当社グル−プの業績および財務状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。

  また、警備契約やリース契約などにおいて、当社グル−プとの契約期間中に契約先が不測の事態に陥った場合、当社の初期投資等が損失になる可能性があります。しかしながら、特定の大口契約を有していないため、リスクは分散されております。

 

 A株価変動のリスク

  当社グル−プは、株価変動リスクを受けやすいさまざまな有価証券を有しております。したがいまして、株価が下落した場合、保有する有価証券に評価損が発生し、当社グル−プの業績および財務状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。

  当社グル−プは、投資効率が低く保有意義の乏しい投資にならないよう審査の上、総合的な経営判断のもと、投資を決定しております。

 

 B不動産価値変動のリスク

  当社グル−プは、不動産開発・販売および不動産賃貸事業等において、さまざまな不動産を有しております。不動産の価値は、マクロ経済などさまざまな要因により変動するリスクを有しており、当該価値の変動により当社グル−プの業績および財務状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。

  当社グル−プは、そのさまざまな要因やその資産の活用状況、タイミングなどを総合的に勘案し、取得・保有・売却などの意思決定を行っております。

 

 C金利変動のリスク

  当社グル−プは、資金を社債の発行および金融機関からの借入により調達しており、金利変動リスクにさらされています。したがいまして、金利変動により当社グル−プの業績および財務状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。

  当社グループは、主に金利変動に伴うキャッシュ・フローの変動を管理するために金利スワップ契約を利用しています。変動金利支払分を受け取り、固定金利を支払う受取変動・支払固定の金利スワップ契約により、キャッシュ・フローを固定しております。

 

 D年金債務

  当社グル−プの年金資産の時価が下落し、年金資産の運用利回りが期待運用収益率を下回った場合や、予定給付債務を計算する基礎となる保険数理上の前提・仮定に変更があった場合には、数理計算上の差異が発生します。数理計算上の差異は、当社グループの会計方針に従い、発生年度に全額損益処理されることから、当社グル−プの業績および財務状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。

  しかしながら、厚生年金基金の代行部分を国に返上したことや、退職給付制度を確定拠出年金制度およびキャッシュバランス制度(在籍期間中の年収に応じて毎年累積した額に10年国債応募者利回り3年平均の利息を付与する制度)に移行したことにより、将来の数理計算上の差異発生リスクを低減しております。

 

 E保険事業における流動性リスクおよび自然災害・大規模災害リスク

  当社グル−プは、保険事業において積立保険を含む損害保険を販売しております。積立保険の契約期間は主に5年であり、満期および解約時に返戻金を支払う必要があります。市場の混乱等により資金回収が遅延した場合や、予期せぬ多額の保険金支払および大量解約等により資金流出が発生した場合には、流動性が損なわれ、予定外の運用資金の回収を行う必要があり、当社グル−プの業績および財務状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。

  資金運用にあたっては、さまざまなリスクを考慮し、償還期限に合わせた運用を行っており、流動性の確保に努めております。

 また、地震・風水害などの自然災害、火災その他の大事故により、保険事業における業績および財務状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。

  当社グループは「保険引受規定」に基づき引受を行い、継続的な損害率の検証を行うなど、適正なリスクコントロールに努めており、また巨大災害・集積リスクについては再保険カバーにより対応しています。

 

 F競争激化のリスク

  当社グループの各事業分野への新規参入企業の増加により、価格の低下、あるいはマーケットシェアが低減する可能性があります。また、既存企業による低価格戦略の採用、顧客からの値下げ圧力等により当社グル−プの提供するサービス・商品が価格競争に巻き込まれる可能性があり、競争の激化に伴い、当社グル−プの業績および財務状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。

  ただし、当社グル−プの主要事業であるセキュリティサービス事業への新規参入は、設備投資等の初期投下資本額が膨大な額となることやノウハウの取得が困難であることなどから、容易ではないものと考えております。また、価格競争による収益性の低下に対しては、よりきめ細かいサービスの提供により価格下落を防ぐとともに、充分なコスト管理により収益の確保に努めます。

 

 G法規制の変更

  安全・安心というサービスを主に提供している当社グル−プの事業は、その性質上、厳格かつ詳細な法令や規制に従うことを要求されています。このような法令や規制に変更が生じた場合には、すみやかに対応する必要があり、大きな負担が発生する可能性があることから、当社グル−プの業績および財務状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。

  法規制の変更に基づくリスクを回避するため、当社グループでは関係当局の今後の動向を注視し、適時適切に対応する所存であります。

 

 H災害等の発生

  大規模な地震や停電などが発生した場合、当社グル−プの構築したネットワーク等のインフラが機能停止し、セキュリティ等のサービス提供に支障をきたすおそれがあります。また、契約先に設置されている当社グル−プ資産の警報機器等が災害等により損傷し、修理・交換等の対応を余儀なくされる可能性があります。したがいまして、大規模な地震や停電などが発生した場合、当社グル−プの業績および財務状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。

  しかしながら災害時の対応については、当社グル−プのノウハウを盛り込んだ災害対応マニュアルを完備するなどの対策を講じております。

 

 I顧客情報の管理

  当社グル−プは、セキュリティサービス契約に関するものをはじめとし、膨大な顧客情報を取り扱っており、このような情報の機密保持が極めて重要な課題となっております。万一、不測の事態により顧客情報が外部に漏洩した場合には、信用失墜や損害賠償請求等が発生し、当社グル−プの業績および財務状況に悪影響を及ぼすおそれがあります。

  当社グループはセキュリティサービスを中心に安全・安心を提供する企業体として、厳正な顧客情報管理体制を構築しています。外部からのネットワーク不正侵入への対策はもとより、内部からの情報漏洩防止のため、「情報セキュリティ方針」に基づいた厳格なシステム操作権限の設定、徹底した社員教育等を行うとともに、「個人情報取扱管理規定」をはじめ「個人情報に関する問い合わせ対応マニュアル」等を整備し、情報流出の防止に努めております。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) セコムSCセンターの賃貸借契約

当社は平成8年4月23日に研究・情報の拠点として、日鉄鉱業株式会社と三鷹日新ビル(呼称:セコムSCセンター)および敷地等の賃貸借契約を締結いたしました。

(

賃貸借契約に関する内容)

@

賃貸借期間

平成8年5月1日より30年間

A

敷地面積

10,604u

B

建築延床面積

21,001u

C

月額賃料

56百万円

 

(2) セコム本社ビルの賃貸借契約

当社は平成12年12月8日に、有限会社原宿ビルの不動産信託受託者である住友信託銀行株式会社と、セコム本社ビルおよびその敷地等の賃貸借契約を締結いたしました。

(

賃貸借契約に関する内容)

@

賃貸借期間

平成12年12月8日より20年間

A

敷地面積

 2,031u

B

建築延床面積

20,542u

C

月額賃料

111百万円

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループ(当社および連結子会社)は、安全を核とする社会システム産業を確立させるために、提出会社において研究部門と開発部門を組織し、必要な技術の研究、開発に積極的に取り組んでおります。なお、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は総額4,494百万円であり、その大部分は提出会社におけるセキュリティサービス事業に係る研究開発費用および各事業部門に配分できない基礎研究費用であります。

 

研究部門(IS研究所)では、新サービスの創造・新機能の確立を狙った将来を見据えての先端技術の研究および商品のキーとなる基盤技術を研究しており、研究活動の構造を示すと次のとおりであります。

@先端技術分野

ブロードバンドネットワーク社会に対応した新たな「社会システム産業」を実現するための独創技術およびビジネスモデルを創出します。

イ ブロードバンドネットワーク通信を駆使したセキュリティシステムの研究等。

ロ バイオメトリクス応用技術、行動認識技術の研究等。

A基盤技術分野

イ 新しい原理によるセキュリティセンサー、既存セキュリティセンサーの性能向上手法の研究等。

ロ 大規模ビル用セキュリティシステム、ITシステムとセキュリティシステム、ビルオートメーションシステムとセキュリティシステムの統合技術の研究。

ハ テレケアおよびテレラジオロジー分野におけるサービスシステムのアーキテクチャ、医者・患者向けのユーザーインターフェイスの研究、障害者向けの福祉機器、スケジューラの研究等。

ニ ネットワークセキュリティ技術、公開鍵認証基盤を活用した新たな認証技術の研究等。

 

開発部門では、開発センターにおいて「社会のニーズを先取りし、革新性と独創性を求め、高い信頼性を追求する。」という考え方に立って、直接業務に必要な技術等の開発を行っております。

例えば、ご契約先での異常発生を感知するセンサーの開発、ビル・店舗・家庭向けの安全システム、出入管理システム、消火システムなど、社会システム産業を支えるシステム・機器等の開発を行っております。

 

SIセンターでは、大規模施設および最重要施設向けセキュリティシステム分野において、多様化する顧客ニーズに対応して、あるいは時代に先駆けた高度で高品質なセキュリティシステムを提供し続けるために、下記のような開発アイテムを取り上げ、積極的な取り組みを行っております。

@大規模セキュリティシステム

個人認証システムの技術応用、多様なアクセス管理手法の開発、ヒューマンインターフェースの開発、効率的な施設運営管理手法の開発、ネットワークを用いた分散と集中の管理手法の開発。

A品質管理手法

大規模システムの機能維持管理手法の開発、多物件の効率的保守管理システムの開発、シミュレータを用いた効率的な信頼性評価手法の開発。

 

また、国内子会社の潟pスコでは、GIS総合研究所が中心となって基本技術の開発を行い、プロジェクトチームを編成して応用技術の開発、新製品の開発および既存商品の機能強化等を行っております。

 

  提出会社における研究開発分野および研究開発体制は、下図のとおりであります。

 

 

 

 

7 【財政状態及び経営成績の分析】

(1) 当連結会計年度の経営成績の分析

 @概況

   当社グループ(当社および連結子会社)は、セキュリティサービスを中心にメディカルサービス、保険サービス、情報系サービス、地理情報サービス、不動産開発・販売、不動産賃貸などの事業活動全般にわたってサービスの拡充、営業の拡大、システムの構築、商品の開発に努めるなど、積極的な事業展開をはかってまいりました。この結果、当連結会計年度の売上高は前連結会計年度に比べ19,821百万円(3.8%)増加して547,230百万円、営業利益は1,757百万円(2.2%)増加して83,043百万円、経常利益は7,235百万円(9.5%)増加して83,478百万円、当期純利益は7,406百万円(18.0%)増加して48,517百万円となりました。

 

  A売上高

   売上高は、セントラライズドシステムを中心とするセキュリティサービス事業、在宅医療サービスを中心とするメディカルサービス事業の売上高が堅調に推移したことに加え、保険事業および情報・通信・その他の事業も増収となったことから、前連結会計年度に比べ19,821百万円(3.8%)増加して547,230百万円となりました。各事業セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、セキュリティサービス事業が69.0%、メディカルサービス事業が4.6%、保険事業が5.5%、情報・通信・その他の事業が20.9%となりました。

 

  B売上原価、販売費及び一般管理費

   当連結会計年度の売上原価は、保険事業において台風に伴う被害などで損害率が悪化したことなどもあり、前連結会計年度に比べ16,706百万円(5.1%)増加して341,466百万円となり、売上高に占める割合も前連結会計年度の61.6%から62.4%に上昇しました。

   販売費及び一般管理費は、退職給付費用の増加や外形標準課税の適用などにより前連結会計年度に比べ1,357百万円(1.1%)増加して122,720百万円となりましたが、管理コスト抑制に努めた結果、売上高に占める割合は前連結会計年度の23.0%から22.4%に低下しました。

これらの結果、当連結会計年度の営業利益は前連結会計年度比1,757百万円(2.2%)増益の83,043百万円となりました。

 

  C経常利益および当期純利益

   当連結会計年度は、投資有価証券売却益および持分法による投資利益の増加により、営業外収益が前連結会計年度に比べ4,144百万円(53.1%)増加したことに加え、営業外費用が前連結会計年度比1,334百万円(10.4%)減少したことにより、経常利益は前連結会計年度比7,235百万円(9.5%)増益の83,478百万円となりました。

   また、固定資産の減損損失7,589百万円およびソフトウェア除却損1,017百万円などを特別損失として計上しましたが、固定資産売却益6,601百万円および貸倒引当金戻入益3,342百万円などを特別利益として計上したため、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度比1,543百万円(1.9%)増益の84,754百万円となりました。

   当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税ならびに法人税等調整額の合計は前連結会計年度比7,078百万円(17.7%)減少の32,869百万円となり、税金等調整前当期純利益に対する比率は前連結会計年度の48.0%から38.8%に低下しました。

   これらの結果、当連結会計年度の当期純利益は前連結会計年度比7,406百万円(18.0%)増益の48,517百万円となり、売上高当期純利益率は前連結会計年度の7.8%から8.9%に上昇しました。また、1株当たり当期純利益は前連結会計年度の181.40円より214.41円、潜在株式調整後1株当たり当期純利益も前連結会計年度の181.40円より214.41円となりました。

   なお、平成17年6月29日開催の定時株主総会において、1株当たり50円(前連結会計年度は1株当たり45円)の配当金が承認されております。

 

  Dセグメント別経営成績

   セキュリティサービス事業は、セントラライズドシステムを中心に順調に推移しており、売上高(セグメント間取引を含む売上高。以下についても同様。)は前連結会計年度に比べ13,895百万円(3.8%)増加して384,435百万円となりました。営業利益(セグメント間取引を含む営業利益。以下についても同様。)は前連結会計年度比2,702百万円(2.9%)増益の94,784百万円となり、売上高営業利益率は退職給付費用の増加もあり前連結会計年度の24.9%から24.7%に低下しました。

   メディカルサービス事業の売上高は、在宅医療サービスおよび医療機器販売等が順調に推移しており、前連結会計年度比3,501百万円(15.8%)増加の25,634百万円となりました。営業利益は新規の設備投資に伴う減価償却費の増加や、外形標準課税の適用などにより前連結会計年度比357百万円(34.0%)減益の695百万円となり、売上高営業利益率は前連結会計年度の4.8%から2.7%に低下しました。

   保険事業の売上高は、前連結会計年度に比べ1,259百万円(4.0%)増加して33,131百万円となりました。営業損益は、台風に伴う被害などで損害率が悪化したことなどにより、前連結会計年度の1,247百万円の営業利益から2,538百万円の営業損失となりました。

   情報系サービス、地理情報サービス、不動産開発・販売、不動産賃貸やその他のサービスを含む情報・通信・その他の事業の売上高は、潟pスコにおいて航空測量および地理情報サービスの受注が堅調に推移したことや、前連結会計年度の途中から連結子会社となった潟Wャパンイメージコミュニケーションズ等が通年で寄与したことなどにより、前連結会計年度に比べ4,935百万円(4.3%)増加して119,104百万円となりました。また、営業損益も前連結会計年度の281百万円の営業損失から3,996百万円の営業利益となりました。

 

(2) 当連結会計年度の財政状態の分析

 @資産

   当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ5,480百万円(0.5%)増加して1,097,548百万円となりました。

   流動資産は、現金及び預金が前連結会計年度末比44,062百万円(21.7%)増加の246,693百万円となり、また、保険事業の運用資産の見直しなどにより、コールローンが27,999百万円(73.7%)減少の10,000百万円、短期貸付金が12,417百万円(21.1%)減少の46,375百万円、有価証券が25,908百万円(54.7%)増加の73,252百万円となったため、合計は前連結会計年度末比29,606百万円(6.2%)増加の508,274百万円となりました。この結果、後述の流動負債が14,958百万円(5.7%)減少となったこともあり、当連結会計年度末の流動比率は前連結会計年度末の1.8倍から2.1倍になりました。

   固定資産は、保険事業の運用資産の見直しなどにより、投資有価証券が前連結会計年度末比35,376百万円(17.0%)増加の243,031百万円となった一方で長期貸付金が20,815百万円(32.6%)減少の42,983百万円となりました。また、建物・土地・無形固定資産について7,589百万円を減損処理したことや、旧b那アーバンプロパティーズおよび轄r井商店が賃貸営業用資産の一部を売却したことなどにより、固定資産合計は前連結会計年度末比24,028百万円(3.9%)減少の589,183百万円となりました。

 

 A負債

   当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ35,582百万円(5.4%)減少して623,457百万円となりました。

   流動負債は、短期借入金が前連結会計年度末比11,172百万円(9.4%)減少の108,172百万円、支払手形及び買掛金が2,767百万円(15.0%)減少の15,693百万円となったことなどにより、合計は前連結会計年度末比14,958百万円(5.7%)減少の246,222百万円となりました。

   固定負債は、長期借入金が前連結会計年度末比29,016百万円(66.7%)減少の14,513百万円となったことなどから、合計は前連結会計年度末比20,624百万円(5.2%)減少の377,234百万円となりました。なお、満期返戻金等の支払いに備えた積み立てを含む保険契約準備金は、当連結会計年度末で278,278百万円(前連結会計年度末比0.5%増加)となりました。

   また、当連結会計年度は有利子負債の削減に努めた結果、短期借入金が前連結会計年度末比11,172百万円(9.4%)減少の108,172百万円、長期借入金が29,016百万円(66.7%)減少の14,513百万円となり、1年以内償還予定社債690百万円、社債40,940百万円を含めた有利子負債合計は前連結会計年度末比31,577百万円(16.1%)減少の164,315百万円となっております。

 

 B資本

   当連結会計年度末の資本は、為替換算調整勘定が円高の影響により前連結会計年度末の△15,603百万円から△17,123百万円となりましたが、利益剰余金が前連結会計年度末比38,241百万円(12.4%)増加の346,510百万円、その他有価証券評価差額金が保有する上場株式の株価上昇により2,088百万円増加の8,167百万円となったため、合計は前連結会計年度末に比べ38,670百万円(9.6%)増加して441,927百万円となりました。

 

   これらの結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末の36.9%から40.3%となり、期末発行済株式総数に基づく1株当たり純資産は、前連結会計年度末の1,790.58円から1,962.74円となっております。

 

(3) 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析

 当社グループ(当社および連結子会社)は、柔軟な事業活動を行い、強固な財務基盤を保つために、高い流動性を維持することを基本方針としております。また、営業活動から得た資金で積極的に事業投資活動を行っております。

 

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益84,754百万円、減価償却費36,345百万円、利息及び配当金の受取額10,229百万円、減損損失7,589百万円などの増加要因から、法人税等の支払額30,913百万円などの減少要因を差し引いた結果、営業活動から得た資金は90,108百万円となりました。前連結会計年度との比較では、貸倒引当金の増減額が前連結会計年度の9,328百万円の増加に対し7,226百万円の減少となったことや、法人税等の支払額が6,345百万円(25.8%)増加した一方で、退職給付引当金及び前払年金費用の増減額が前連結会計年度を30,499百万円下回ったほか、販売用不動産等のたな卸資産が前連結会計年度の5,392百万円の増加に対し4,732百万円の減少となったことなどにより、営業活動から得た資金は前連結会計年度に比べ2,169百万円(2.5%)増加となりました。

 

 投資活動によるキャッシュ・フローは、保険事業の運用資産の見直しなどにより、短期貸付金および長期貸付金が純額で32,898百万円の回収(収入)となった一方で、有価証券および投資有価証券が純額で57,534百万円の増加(支出)となったことや、警報機器及び設備購入等により有形固定資産の取得による支出が48,612百万円となったことなどにより、投資活動の結果使用した資金は41,221百万円となりました。前連結会計年度との比較では、有形固定資産の売却による収入が33,016百万円増加した一方で、有価証券および投資有価証券の増加(支出)が純額で35,895百万円増加したこと、有形固定資産の取得による支出が9,100百万円(23.0%)増加したことなどから、投資活動の結果使用した資金は前連結会計年度に比べ6,835百万円(19.9%)増加となりました。

この結果、当連結会計年度のフリーキャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの純額)は、前連結会計年度と比べ4,665百万円減少して48,887百万円となりました。

 

 財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の借入1,189百万円、返済31,456百万円および短期借入金の減少10,169百万円により、短期借入金および長期借入金の収支純額で40,437百万円の減少(返済)となったほか、配当金の支払10,127百万円などにより、財務活動の結果使用した資金は43,162百万円となりました。前連結会計年度との比較では、短期借入金および長期借入金の収支純額が13,300百万円(49.0%)減少(返済)となった一方、社債の発行による収入が7,996百万円(817.6%)増加となったことなどで、財務活動の結果使用した資金は前連結会計年度に比べ6,950百万円(19.2%)増加となりました。

 

 これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ5,750百万円(3.1%)増加して192,950百万円となりました。

 

 当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは、以下のとおりであります。

 

 

第40期

平成13年3月期

第41期

平成14年3月期

第42期

平成15年3月期

第43期

平成16年3月期

第44期

平成17年3月期

自己資本比率(%)

46.8

36.6

33.9

36.9

40.3

時価ベースの

自己資本比率(%)

198.7

124.8

62.8

93.6

91.4

債務償還年数(年)

0.8

1.0

2.3

2.2

1.8

インタレスト・

カバレッジ・レシオ

89.6

122.5

31.7

35.2

39.7

 

    ※ 自己資本比率:自己資本/総資産

      時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

      債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

      インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

 

(注) 1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

3 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。