成長するにつれ、身が平らに、目は右側に!

あっさりとした白身で、刺身や煮付けなど和食の代表的な食材として人気の鰈。平目(ひらめ)とよく似ていますが「左ヒラメの右カレイ」と言われるように、平目は体の左側、鰈は体の右側に目が寄っています。生まれたばかりの稚魚は、一般的な魚と同じように身が丸く、目は左右に付いているのですが、成長するにつれて身が薄くなり、目も右側に寄ってきます。体色は黒っぽい茶褐色ですが、周囲の色に合わせて変えることができる「保護色」で、砂と同じ色になって姿を隠し、泳いでくる小魚やゴカイなどを食べています。砂の中でエサを待ち構えているので、目が少し飛び出ているのも特徴です。

「城下鰈」「若狭鰈」「王鰈」...ブランド化進行中!

鰈は日本沿岸だけでも40種以上生息していると言われ、種類により旬も味わいもさまざま。一般的には、脂が乗る夏は刺身に向き、子持ちとなる冬は煮付けに向いています。水揚げ量が多いのは「真鰈(マガレイ)」で、全国各地で年間を通じて獲れるので、価格が安定しています。「真子鰈(マコガレイ)」は特に夏場の刺身がおいしいと言われ、大分県の「城下鰈(シロシタガレイ)」は高級ブランドとして知られています。日本海側で多く獲れる「柳虫鰈(ヤナギムシガレイ)」は、形が笹の葉に似ていることから「笹鰈」とも呼ばれ、上品な味わいの干物が人気。特に福井県の若狭地方で獲れる「若狭鰈(ワカサガレイ)」が有名です。北海道の高級品種「マツカワ」は、「王鰈(オウチョウ)」と名付けられ、ブランド化が進められています。

赤ちゃんから成長期の子どもにピッタリの食材!

鰈は高タンパク低脂肪のヘルシー食材。消化が良いので、すりつぶして離乳食によく使われます。身体を正常な状態に戻し、肝機能を高めると言われるタウリンが豊富で、血圧の上昇を抑えたり、コレステロール値や血糖値を下げるなどの効能があるので、動脈硬化など生活習慣病の予防が期待できます。ビタミンではB1が豊富で、疲労の蓄積を防いだり、脳のはたらきを活発にすることで精神的な安定にもつながります。また、カルシウムの吸収を助けるビタミンDも豊富。骨や歯の成長に欠かせないビタミンなので、成長期の子どもには積極的に摂取してほしい食材です。

骨まで食べられる唐揚げがオススメ!

鰈は、できるだけ肉厚で表面にツヤと張りがあり、腹が白くてしまっているものを選ぶようにしましょう。切り身の場合は、骨の周りから血液がにじみ出ていないものが良品です。下ごしらえをするときは、ウロコが残っていると生臭くなる原因になるので、しっかりと取るようにします。鰈の身は柔らかく、家庭では刺身にするのは難しいので、加熱して食べるのがオススメです。切り身や大きめの一匹ものは煮付けや塩焼きに、小さめのものは唐揚げにすると美味。唐揚げにする際は、じっくりと加熱すると骨までパリパリと食べられるので、カルシウム補給にピッタリです。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

寒い季節になると、たっぷり卵を持った鰈が店頭に出回ります。子持ち鰈は煮付けにすると美味ですが、魚卵には粘膜を丈夫にするビタミンAやB2、エネルギー代謝に関わるビタミンB1など、身体にうれしい栄養素がたっぷりと含まれています。また、鰈の煮付けが冷めると、煮汁がプルプルと煮こごり状になりますが、これはヒレの間にある「エンガワ」と呼ばれる部位に含まれるコラーゲンが溶け出したため。コラーゲンは皮膚の張りを保つなど美肌に欠かせない栄養素なので、煮汁も一緒にいただきましょう。ただし、煮汁は塩分が多いので、血圧が気になる方はほどほどにしてください。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

  • 前へ
  • 次へ