熱帯・亜熱帯からやってくる「森のバター」

「森のバター」と言われるほど、ネットリとしたとろけるような食感と、濃厚でナッツのような風味が人気のアボカド。果実が大きくなるまで10〜15ヶ月かかるため、アボカドの枝は1年おきに実をつけます。中央アメリカが原産で、低温に弱いため、主な生産地は熱帯や亜熱帯地域。特にメキシコ、インドネシア、アメリカのカルフォルニア地方などで栽培が盛んです。日本で出回っているアボカドのほとんどはメキシコやチリからの輸入で、2000年以降から輸入量が飛躍的に増加。年中出回っていますが、メキシコ産は3〜9月がおいしい時期です。

「ワニナシ」の別名は、皮から来ている!?

アボカドの品種は1000種以上あると言われていますが、日本で売られているのは皮がゴツゴツして熟すと黒っぽくなる「ハス種」がほとんど。皮が厚いので長距離輸送に向き、皮が黒くなることから食べごろがわかりやすいと好評で、生産が拡大しました。このゴツゴツした皮がワニの皮に似ていることから、英名「aligator pear」が名付けられ、直訳して「ワニナシ」と呼ばれることもあります。ハス種はアボカドの中でも特に低温に弱いため、冬が寒い日本ではほとんど栽培されていません。国産アボカドとして出回っているのは、皮が熟しても緑色のままの「フォルテ種」「ベーコン種」です。

ギネスブックも認める栄養価の高さ!

アボカドは「最も栄養のある果物」として、ギネスブックにも載っているほど栄養豊かな食材です。ギネスブックには11種のビタミンと14種のミネラルを含んでいると記述されています。独特のネットリとした食感は、果肉の20%近くが脂肪分なためですが、この脂肪は主にリノール酸やオレイン酸などの不飽和脂肪酸。悪玉コレステロールを減らし、血液をサラサラにするはたらきがあると言われ、動脈硬化などの生活習慣病予防に効果的とされています。また、アボカドは特に女性に人気ですが、抗酸化作用がありアンチエイジング効果が期待できるビタミンE、体内の老廃物を排出してデトックスにつながる食物繊維、余分な塩分を排出してむくみを防ぐカリウムが豊富。栄養的にも女性にうれしい食材です。

20度前後の常温で追熟させるのがポイント

アボカドは未熟なうちに収穫し、常温で追熟させて食べる果物です。選ぶ時には形がキレイで張りとツヤがあり、ヘタと皮の間に隙間がないものがオススメです。皮がまだ緑色の場合は未熟なので、20度前後の常温で追熟させます。4.5度以下だと低温障害、27度以上だと追熟障害が起こる恐れがあるので、冬と夏は室温に注意してください。皮に黒みがかかり、さわるとやや弾力を感じると食べごろ。熟したらポリ袋に入れて冷蔵庫で保存します。2~3日のうちに食べきるようにしましょう。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

濃厚な風味と食感で人気のアボカド。サラダやサンドイッチの具にしたり、ペースト状にしてディップとして楽しむのが一般的ですが、醤油に合うのでわさび醤油で刺身のように食べたり、巻き寿司の具にしてもおいしいもの。さまざまな応用ができる便利な食材でもあります。アボカドは空気に触れると酸化するので、切ったらレモン汁を振りかけておくと変色を防げます。多く手に入ったときは、レモン汁を加えたペースト状にして冷凍することも可能。食べるときは自然解凍して、ディップやソースに使いましょう。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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