香り高く、とろけるおいしさの「新海苔」

寿司やおにぎりに巻いたり、ご飯のお供にしたり、日本の食卓に欠かせない海苔。江戸時代には養殖がスタートしていましたが、当時は海苔の生態が解明されていなかったため、カンと経験値が頼りで生産量が安定せず「運草(うんくさ)」とも呼ばれていました。戦後になってイギリスの女性学者によって生態が明らかになり、安定した養殖技術が確立し、広く養殖が行われるようになりました。収穫された海苔は板状に乾燥させるため保存が利き、一年中食べることができますが、旬は11月~3月ごろ。特に11月〜12月の収穫が始まった頃の海苔は「新海苔」と呼ばれ、香り高くとろけるような柔らかさが特徴です。

「有明海苔」は潮の干満差がおいしさの秘密!

海苔のサイズは昭和40年代に統一され、全形1枚は縦21センチ×横19センチです。10枚を1単位として「10枚=1帖」で表します。海苔は養殖法によって特徴があり、海底に打ち込んだアンカーにブイを付けて網を張って育つ「浮き流し」法は成長は早くなりますが、少し固めの海苔になります。海に支柱を立てて海面と平行に網を仕掛ける「支柱柵」法は、潮の満ち引きを利用した養殖法で、潮が満ちている時は海中の栄養を蓄え、潮が引くと太陽の光を浴びて光合成を行います。風味が良く口溶けの良い海苔ができる養殖法ですが、手間がかかるため価格はやや高め。「有明海苔」ブランドで知られる佐賀県有明海は、潮の干満の差が平均6メートルと大きく、最高の漁場とされています。

ご飯と海苔は栄養的にも最高の相性!

海苔はビタミンやミネラルなど、さまざまな栄養素を豊富に含む食材です。海苔の3分の1は水溶性の食物繊維なので、便秘予防や老廃物の排出におだやかに作用します。また、メラニンの生成を抑えてシミを防ぐなど美肌に欠かせないビタミンC、粘膜を丈夫にして風邪を予防するビタミンA、さらに糖質をエネルギーに変えるはたらきがあるビタミンB群が豊富。ご飯は糖質なので、朝食にビタミンB群が豊富な海苔と一緒に食べると、脳のはたらきを活発にするなど一日の活力源となり、「ご飯+海苔」はまさに理想的な組み合わせです。

海苔の「裏」「表」、知ってますか?

海苔は色が黒くツヤがあり、香り高くて柔らかく、とろけるような口溶けのものが上質とされ、価格も高いですが、用途によって選び分けることも大切です。海苔巻きを作るならば、風味は多少落ちても固めのものを選んだ方が作りやすいですし、うどんやラーメンに入れるときも固くしっかりした海苔の方が向いています。海苔には裏表があり、触ってみてツヤツヤした面が表、ざらざらした面が裏です。海苔巻きやおにぎりは、表面を外側に、裏面をご飯側にすると良いでしょう。また、海苔は湿気が大敵なので、保存するときは密封できる容器に乾燥剤と一緒に入れます。風味が落ちないうちに、早めに食べきるようにしましょう。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

食物繊維、ミネラル、ビタミン、アミノ酸など、さまざまな栄養素を豊富に含む海苔は、習慣的に食べることをぜひおススメしたい健康食材です。軽く火や熱であぶると風味が際立ちますが、これは加熱することによりうまみ成分のアミノ酸類が増加するため。ざらざらした裏面を熱にあてると焦げやすいので、表面を緑色になるくらいにあぶるようにします。オーブントースターで20秒ほど焼いても、パリッとして香りが引き立ちます。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

  • 前へ
  • 次へ