たっぷり脂の乗った冬の味覚!

真っ赤な魚体と脂の乗った上品な白身が特徴的なキンキは、水深150~600メートルあたりに生息する深海魚。色と名前が似ている「キンメダイ」と混同されることも多いですが、キンキはカサゴの仲間でまったく別の種類の魚です。大型であるほど深い場所に生息し、大きな回遊はせずに岩礁域に定住する生態があるので、脂がたっぷり乗った身になります。旬は、春の産卵期を控えて栄養を蓄える冬。日本海ではほとんと獲れず、北海道南部から房総沖あたりまでの太平洋側で主に水揚げされ、北海道が漁獲高1位となっています。

網走ブランド「釣りキンキ」

キンキは、以前はトロール網などで大量に獲れたため、肥料やかまぼこの原料にしていたほど安価な食材でした。しかし現在は水揚げ量が激減し、高級デパートやお取り寄せでしか見かけない高級魚になっています。北海道網走市では魚体を傷つけないように、針のついた長いロープを海に設置して釣り上げる「はえなわ漁」が行われ、釣り上げたらすぐに氷詰めにするので鮮度も良く、「釣りキンキ」としてブランド化されています。はえなわ漁で釣り上げた「釣りキンキ」を名乗れるのは、網走漁協に登録されている4隻の漁船のみ、という徹底したブランド管理がされています。

たっぷり乗った脂は不飽和脂肪酸

キンキの魚体が赤いのは、天然の鯛が赤い理由と同じで、好物であるエビの赤い色素「アスタキサンチン」の影響です。キンキはたんぱく質よりも脂質が多い珍しい魚ですが、この脂質はイワシやサンマなどの青魚と同じ不飽和脂肪酸。脳細胞を活性化させると言われるDHAや、中性脂肪を低下させ血液をサラサラにすることで脳梗塞などを予防するはたらきが期待できるIPA(EPA)などが豊富に含まれています。また、骨や歯を丈夫にするカルシウムの吸収を助けるビタミンDも豊富です。

鮮やかな赤色と飛び出た目が鮮度の証!

キンキは鮮度が良いほど魚体の赤が鮮やかで輝きがあり、古くなると赤が薄くなり、徐々にオレンジ色や黄色っぽくなります。また大きな目も鮮度を見分けるポイントで、キンキのような深海魚は水揚げ直後は少し飛び出たようになり、鮮度が落ちると徐々にくぼんでくるのでチェックしましょう。食べ方は煮付けが定番ですが、鮮度が良ければ刺身も美味。皮と身の間にうま味があるので、うろこを取るだけで皮ははがさずに湯引きにします。また、産地の北海道ではお湯で茹でただけの「湯煮」もよく食べられています。ポン酢やしょう油をかけて食べ、茹で汁はキンキの良い出汁が出ているので、お吸い物や煮物に使います。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

冬の高級魚キンキは、北海道や関東での呼び名で、北海道では「メンメ」と呼ばれることもあります。正式名称は「キチジ」で、「喜知次」「吉次」と字があてられるので縁起がいいとされ、北海道では祝い事の席で食べられることも多いようです。煮魚にされることが多いキンキですが、脂がたっぷり乗り、身離れが良く食べやすい魚なので、塩焼きにしたり、鍋の具にしても美味。市場にあまり出回らない高級魚でもあり、食べる機会は多くない食材ですが、魚類にしては脂肪分が高いので、体脂肪が気になる方は控えめにしてください。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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