多くの郷土料理が残る、昔ながらの身近な食材

そのまま食べるのはもちろん、お菓子やパンの素材としても人気のくるみ。紀元前7000年頃から食べられていたと言われるほど歴史の古い食材で、日本でも縄文時代の遺跡から出土されています。くるみは木の実(ナッツ)を食用としますが、木も「ウォールナット」と呼ばれ、チーク・マホガニーと共に世界三大銘木とされ、重用されています。世界的には中国とアメリカのカリフォルニア州が2大産地で、日本にも多くのくるみが輸入されていますが、以前は多くの家にくるみの木が植えられ、東日本を中心にくるみを使った郷土料理が多くあります。すって食べる料理が多く、そばやうどんのつけ汁「くるみだれ」や、味噌と混ぜて香ばしく焼く「くるみ味噌」、山菜などを和える「くるみ和え」が代表的です。

国産「信濃グルミ」は高級品種!

世界で最も多く生産され、くるみの代表格と言える品種が「ペルシャグルミ」。イランが原産地で、殻が薄くて割りやすく、実の部分が大きいので食用向きです。中国が原産地の「テウチグルミ」(カシグルミ)は、日本でも多く生産されています。もともと日本で自生していたのは殻の固い「オニグルミ」と比較的殻が薄い「ヒメグルミ」でしたが、現在日本でもっとも多く生産されているのは、ペルシャグルミとテウチグルミを掛け合わせた「信濃グルミ」。味が濃厚でうま味があり、高級品種として人気があります。長野県の東御地方で開発され、東御地方は国産くるみの一大産地となっています。

注目の「オメガ3脂肪酸」がたっぷり!

くるみの主成分は脂質で、55~70%を占めています。この脂質には「オメガ3脂肪酸」と呼ばれる「α-リノール酸」「エイコサペンタエン酸(IPA・EPA)」「ドコサヘキサエン酸(DHA)」が多く含まれ、血中コレステロール値を下げて動脈硬化など生活習慣病を予防したり、脳のはたらきを活性化したり、新陳代謝を良くして美肌につながるなど、多くの効能が期待できます。くるみを細かく砕いたり、すって食べると効率良く摂取できるので、すってたれや和え衣に加える昔からの日本の郷土料理は、理にかなった食べ方と言えます。

空気に触れさせないのが保存のポイント

殻付きのくるみは、殻の色が薄いほど新しく、古くなると濃くなります。選ぶときは、手に取ってみて、重さを感じるものを選びましょう。軽くて振るとカラカラと音がしたり、殻の真ん中に黒い線が出ているのは、古くなっているので避けましょう。また、穴があいているものも、虫食いの恐れがあります。冷暗所に置けば2~3ヶ月持ちますが、くるみは酸化しやすいので、殻を割るのは食べる直前にします。実の部分だけがパックで売られているものは、開封したら密閉容器に入れて冷蔵庫保存します。空気に触れる面が多いと酸化しやすいので、きざんだりすったりするのは食べる分だけ、調理の直前にしてください。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

くるみは、注目されている「オメガ3脂肪酸」だけでなく、さまざまな栄養素を豊富に含む食材です。脂質に含まれるビタミンEには体内の酸化を防ぐ抗酸化作用があり、生活習慣病の予防やアンチエイジング効果が期待できます。また、疲労回復を促進するビタミンB1、腸のはたらきを活発にして便秘を防ぐ食物繊維も豊富です。身体に良い栄養素がいっぱいのくるみですが、難点はカロリーが高いこと。多くても片手に軽く1杯程度(約270kcal)を限度にしましょう。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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