釣り魚としても人気!

独特の磯の香りを持つ白身魚のイサキ。初夏から夏にかけては「麦わらイサキ」と呼ばれ、味が落ちるとされる同時期の「麦わら鯛」とは逆に、特においしい旬の魚として重宝されます。関東から南シナ海までの沿岸地帯に生息し、沖釣りや磯釣りのターゲットとしても人気。やや細長い美しい流線型で、淡い黄色がかった体色に、頭から尾にかけての背に褐色の縞模様があるのが特徴です。しかし、この縞模様は幼魚の頃がもっとも鮮明で、成長するにつれ、ぼんやりした模様になります。

写真:今回の食材

「カジヤゴロシ」は骨の硬さが由来!?

イサキの呼び名の由来には、幼魚の時に「班(イサ)」が目立つ「魚(キ)」から「班魚」、または背びれが鶏の冠に似ているから「鶏魚」などの説があります。音から「伊佐木」「伊左幾」などの漢字があてられることもあります。関東以南の各地で水揚げされる身近な魚のため、地方ごとに異なる呼び名があり、「イサギ」(関東)、「イセキ」(高知)、「コシタメ」(静岡)、「ウズムシ」(近畿)などがありますが、興味深いのは和歌山の「カジヤゴロシ」。イサキの骨がノドに刺さって亡くなった鍛冶屋がいたことに由来しています。それだけイサキの骨が硬いことを指しているので、食べる時には注意しましょう。

写真:今回の食材

コクのある脂は不飽和脂肪酸!?

コクのあるうまみを持つイサキは、白身魚にしては脂肪が多く含まれています。この脂肪は不飽和脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)・EPA(エイコサペンタエン酸)で、DHAは脳機能のはたらきをスムーズにする作用があるとされ、EPAは血液をサラサラにして生活習慣病を予防するはたらきが期待されています。また、ビタミン類ではA、B群、Dが比較的豊富。ビタミンAは粘膜を健康に保つとされ、ビタミンB群は糖質やタンパク質の代謝を促進すると言われています。ビタミンDはカルシウムの吸収に欠かせないので、成長期の子どもや骨粗しょう症が気になる中高年には積極的に摂取してほしい栄養素です。

イサキの塩焼きは絶品!

イサキは大きいほど値段が張りますが、小さくても味が大きく落ちることはありません。新鮮なイサキでも眼は濁っているので、鮮度が見分けにくい魚ですが、ずんぐりと丸みを帯び、腹部がしっかりと締まっているものが良いでしょう。切り身や刺身になっている場合は、肉色が薄いピンクのものを選びます。イサキの塩焼きは絶品と言われますが、刺身も適度な歯ごたえがあり人気があります。独特の磯の香りを楽しむには、皮を付けたまま熱湯を通し、氷水でさっと締めた湯引きもオススメです。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

初夏から夏にかけての産卵期にイサキは旬を迎えます。旬になると真子(卵)や白子があり、新鮮なものが手に入れば、煮付けにするとおいしい一品になります。産地としては長崎が有名で、特に五島列島の小値賀島で水揚げされるイサキは「値賀咲(ちかさき)」と名付けられ、ブランド化しています。イサキは骨が硬く、ひれも尖って硬いので、注意が必要。調理するときは、あらかじめ背びれ、尾びれ、腹びれをキッチンハサミで切り落としておくと安心です。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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