写真:今回の食材

「無花果」と書くけど、花は咲く!

芳醇な甘みのイチジクは、6000年以上前から原産地のアラビア地域で栽培されていたと言われ、古代エジプトの壁画に描かれたり、アダムとイブが裸を隠すために使った葉として旧約聖書に登場するなど、歴史の古い果物です。日本へは江戸時代に中国から長崎県に伝わったとされ、挿し木で簡単に増やせることから一般家庭でも栽培されるほど広まりました。漢字では「無花果」と書きますが、果実のように見えるのは花軸が肥大化したもので、内側の果実のように見える赤い粒状の食べられている部分が花です。外から花が見えないので「無花果」という字があてられています。

甘く濃厚なブランドイチジクも登場!

イチジクは栽培が比較的簡単ですが、寒さに弱いので、生産地は愛知県、和歌山県、静岡県など温暖な地域が中心です。世界的にも原産地に近く温暖な地中海地域で栽培が盛んで、日本の生産量が1万数千トンなのに対し、世界1位のトルコは27万トン以上、2位のエジプトは17万トン以上も生産されています。国内で流通している8割は「桝井ドーフィン」という品種で、明治時代にアメリカから持ち込まれ、栽培のしやすさと日持ちの良さから全国に広まりました。江戸時代に中国から伝わった「蓬莱柿(ほうらいし)」は日本に定着して長いため、「日本イチジク」とも呼ばれています。福岡県で生まれ2006年に品種登録された「とよみつひめ」はジューシーで甘く濃厚な味わいで、ブランドイチジクとして人気を集めています。

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便秘と胃もたれ予防に効果的

イチジクの主成分は果糖などの糖分ですが、ビタミンB1とB2、カルシウムや鉄などのミネラルも含まれています。また、食物繊維の一種であるペクチンが非常に豊富なので、腸の運動が活発になり、便秘予防に効果的です。タンパク質分解酵素のフィシンも含まれるので、肉などの脂が多い料理の後にイチジクを食べると、胃もたれを防ぐはたらきがあります。ただし、未熟なものを食べると、逆に胃が荒れることがあるので注意してください。

中の赤い部分が見えてきたら食べごろ!

イチジクを選ぶときは、表面に張りと弾力があるものを選ぶようにしましょう。ヘタの切り口に白い液が付いているのは、新鮮な証拠です。実全体が色づき、果実の先の方が裂け始め、中の赤い部分が見えてきたら食べごろ。熟して食べごろを迎えてからは、急に鮮度が落ち始めるので、できるだけ早く食べるようにしてください。そのまま食べるのはもちろん、ジャムやシロップ煮にしても、おいしく食べることができます。ジャムにするときは糖分が高いので砂糖は控えめにし、レモン汁を加えると、味が引き締まり、色鮮やかなジャムになります。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

夏から秋に旬を迎えるイチジクは、古くから「不老長寿の果物」と言われています。食べて胃もたれを防いだり、喉の炎症などを抑える内用薬として、切り口から出る白い液は痔や水虫の外用薬として、さまざまな民間療法の薬として用いられてきました。乾燥したイチジクは「フィグ」と呼ばれ、食物繊維やミネラルなどの栄養素がギュッと凝縮し、肉と一緒にワイン煮などにすると酵素の力で肉を柔らかくする作用があります。ただし、生のイチジクも乾燥したフィグも、食べ過ぎるとお腹がゆるくなることがあり、カロリーも高めなので注意してください。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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