写真:今回の食材

葉だけではない!芽もつぼみも実も薬味として重宝

夏にピッタリな清涼感あふれる風味で、日本人には薬味として欠かせないしそ。縄文時代の遺跡から種子が発見され、平安時代にはすでに栽培が始まっていたと言われる歴史の古い食材です。葉だけでなく、発芽したばかりの「芽じそ」、つぼみの一部が開花しかけた状態で淡い紫色が美しい「花穂じそ」、未熟な実をつけた「穂じそ」なども薬味や刺身のつまとして使われます。日本全国で栽培されていますが、もっとも多いのは約3割を占める愛知県産。特に豊橋市は、しそや穂じそ、食用菊など、「つまもの」の生産が多いことで知られています。

「青じそ」も「赤じそ」も、旬は夏!

しそには大きく分けて「青じそ」と「赤じそ」の2種があります。青じその旬は6~9月の夏ですが、ハウス栽培が盛んで一年中流通しています。青じそは「大葉」と呼ばれ、主に薬味や刺身のつまに使われます。赤じその旬は6~7月頃と短く、この時期にしか出回りません。主に梅干しや紅ショウガの色付けに使われますが、これはシアニンと呼ばれる色素が酸に反応して赤くなる性質を活かしたもの。梅にはクエン酸が豊富ですし、ショウガは酢と一緒に漬け込むので、赤くなります。

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殺菌・防腐作用、食欲増進...夏にうれしい作用がいっぱい!

しそには夏の高温による食品の傷みや食中毒を防ぐ効果があることはよく知られていますが、これはしそ独特の香り成分ペリルアルデヒドによるもの。強い殺菌・防腐作用があるだけでなく、消化酵素の分泌を促して食欲増進効果があるので、食欲が落ちやすい夏にぴったりの食材といえます。他にもビタミンCやB1、B2などのビタミン類、鉄や亜鉛、カルシウムなどのミネラル類も豊富に含まれ、特にベータカロテンの含有量は野菜の中でもトップクラス。ベータカロテンは体内でビタミンAに変わり、粘膜を保護してウイルスや細菌の侵入を防いだり、強い抗酸化作用による生活習慣病予防を期待できる栄養素です。

細かく刻むと、香りも効能もアップ!

しそを選ぶときは、色が鮮やかで香りの良いものを選ぶようにしましょう。軸の切り口が変色していたり、葉が大きすぎるものは避けます。しそは乾燥に弱いので、保存するときは水で湿らせたキッチンペーパーに1枚ずつ挟むか、コップや空き瓶に水を入れ、軸の切り口をひたした状態で冷蔵庫で保存すると、比較的長持ちします。使う時にはしっかり洗い、冷水にひたすとパリッとします。また、細かく刻むほど香りが立ち、香り成分のペリルアルデヒドの効能が引き出されます

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん

スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

古くからしそには薬効があるとされ、防腐や消化促進などさまざまな目的で重宝されてきました。ビタミンやミネラルなどの栄養価も高い食材ですが、薬味として使うだけだと、あまりたくさん食べることができません。千切りにしてパスタの具にしたり、肉や魚を巻いて焼いたり揚げたり、火を通した料理にも使って、積極的に摂取するようにしましょう。特に多く含まれるベータカロテンは、油と一緒に調理すると吸収率が高まります。

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藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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