「鱒」と「鮭」の違いとは?

鱒は品種的には鮭と同様に、サケ目サケ科に属する魚です。鱒と鮭の区別はあいまいで、国や地方により区分が異なります。英語では鱒は「trout(トラウト)」で、鮭は「salmon(サーモン)」に対応し、トラウトは淡水で一生を終える魚、サーモンは海に下る魚を指すので、「鱒は淡水魚、鮭は海水魚」と考えがちですが、日本では代表的な鱒である桜鱒(サクラマス)は、海に下ります。昔は「鮭」と言えば白鮭を指し、それ以外を「鱒」と呼んで区別していたことから、鮭に近い樺太鱒(カラフトマス)も鱒に区分されるなど、あいまいになったと言われています。

写真:今回の食材

富山の名産品「鱒寿司」には桜鱒!

「鱒」と名付けられた魚類の中で、日本で最も漁獲高が多いのは樺太鱒です。60~70cmほどで、肉質が柔らかく流通に向かないのと、鮭に比べて味が落ちるとされ、主に鮭缶の原料となっています。桜鱒は淡水魚のヤマメが海に下ったもので、20~30cmほどのヤマメに比べると、60~70cmまで成長します。非常に美味で、富山の名産品「鱒寿司」に使われています。ニジマスは19世紀後半にアメリカより輸入され、養殖が現在も盛んです。琵琶湖特産の琵琶鱒も、桜鱒の一種で、海に下る代わりに湖で3~4年過ごした後に川を上ります。

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注目の栄養素・不飽和脂肪酸が豊富!

鱒は栄養成分的には鮭とほぼ同じです。海に下らない淡水の鱒が鮭よりも身が白っぽいのは、海に下った時に主に食べるエビやカニの赤い色素が少ないためです。鮭と同様に、不飽和脂肪酸であるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)が多く、DHAは脳の発達を助けると言われ、EPAには血液の流れを良くするはたらきがあり、動脈硬化などさまざまな生活習慣病を予防する効果が期待されています。また、カルシウムの吸収を促すビタミンDが多いことも特徴。鱒には、小骨ごと食べられる種類が多く、カルシウムを効率良く摂取できます。

サッパリした味わいで油と好相性!

樺太鱒の旬は、他の鮭と同じく、産卵のため川を上る秋ですが、桜鱒は桜の季節に川を上ることからその名がつけられたように、桜の時期が旬です。鱒を選ぶ時は、皮に光沢があり、模様がハッキリしているものを選びましょう。味わいは鮭に比べてサッパリしているので、ムニエルや唐揚げなど、油を使った料理に合います。比較的小型のニジマスやヤマメは身離れが良くて食べやすく、うま味が凝縮しているので、そのまま丸ごと塩焼きにするのがオススメです。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

なかなか市場に出回らず、高級魚のイメージが強い鱒ですが、実は樺太鱒は鮭の缶詰の原料として身近な存在です。缶に詰めてから、缶ごと圧力をかけて煮ているので、汁ごと食べれば栄養素の損失はありません。鱒にはカルシウムの吸収を助けるビタミンDが豊富ですが、体内でカルシウムのはたらきを調節するマグネシウムも一緒に摂取すると、さらに効率アップ。マグネシウムを豊富に含むジャガイモやブロッコリーと一緒に缶汁ごと煮付けると、カルシウム摂取にピッタリの一品になります。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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