写真:今回の食材江戸時代に庶民の飲み物に!

日本の食生活にも文化にも欠かせない存在の緑茶。遣唐使により中国から日本に伝わったのは奈良時代ごろと言われていますが、当時は超高級品で高名な僧侶や貴族のみが味わえるものでした。鎌倉時代になると禅の文化とともに全国に浸透。江戸時代になると手軽な煎茶が登場し、庶民にとっても毎日の暮らしに欠かせないものとなりました。しかし、1970年代になると、急須に入れて飲む手間がかかることから、緑茶の茶葉市場が一気に縮小。代わりに1985年に登場したのがそのまま飲める缶入り緑茶飲料で、1990年にはペットボトルも発売され、緑茶は身近な存在になっています。ちなみに海外では緑茶にも砂糖を入れて飲むのが主流で、無糖が主流の日本は世界的には珍しい存在です。

日光の照射量が種類の分かれ目

緑茶には、煎茶、玉露、かぶせ茶、抹茶、ほうじ茶などさまざまな種類がありますが、木は同じ。育て方や製法により、味わいや呼び名が変わってきます。最も一般的な煎茶は新芽から収穫まで日光を浴びせたもの。玉露と抹茶は新芽が出た直後、または収穫の3週間ほど前から日光を70~90%遮って育て、かぶせ茶は収穫の1週間ほど前から50%程度の遮光率で育てられます。日光を浴びると光合成が起きて渋み成分のカテキンが増加し、煎茶はほど良い渋みでスッキリした味に。遮光して育てられるとうまみ成分のテアニンが増加するので、玉露や抹茶、かぶせ茶は深いコクやうまみを感じる味わいになります。急須で飲む煎茶や玉露が成分が溶け出しやすいように揉みながら乾燥させて作られるのに対し、お湯に溶かして飲む抹茶は揉まずに乾燥させ、石臼で細かくひいて作られます。

写真:今回の食材

さまざまな効能が期待できるスーパー飲料

緑茶にはさまざまな効能があることが知られています。渋み成分のカテキンは、抗酸化作用と脂肪を燃焼する作用に注目が集まり、含有量を増やした飲料が次々と発売されています。加えてカテキンには殺菌作用があることも知られ、食中毒を防いだり、口内の菌の繁殖を抑えて虫歯や口臭予防にも効果があるといわれています。また、苦み成分のカフェインは眠気を防いだり、脂肪をエネルギーに変えるはたらきがあります。さらにうまみ成分のテアニンには、「ホッ」とひと息つくリラックス効果があります。

湿気・日光・高温が大敵!

茶葉は湿気・日光・高温に弱く、酸素に触れると劣化するので、買ってきたら密閉性の高い容器に入れて冷暗所で保存します。冷蔵庫保存は、他の食材の臭いが移りやすいのと、扉の開閉により、庫内と常温の温度差が生じ、露が発生して湿気を吸ってしまう恐れがあるので避けた方が良いでしょう。茶葉は保存状態が悪いと、色あせたり他の臭いが移ったりするので、買う時には色と臭いをチェック。それ以外の細かな茶葉の見極めは難しいので、保存状態が良く、新しい商品を選ぶようにすれば安心です。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

食後にスッキリしたい時、ホッとひと息つきたいとき、緑茶は日本人に欠かせない飲み物です。種類によって成分の含有量が違うので、目的に合わせて使い分けてみましょう。勉強や仕事の合間には、カフェインが多い煎茶や深蒸し茶を。リラックスしたい時には、テアニンの多い玉露がオススメです。湿気てしまった茶葉は、クッキングシートを敷いたフライパンで炒るとほうじ茶に。ほうじ茶は興奮作用のあるカフェインが揮発して少なくなっているので、寝る前の一杯にピッタリです。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

  • 前へ
  • 次へ