日本のバナナの90%はフィリピン生まれ

時間がない時の栄養補給に、ちょっと小腹が空いた時のおやつに、さっと皮を剥いて食べられるバナナは、とても便利で身近な食材です。その歴史はとても古く、紀元前5,000年ごろには原産地の東南アジアで栽培されていたと言われています。日本にやってきたのは、1903(明治36)年で、台湾から輸入されました。当初は価格が高く、庶民には高嶺の花でしたが、1963(昭和38)年に輸入が自由化されたのをキッカケに、日本市場向けに大農場(プランテーション)が開発されたフィリピンからの輸入が増え、身近な存在になりました。現在の市場に出回っているバナナの9割はフィリピンからの輸入で、国内では沖縄県や鹿児島県などごくわずかな地域で生産されています。

ブランド化される甘くておいしい「高原バナナ」

国内市場の大部分を占めるフィリピン産バナナのほとんどは「ジャイアント・キャベンディッシュ」という品種です。標高400〜1,000メートルで生産される「高原バナナ」は甘さと栄養価に優れ、「スウィーティオ」「甘熟王」などの名前でブランド化されています。日本に最初にやってきた台湾バナナはねっとりとした食感と甘さが特徴で、現在でも根強いファンがいます。長さ7〜9センチ程度の「モンキーバナナ」と呼ばれるバナナは「セニョリータ」という品種。果肉が柔らかく濃厚な味わいで、小さな子どものおやつにピッタリです。

バナナがスポーツマンに愛される理由は?

バナナはサッカー選手が試合前に食べていたり、マラソンなど長時間のスポーツ中の補食として使われたりしています。その理由は、バナナにはエネルギー源となる糖質が豊富で、果糖、ショ糖、でんぷんなどさまざまな種類が含まれるため。これらの糖質はそれぞれ消化吸収にかかる時間が違うため、食べてすぐにパワーになるうえに長時間パワーを持続することができます。さらに、バナナに豊富に含まれるカリウムには筋肉のケイレンを防ぐはたらきがあり、マグネシウムやビタミンB群は疲労回復に欠かせない栄養素。まさにスポーツにはうってつけの食材なのです。

スイートスポットは食べごろのサイン!

バナナは、全体に黄色く色づいているものを選びましょう。また、反った背中側を下にして売られていることが多く、その状態で長く置かれていると、接している部分が傷んできます。買う時には背中側が柔らかく傷み始めていないかチェックすると良いでしょう。表面に茶黒の斑点が出ていることがありますが、これは「スイート(シュガー)スポット」と呼ばれ、食べごろのサインです。まだ青い部分が残っている場合は、常温で追熟させます。反った背中を上にして置くか、軸の部分を引っ掛けて吊るす「バナナスタンド」を利用しましょう。バナナは亜熱帯地方の果実で寒さに弱いため、熟する前に冷蔵庫に入れてしまうと、追熟せずに甘くならないまま傷み始めるので、注意が必要です。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

甘くておいしいデザートとしてはもちろん、手軽なエネルギー源としても重宝するバナナは、1本でさまざまな栄養素が摂取できる優秀食材。糖質やカリウムの他にも、食物繊維が豊富で腸の動きを活発にします。また、糖質の中でも比較的消化されにくく、腸の善玉菌を増やして腸内環境を改善するはたらきがあるフラクトオリゴ糖を含んでいて、便秘や下痢などのトラブルを抑えてくれます。カロリーは1本80〜100kcal程度と、栄養価が高く腹持ちが良いわりには控えめなので、ダイエット中の方も上手に取り入れると、崩れがちな栄養バランスを保つことができます。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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