養殖が盛んな出世魚

刺身や寿司ネタとして人気のはまち。魚種としては「ブリ」で、「ハマチ」は成長途上の呼び名です。出世魚の代表格であるぶりは、関東では「ワカシ」→「イナダ」→「ワラサ」→「ブリ」、関西では「ツバス」→「ハマチ」→「メジロ」→「ブリ」、と呼ばれるのが一般的ですが、東日本でも小型のぶりをはまちと呼ぶことが多くなっています。ぶりやはまちは養殖が非常に盛んで、市場に出回るはまちの70%以上は養殖物。同じく養殖の盛んな鯛などは、卵からふ化させた稚魚を育てる方法が主流ですが、卵からの養殖法はぶりやはまちではまだ試験段階。流れ藻に付いている藻雑魚(もじゃこ)と呼ばれる稚魚を藻ごと網ですくい取り、生け簀(いけす)で育てる養殖法で生産されています。

はまちにもブランド化の波!

ぶりは「氷見ぶり」や「越前ぶり」など、高値で取引されるブランドが知られていますが、はまちにもブランド化の流れがやってきています。代表格がはまち養殖の発祥の地である香川県の「オリーブハマチ」で、オリーブの葉の粉末を混ぜたエサを20日以上与えた養殖はまちです。オリーブの葉は地中海沿岸では古くから薬用に用いられ、オリーブ葉エキスはサプリメントなどに活用されている健康素材。オリーブの葉には、強い抗酸化作用がありアンチエイジングや免疫力アップが期待できる成分オレウロペインが含まれ、この粉末を含むエサで育てられたオリーブはまちは、酸化や変色しにくい肉質になることがわかっています。さっぱりした味わいで臭みもなく、適度な歯ごたえが感じられると、人気が高まっています。

EPAの含有量はトップクラス!

はまちはぶりと同じく、脂には不飽和脂肪酸のEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富に含まれています。特に養殖はまちは、同じくEPAを多く含んだいわしをエサにして育てられるため、EPAの含有量は魚介類の中でもトップクラスです。EPAやDHAには、血中コレステロールや中性脂肪を減少させ、動脈硬化などの生活習慣病を予防したり、血液の流れを良くして脳梗塞や心筋梗塞を防ぐはたらきがあります。また、コレステロールの代謝を促進したり、肝臓の機能を強くすることで知られるタウリンも、特に血合いの部分には豊富に含まれています。

一匹物はしっかり洗うべし!

切り身のはまちを選ぶときは、血合い部分がきれいな濃いピンク色をしているものが良品です。一匹物は、目が黒く体表面の黄緑が鮮やかなもの、背中は青く腹は透明感のある白さのものを選びましょう。一匹物を買ってきてさばくときは、内臓を出して、表面や腹腔をしっかりと真水で洗います。食中毒を引き起こす可能性のある腸炎ビブリオは真水に弱く、寄生虫のアニサキスは内臓と腹腔の間にいます。どちらも熱に弱いので加熱をすれば安心ですが、刺身で食べる場合は念入りに洗ってください。また、とれたてよりも冷蔵庫で熟成させた方がおいしいと言われますが、家庭用冷蔵庫は温度が不安定なので、できるだけ早く食べた方が無難です。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

ぶりに比べて手頃な値段で手に入るはまち。ぶりと同じように、刺身や照り焼き、あら炊きにするとおいしい魚です。刺身にすると、脂のたっぷり乗った濃厚な味わいのぶりに比べてサッパリした風味で、そのまま食べるだけでなく、カルパッチョやマリネにしても合います。淡白で少々物足りなく感じた時は、しょう油・酒・みりんを合わせた調味料に漬け込んで「漬け」にするとおいしく食べられます。この調味料に粗めのすりごまを加えると、またひと味違った風味が楽しめてオススメです。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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