ピッタリ合う夫婦和合のシンボル

ひな祭りなど、日本の伝統行事にしばしば登場するはまぐりは、縄文時代の貝塚から発見される貝殻の80%を占めると言われるほど、古くから日本人に愛されてきました。二枚貝の中でも、同じ対の貝殻だけがぴったり合う特徴があることから、神経衰弱のような「貝合わせ」の遊びがうまれるとともに夫婦和合のシンボルとされ、室町時代には嫁入り道具のひとつとして、貝合わせのはまぐりの殻を入れた「貝桶」を持参する風習があったそうです。女の子の節句であるひな祭りにはまぐりを食べるのも、良縁に恵まれるようにとの願いを込めたものです。

90%以上は輸入、在来種は絶滅危惧種に指定

古くから愛されてきたはまぐりですが、水質汚染に弱いことから漁獲高が激減。現在の日本市場に流通しているはまぐりの90%以上は、中国や韓国からの輸入に頼っています。在来種のはまぐりは、淡水が流れ込む河口付近に生息しますが、今はほとんど獲れなくなり、絶滅危惧種に指定されています。国産のほとんどは「チョウセンハマグリ」と呼ばれる品種で、茨城や熊本産を中心に「地ハマグリ」として出回っています。中国からの輸入のほとんどを占める「シナハマグリ」は、本来は日本には生息していなかった品種ですが、種貝として海にばらまかれていることもあり、在来品種と交配が進んでいると言われています。

貧血が気になる女性にオススメ!

はまぐりはミネラルを豊富に含む食材です。血圧やコレステロール値を下げて生活習慣病を予防したり、肝機能を高め解毒作用があると言われるタウリンや、味覚障害の予防に欠かせない亜鉛、骨や歯の形成に関わるカルシウム、酵素のはたらきを助けるマグネシウム、貧血を防ぐ鉄など、さまざまなミネラルがバランス良く含まれています。また、ヘモグロビンを増加させて悪性貧血を予防すると言われるビタミンB12や葉酸も含まれているので、貧血が気になる女性には積極的に摂取してほしい食材です。

あふれ出す汁にうまみも栄養もたっぷり!

はまぐりを選ぶときは、殻にツヤがあり、固く閉じたもの、貝同士をぶつけると澄んだ金属音がするものが良品です。同じ二枚貝のアサリと同様に砂抜きが必要で、2〜3%の塩水につけて冷暗所で2時間以上置きましょう。調理するときは、加熱しすぎないのが最大のポイント。貝殻の中から出てくる汁にうまみも栄養もたっぷり含まれているので、潮汁や酒蒸し、ボンゴレなどで汁ごといただくようにしましょう。焼きはまぐりにするときは、蝶番(ちょうつがい)のじん帯にある小さな突起を包丁で削ぎ取ると貝殻が開くので、汁ごと食べることができます。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

うまみと栄養がたっぷり詰まったはまぐり。うまみ成分は、コハク酸やグルタミン酸、グリシンなどで、うまみだけではなく胃や腸を保護して肝機能を高めたり、安眠作用があったり、さまざまなはたらきが期待できる成分でもあります。焼きはまぐりにはレモンを絞って食べることがありますが、レモンに含まれるビタミンCははまぐりに多く含まれる鉄の吸収を助けるので、理にかなった食べ方です。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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