肉厚な原木栽培と柔らかい菌床栽培

キノコ類の中で生産量1位はえのき茸ですが、生産額1位は椎茸。江戸時代から栽培がスタートし、明治時代半ばには木に穴を開けて種菌を埋め込む原木栽培が定着したと言われています。
原木栽培の椎茸は、肉厚で歯ごたえがあり干し椎茸向き。おがくずなどを固めたものに種菌を植え付ける菌床栽培は柔らかくなめらかな食感で、主に生椎茸として流通しています。菌床栽培の生椎茸は日本中で生産されていますが、原木栽培の干し椎茸は大分県と宮崎県の生産量が日本全国の約半分を占めています。

椎茸ならではの稀少成分が豊富!

椎茸は低カロリーで多くの栄養素を含む食材です。特に豊富に含まれる食物繊維には、腸の動きを活発にするはたらきがあるので、便秘の予防や改善につながります。また、椎茸ならではの稀少成分も豊富です。エリタデニンは、血中のコレステロールの代謝を促し、動脈硬化などの生活習慣病予防に効果があると言われていますし、レンチナンは免疫力を高め、身体の抵抗力を高めることで抗がん作用があると言われ、がん治療のひとつに取り入れられているほど。その効能に大きな期待が寄せられています。さらにエルゴステロールは紫外線を受けると、カルシウムの吸収力を高めるビタミンDに変化します。

うまみと香りが増す干し椎茸

椎茸は乾燥するとうまみや香り成分が増し、保存もきくことから、古くから干し椎茸が作られてきました。水で戻して煮物などに使うのはもちろん、戻し汁もおいしい出汁となります。干し椎茸にはどんこ、香信などの種類がありますが、品種の違いではなく取引上の銘柄。どんこはかさが開き切っていない肉厚なもの、香信はかさが開いて薄いものを指します。大きな違いは食感と値段で、煮物などで椎茸の存在感を出して歯触りを楽しみたいなら高級などんこ、ちらし寿司や炊き込みご飯などで椎茸の風味を味わいたいなら手軽な香信を使うと良いでしょう。

椎茸に水分は大敵!

生椎茸を選ぶ時は、かさの開きは6〜8割程度、軸が太く短め、かさの裏のひだがきれいな白色になっているものが良品です。かさが開き切って、ひだが茶色くなっているものは鮮度が落ちています。また、椎茸は水分を嫌うので、ラップやビニール袋の内側に水滴が付いているものは避けた方が無難です。買ってきたら水分を避けるためにラップや袋から出し、新聞紙やキッチンペーパーにくるんで冷蔵庫へ。この時、軸を上にして保存すると日持ちします。また、多く手に入った時は、冷凍保存もオススメ。千切りなど使いやすい大きさにカットして冷凍し、使う時は凍ったまま味噌汁や煮物に使うと良いでしょう。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん


スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

椎茸に豊富に含まれるビタミンDは、カルシウムの吸収を高めるとともに脳神経の発達にも欠かせない栄養素。紫外線にあてる天日干しをすると、ビタミンDが増えることが知られていますが、この作用はしばらくすると元に戻ってしまいます。生椎茸はもちろん、流通している干し椎茸もほとんどは機械干しで製造されているので、食べる直前に1時間ほど日光にあてるとビタミンDが増加して効率良く摂取することができます。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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