「薩摩」は生産量No.1、芋焼酎も人気!

ほくほくした甘さで大人気のさつまいも。16世紀末に琉球(沖縄県)にやってきて、17世紀に薩摩(鹿児島県)で本格的に栽培されたことからさつまいもと名付けられました。さつまいもはやせた土地でも育つのが特徴で、江戸時代の大飢饉の際、さつまいも栽培が盛んな地域はほとんど餓死者がいなかったことから、「甘藷(かんしょ=さつまいも)先生」と呼ばれる青木昆陽が関東にも栽培を広めたことは有名な話。現在の生産量は鹿児島県がトップで全体の4割を生産し、関東地方の茨城県や千葉県などでも多く生産されています。鹿児島県産のさつまいもの多くは、特産品の芋焼酎の原料になっています。

多くの人を救った「準完全栄養食品」

飢饉や戦時中など、食糧難の際に多くの人を救ったさつまいもは、エネルギー源となる糖質を多く含み、ビタミンやミネラルも豊富で「準完全栄養食品」と言われています。さつまいもは「便通を良くする」と言われますが、これは不溶性の食物繊維であるセルロースと、さつまいもを切った時に出てくるベトベトした白い汁のヤラピンが豊富なため。セルロースは腸を刺激することで大腸の運動を促し、ヤラピンは便を柔らかくするはたらきがあります。また、さつまいもには美肌に欠かせないビタミンCも豊富に含まれます。一般的にビタミンCは熱に弱いと言われますが、さつまいもに含まれるものはでんぷんに保護されるため熱に強く、加熱しても壊れにくい特徴があり、効率的に摂取することができます。

特徴ある品種の食べ比べもおすすめ!

さつまいもには様々な品種があり、食べ比べもおすすめです。もっともメジャーな品種は、皮が濃い赤色で中身は鮮やかな黄色の「紅あずま」。甘みが強く、その甘さを活かしてお菓子にもよく利用されています。黄色いさつまいもは、抗酸化作用がありアンチエイジングが期待できるベータカロテンが豊富です。中身が赤褐色の「紫いも」は、甘みが薄くそのまま食べるよりはお菓子に利用されることが多いようです。ポリフェノールの一種であるアントシアニンが豊富で、目の機能を向上させたり、高血圧や動脈硬化などの生活習慣病予防が期待できます。強い甘みで人気上昇中の「安納いも」は、鹿児島県の種子島に古くから伝わる品種。甘味が強く、ねっとりしているのが特徴です。

見分けるポイントは、ラグビーボール?

さつまいもは9〜11月頃に収穫期を迎えますが、収穫直後のものより、2〜3ヶ月おいたもののほうが水分がほど良く飛んで甘みが増しておいしくなります。さつまいもは低温に弱いので冷蔵庫に入れず、新聞紙にくるんで常温で保存しましょう。全体にふっくらと太く、ラグビーボールのような形をしたものが良品です。また、表面の凸凹が少なく、表面がツルッとしたものを選びましょう。ひげ根が多く付いているものは繊維が多いので避けたほうが無難です。さつまいもはアクが強いので、切って調理するときは、10分ほど水につけてアク抜きをします。皮が黒ずんだところは特にアクが強いので、取り除いてください。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん

スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

さつまいもの糖質は、65〜80度の低温でじっくり熱を通すと甘みが増す特徴があります。そのため、時間をかけて加熱する焼きいもやふかしいもは、理にかなったおいしい食べ方。逆に電子レンジで一気に加熱すると、おいしさが損なわれるので注意しましょう。さつまいもの栄養分は皮や皮の近くに多くあるので、よく洗って皮付きのまま食べることをおススメします。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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