甘柿と渋柿の違いは?

「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」など、多くの句や慣用句に登場する柿は、東アジア原産で日本でも古くから親しまれてきました。柿が赤く色づいた実をつけた光景は、日本の秋の風物詩です。
柿の品種は甘柿と渋柿に大きく分けられ、違いは渋み成分のタンニンが口の中で溶けるかどうか。溶けない「不溶性タンニン」が含まれているのが甘柿、溶け出す「可溶性タンニン」が含まれているのが渋柿で、渋柿はそのままではタンニンの渋みで食べることができません。そのため、渋柿はアルコールや炭酸を使って渋抜き処理をしてから市場に出荷されます。甘柿の主要品種は柔らかい富有柿やシャキシャキした次郎柿、渋柿は甘みの強い平核無(ひらたねなし)柿で、「富有はあごで食べ、次郎は歯で食べ、たねなしは舌で食べる」と言われる食感の違いがあります。

医者が青くなるほど栄養豊富!

「柿が赤くなると医者が青くなる」と言われるほど、柿は栄養豊富。まずビタミンCは、イチゴやレモンにも劣らない含有量で、大きめの柿1個で1日に必要なビタミンCを摂取することができると言われています。喉や鼻などの粘膜を強くするビタミンAも豊富なので、柿が旬を迎える10〜12月の風邪を引きやすい時期は、免疫力を高めるビタミンCとの相乗効果で風邪予防には最適です。また、「2日酔いには柿が効く」と聞いたことはありませんか?渋み成分のタンニンにはアルコールを分解する作用があり、利尿作用があるカリウム、肝臓の働きを助けるビタミンCも豊富なため、お酒好きな方には心強い存在です。

果実だけじゃない!柿の用途は多種多様!

柿は実を食べるだけでなく、いろいろな用途に活用されています。未熟な渋柿から作られる「柿渋液」は防水作用がある塗料として、和傘や衣類に塗られてきました。近年は天然塗料として再び注目を集めています。また、柿の葉はビタミンB、C、K類を含み、血管を強化し止血作用があるとされ、柿の葉茶などに用いられます。また、殺菌効果もあることから、押し寿司を柿の葉で巻いた「柿の葉寿司」は柿の産地である奈良の郷土料理として有名です。柿のヘタを乾燥させたものは「シテイ」と呼ばれ、高級な漢方として重宝されています。

柿の選び方・保存法のポイントは「ヘタ」!

柿を選ぶ時は、ヘタを見るのがポイント。ヘタが果実に張り付き、隙間がないものを選びましょう。ヘタと果実に隙間があると、そこから虫が入り込んでいる可能性があります。また、皮に張りとツヤがあり、持ってみてずっしりと重いものが良品です。柿は常温ではすぐに柔らかくなってしまうので、冷蔵庫で保存します。1週間ほど日持ちしますが、ヘタが乾燥することで傷んでくるので、ヘタを濡らしたティッシュなどで覆ってから冷蔵庫に入れると、さらに日持ちします。柔らかくなりすぎた柿は、ピューレ状につぶして冷凍すれば、シャーベットとして楽しむことができます。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん

スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

柿は古来から身体に良くておいしい食材として重宝されて来ました。渋柿を干すことで渋抜きした干し柿は、甘みが生柿の4倍以上、ビタミンAも2倍以上になり、少量でエネルギーが補給できますので、疲労回復にはピッタリです。ただし、ビタミンCは損なわれますので注意してください。また、渋み成分のタンニンは、アルコール分解作用や抗酸化作用などの効能がありますが、鉄分の吸収を妨げる作用もあります。貧血気味の方は食べ過ぎに注意しましょう。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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