日本のトマトは「ピンク」が主流!?

世界中でもっとも生産量の多い野菜であるトマト。そのまま食べるのはもちろん、缶詰や瓶詰めの加工品、ソースやケチャップなどの調味料など、様々な用途で使われています。トマトは色で赤系、桃系、緑系に分けられ、日本には17世紀半ばに赤系トマトがヨーロッパから伝わってきましたが、甘みが薄く独特の臭いがある赤系はあまり日本では好まれず、当初は観賞用でした。食用となったのは、臭いが薄く甘みが強い桃系の品種改良が進んでから。特に、流通段階で崩れにくい完熟品種として開発された桃系の「桃太郎」は、皮が薄くみずみずしい甘さを持ち生食にピッタリなので、人気No.1の品種に成長しました。中でも塩分の高い干拓地の土壌で栽培される熊本県八代地域の「塩トマト」は、特に甘く風味の良いトマトとして注目を集めています。

赤い色素リコピンパワーに注目!

「トマトが赤くなると医者が青くなる」と言われるように、トマトは栄養価の高い食材です。風邪予防や紫外線対策に欠かせないビタミンCや、体内の余分な塩分を排出するカリウムなど、暑い季節にうれしい栄養素を多く含みますが、特に注目されているのはトマトの赤い色素成分であるリコピン。リコピンは緑黄色野菜に多く含まれるベータカロテンの仲間ですが、さまざまな生活習慣病の原因となる活性酸素を抑える抗酸化作用が非常に高いと言われています。ガンのリスクが減る、動脈硬化の予防に効果が認められるなど、多くの研究結果が発表されています。

赤くなるほど、栄養も風味もアップ!

トマトは日光を多く浴びるほど赤くなり、栄養も風味もギュッと凝縮します。また、一日の寒暖差が大きいほど、糖度が上がり甘くおいしくなるので、実は真夏は糖度が上がりにくい季節。そのため、春や秋は温暖な地域、真夏は高原などの涼しい地域のトマトの味が良くなると言われています。トマトを選ぶときは、丸くて皮がピンと張ってツヤがあり、持つとずっしりと重いものが良いでしょう。また、ヘタが緑色でツンと立っているものは鮮度が良く、しおれていたり、黒ずんだり、黄色くなったものは鮮度が落ちてるので避けましょう。また、ヘタ付近にひび割れが入っていると、そこから鮮度が落ちて腐ることもあるので避けた方が無難です。

そのまま使えて便利な冷凍トマト

買ったトマトは、まだ青いところが残っている未熟なものならば、全体が赤くなるまで常温で追熟させます。完熟したトマトは、温度が高いと栄養素が減ってしまうので、ポリ袋などに入れて冷蔵庫の野菜室でヘタを下にして保存します。皮が気になる場合は、サッと熱湯をくぐらせて皮を湯剥きすると良いでしょう。
たくさん手に入ったときは、冷凍保存して加熱調理に使うのがおススメ
です。丸のまま冷凍しても、刻んだりピュレにしてから冷凍しても大丈夫。丸のまま冷凍するときは、凍ったトマトの皮は簡単にむけるので湯むきの必要はありません。凍ったトマトはそのまま加熱すれば、すぐに煮崩れるので便利です。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん

スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

トマトに含まれるリコピンは、熱に強い成分。トマト缶などの加工品にも多く含まれているので、たっぷり摂取したい場合は加工品を上手に利用してください。一方、ビタミンCや水溶性食物繊維のペクチンは熱に弱い成分なので、効率良く摂取したいときはサラダなどの生食が向いています。また、トマトは旨み成分のグルタミン酸が豊富なので、シチューやカレーの煮込み料理に加えると、旨みが増してワンランク上の味わいになります。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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