「入梅鰯」と呼ばれる梅雨が旬!

鰯は日本人にとって最もなじみ深い魚のひとつ。生の刺身でも、焼いても煮てもとてもおいしく、さらに幼魚は煮干しに、稚魚はしらす干しやちりめんじゃこになります。日本だけでなく、世界中でも大切なたんぱく源として重宝され、そのまま食べるのはもちろん、保存食のオイルサーディンやアンチョビなどにも加工されています。鰯には多くの種類がありますが、中でも真鰯はどんな調理法にも合い、旬を迎えると脂が乗りトロッとした口あたりになります。梅雨の時期に獲れる真鰯は「入梅鰯」と呼ばれ、脂が乗り特に美味。水揚げ量日本一の千葉県銚子市では、「入梅鰯まつり」が開かれるほど人気を集めています。

脳と骨に効き目あり!?

鰯は脂が乗った魚ですが、この脂は不飽和脂肪酸で身体にいい成分が多く含まれています。脳細胞を活性化させると言われるDHAや、肝機能を活性化し中性脂肪を低下させるはたらきが期待できるIPA(EPA)が豊富で、特に血合いの部分に多く含まれています。また、骨や歯をつくるのに欠かせないカルシウムも豊富ですが、このカルシウムの吸収をよくすると言われるビタミンDの含有量も多いので、効率よくカルシウムを摂取することができます。脳と骨に良い成分が含まれているので、育ち盛りの子どもや骨粗鬆症が気になる中高年の方にもおススメの食材です。ただし、脂が乗っている分、カロリーは高めですので、体脂肪が気になる方は食べすぎに注意してください。

しっかり洗うと鯛の味!?

鰯を選ぶときは、身に張りとツヤがあり、太っているものを選ぶと良いでしょう。身体全体が青っぽく、目が黒くてきれいなものが新鮮です。鰯は「魚に弱い」と書くように、鮮度が非常に落ちやすいのが特徴。買ってきたらできるだけ早く内臓を抜いて、その日のうちに食べきるようにしますが、煮付けなど加熱調理したものは2〜3日は冷蔵庫で保存できますし、3枚におろして甘酢に漬けると、翌日は酢じめのマリネとして楽しめます。「鰯七度洗うと鯛の味」と言われるように、内臓を抜くときは、しっかりと身を洗うようにすると、鰯特有の生臭みを抑えることができます。

トマトとの食べ合わせ抜群!

新鮮な鰯は刺身や塩焼きなど、シンプルな食べ方が一番ですが、鰯の臭いが苦手な場合はショウガや梅干し、酢と一緒に煮ると気になりません。特に梅干しや酢など、酸味のあるものは、骨を柔らかくするはたらきもあるので、カルシウムをたっぷり摂ることができます。また、和食だけでなくトマトと合わせる地中海地方の食べ方もおススメ。トマトの酸味が鰯のクセを抑えるだけでなく、トマトには鰯の脂の酸化を防ぐはたらきがあり、栄養的にも理にかなっています。手開きや3枚におろした鰯にトマトソースと粉チーズをかけてオーブンで焼くと、簡単グラタンの出来上がりです。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん

スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

鰯は手ごろな価格でいろいろな調理法で飽きずに食べることができる、お財布にうれしい食材です。日持ちしないのが欠点ですが、多く手に入った場合は、オイルサーディンやアンチョビにすると長期保存できます。オイルサーディンは下ごしらえした鰯を油で煮るだけ、アンチョビは塩漬けした鰯をオリーブオイルで漬け込みます。意外と簡単にできるので、挑戦してみてはいかがでしょう。また、鰯は栄養豊富ですが、プリン体が多いので尿酸値が気になる方は注意が必要です。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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