お祝いの席に欠かせない魚の王様!

美しい姿と上品な味わいで、日本では「魚の王様」として君臨する鯛。一般的に「鯛」と言えば、赤色の「真鯛」を指します。鯛は、縄文時代の遺跡から骨が出土するほど、古くから愛されてきた魚です。鯛が魚の中でNo.1の地位を獲得したのは江戸時代以降。ヒレにトゲが並び、硬いウロコに覆われた勇壮な姿が武士にもてはやされ、邪気を払うとされる赤色の鯛は、お祝いの席に欠かせない食材となりました。真鯛の旬は産卵期直前の3~5月で「桜鯛」と呼ばれ重宝されますが、逆に産卵後は「麦わら鯛」と呼ばれて味が落ちます。産地によっては鯛がブランド化しているところもあり、兵庫の「明石鯛」、高知の「鳴門鯛」が有名です。

「エビで鯛を釣る」は事実だった!

人気の高い鯛は、養殖も盛ん。高価な天然物に比べて、手頃な価格で販売されるので、今ではスーパーの店頭でも鯛を気軽に買えるようになりました。天然の鯛に比べ、養殖の体色は黒っぽいのが特徴です。「エビで鯛を釣る」という言葉がありますが、本物の鯛の好物もエビ。天然鯛の赤色は、好物のエビやカニの赤色のもとであるアスタキサンチンという色素なので、人口餌を使うことが多い養殖鯛はこの赤色が出にくくなります。鯛は、長生きの魚で40年も生きることもあると言われ、体長も1m以上になることも。しかし、美味とされるのは40~50㎝で、身が厚く太っているものが良いでしょう。目が澄んでいて、目の上のウロコが青っぽく輝いているのが新鮮です。

身体にやさしい栄養素がいっぱい!

鯛は高タンパク低脂肪でヘルシーですが、身体に嬉しい栄養素がたっぷり含まれる栄養的にも優秀な食材。身体をつくる良質のたんぱく質や、糖質の代謝を促し疲労回復に欠かせないビタミンB1も豊富に含まれています。また、血中コレステロール値を低下させ、血圧を正常に保つ効果が期待できるタウリンも豊富。悪玉コレステロールを減らす作用が期待できるナイアシンも豊富に含まれているので、生活習慣病が気になる方でも安心して食べることができます。また、消化吸収が良いので、子どもやお年寄り、病後の方にもおススメです。

鯛は一匹まるごと食べ尽くそう!

「腐っても鯛」という言葉がありますが、これは鯛が魚介類の中では比較的保存が利くことに由来します。鯛にはうま味成分のイノシン酸が豊富に含まれ、このイノシン酸は分解速度が遅いため腐敗の進行が遅く、味が落ちにくいのです。刺身が余った場合は、昆布に包んで冷蔵庫に置くと「昆布締め」として、ひと味違ったおいしさを楽しむことができます。また、鯛は「捨てるところのない魚」と言われ、身あらやアタマは塩焼きや煮付けに、中骨から出汁を取ってスープに、皮も湯通ししてポン酢との和え物に、など、いろいろな料理に使うことができます。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん

スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

鯛は、近海の岩場に生息しています。回遊魚であるイワシやサバなどの青魚は筋肉量や血液が多いために身が赤くなりますが、運動量の少ない鯛は筋肉量が少なく、あっさりした白身の魚です。しかし、実は鯛には青魚に多く含まれる不飽和脂肪酸のDHAやEPAが多く含まれます。DHAやEPAは、血液をサラサラにするなど、多くの有効な作用が期待できる栄養素。特に身あらやアタマの部分に多く含まれているので、栄養的にも捨てるところなく鯛をいただきましょう。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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