弥生時代から食べられていた歴史ある食材

夏が終わりに近づくと、店頭に並び始める梨。梨には多くの品種があり、早生種から晩生種まで8〜11月にかけて、いろいろな梨を楽しむことができます。梨の歴史は古く、弥生時代の遺跡から梨の種が見つかり、江戸時代には盛んに栽培されていたという記録が残っています。明治時代には神奈川県川崎市で「長十郎」、千葉県松戸市で「二十世紀」が発見され、長い間代表的品種として栽培されてきました。現在はよりみずみずしく甘い梨が好まれ、品種改良が繰り返されています。

人気No.1は赤梨系の「幸水」

梨は大きく分けて皮の色が黄褐色の「赤梨系」と、黄緑色の「青梨系」に分かれます。今日ではみずみずしく果肉が柔らかい「赤梨系」が人気で、最も多く栽培されている「幸水」は、生産量の約40%を占めます。2番手の「豊水」も約25%ですが、近年人気があがっているのが、秋が深まると出回る大型の「新高(にいたか)」。大きいものは1キロにもなり、酸味が少なく、風味豊かな香りが特徴です。「青梨系」の代表格である「二十世紀」の産地No.1は、生産量の半分を占める鳥取県。「鳥取二十世紀梨記念館」があるほど、県の特産品として根付いています。

便秘に悩む女性にピッタリ!

梨の成分は、100gあたり88gが水分で、ビタミンもあまり含まれず、栄養価が高い食材とはいえません。ですが、梨特有のシャリっとした食感には食物繊維が比較的多く含まれ、甘み成分の「ソルビトール」には便を柔らかくする効果があるので、便秘解消が期待できます。また、体内の余分な塩分を排出するカリウムも豊富なので、高血圧が気になる方にはピッタリ。気になるカロリーも、食べ応えがある割には、果物の中では比較的低いので、安心して食べることができます。

どっしりしたお尻がおいしさのポイント!?

梨は枝側よりもお尻の部分の方が甘い傾向があるので、選ぶときはお尻がどっしりとした扁平の形をしたものがおススメ。また、同じ大きさなら重みがあるほうが水分が多く、ジューシーです。保存する時は、水分が蒸発しないようにビニール袋に入れて、冷蔵庫の野菜室で保存を。冷やしすぎると甘みを感じなくなるので、注意が必要です。「幸水」、「豊水」は日持ちがしないので、早めに食べきるようにしましょう。一方、「新高」は日持ちしますが、切るとまだガリガリして若いときも。その場合は、切った後でもラップをして冷暗所か野菜室でしばらく追熟してから食べると、ガラッと変わった風味を楽しむことができます。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん

スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

たっぷりの果汁が特徴の梨は、残暑の厳しい時期から出回ります。ほとんどが水分なので、暑い日の水分補給にはうってつけの果物です。また、梨には「プロテアーゼ」というタンパク質分解酵素が含まれているので、すり下ろした梨に肉を漬け込んでおくと肉が柔らかくなります。韓国料理には梨を使うレシピが多く、焼き肉やプルコギの漬けだれには、肉を柔らかくする甘みのある調味料のひとつとして、梨のすり下ろしが含まれていることが多いのです。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

  • 前へ
  • 次へ