ことわざや言い伝えが多く残る、なじみ深い野菜

初夢の縁起物としての「一富士・二鷹・三なすび」など、なすにはことわざや言い伝えが多く、古くから日本の生活に深くなじんでいる野菜です。一年中店頭で見かけることができますが、原産地は熱帯地方のインドと言われ、高温多湿の気候を好み、夏から初秋に旬を迎えます。日本では高知県や熊本県の生産量が多いですが、中国やインドでの生産量は日本の10倍以上。日本で栽培される品種のほとんどは皮が紫色をしていますが、海外では白や黄緑、縞模様のなすも栽培されています。

「秋なすは嫁に食わすな」は、体を冷やすから!?

なすはほとんどが水分で、目立った栄養はありません。しかし、体を冷やす作用があり、「秋なすは嫁に食わすな」という言い伝えは、「なすは体を冷やすので、涼しくなり始める秋にお嫁さんが体調を崩さないように」という気遣いを表していると言われています。逆に言うと、暑い日にほてった体を冷ますには、なすはうってつけの食材です。また、なすの皮の紫色の成分はナスニンという色素で、赤ワインにも含まれるポリフェノールの一種。抗酸化作用があり、発ガンや老化の抑制など、さまざまな効果が期待できる貴重な成分なので、なすの皮はむかずに食べるのがオススメです。

トゲがとがって痛いほど新鮮!

なすの鮮度を見分けるのは、ヘタのトゲ。痛いほど硬くとがり、ヘタの切り口がみずみずしいものが新鮮です。また、表面はツヤとハリがあり、皮の色が鮮やかなものが良いでしょう。買ってきたら、水分がとばないように、ラップに包み冷蔵庫の野菜室へ。5度以下になると低温障害を起こして傷みが早くなるので、冷やしすぎないように注意します。涼しい季節や冷暗所がある場合は常温で保存し、できるだけ早く食べきるようにしましょう。

油で調理すると、おいしさ倍増!

焼いても蒸しても煮ても揚げてもおいしく、さっぱりした和風でも、こってりした中華でも、トマト味などの洋風にもぴったりと、用途の広いなす。特に炒め物や揚げ物など、油との相性は抜群で、紫色が鮮やかで見た目にも食欲をそそり、トロッとした独特の食感がクセになる味わいです。なすにはアクがあり、切るとすぐに変色するので水にさらしますが、油で調理する場合はアク抜きの必要はありません。煮物にする場合も、油で軽く炒めてから煮込んで調味した方が、色鮮やかでコクのある仕上がりになります。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん

スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

なすは夏を感じさせる野菜です。肉と一緒に炒めてスタミナ源にしたり、ひんやりとした漬け物や焼きなすで体を冷ましたり、登場回数が夏になるとグッと多くなります。揚げ物や炒め物がおいしいなすですが、もともとは低カロリーでヘルシー食材でも、油をよく吸収するので、体重が気になる方は食べ過ぎに注意が必要。油を使わない焼きなすや蒸しなすならば低カロリーで安心して食べることができます。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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