「春の使者」と呼ばれる歴史ある食材

冬が終わり雪解けが始まる頃、いっせいに芽を出すことから「春の使者」と呼ばれている「ふきのとう」。日本原産と言われるふきのとうの歴史は古く、縄文時代から食べられていて、平安時代にはすでに栽培が始まっていた、と伝えられています。独特の苦みと香りがあるふきのとうは、キク科の植物「蕗(ふき)」のつぼみで、花が咲いた後には地下茎から伸びる葉(ふき)が出てきます。花が咲くと食用にはできないので、ふきのとうの収穫時期はほんのわずか。早春に収穫される山菜の代表格で、明確な旬を感じさせる数少ない食材です。

女性にうれしい「デトックス効果」!

ふきのとうは蕗よりもミネラルやビタミンの含有量が多く、栄養たっぷり。特に、抗酸化作用があり、女性ホルモンの分泌に深くかかわるとされるビタミンEが豊富で、更年期障害や肌の衰えを予防するはたらきが期待できます。また、ナトリウム(塩分)や老廃物を体外に排出する「デトックス効果」を期待できるカリウムも豊富に含まれるため、足や顔のむくみを軽減したり、高血圧などの生活習慣病予防に効果があるとされています。便秘予防に欠かせない食物繊維も豊富なので、女性にはうれしい栄養素が多く含まれている食材です。

苦みと香り成分に秘密あり!

ふきのとう独特の苦みや香り成分は、新陳代謝を活発にするはたらきがあり、冬眠から目覚めた熊が最初に口にして身体を活発化させる、と言われるほどです。苦み成分は「フキノール酸」「ケンフェロール」「アルカロイド」などのポリフェノール類で、フキノール酸は咳止めや花粉症予防に効果があるとされ、サプリメントが発売されるほど注目を集めています。また、香り成分は「フキノリド」と呼ばれ、消化液の分泌が促進されて消化を促進し、胃を丈夫にして腸のはたらきを整えると言われています。

おいしく食べるには下ごしらえがポイント!

陽にあたっていないふきのとうは色が黄色っぽく、苦みが少ないので、そのまま天ぷらにしたり、炒め物にして食べることができます。陽にあたると緑がかった色になり、苦みとアクが出てくるので、下ごしらえが必要。沸騰したお湯に重曹を少々加えてしんなりするまでゆで、冷水に取ります。冷水にさらす時間によってアクの抜け具合が違ってくるので、苦みを楽しみたい場合は30分ほど、しっかりと苦みを抜きたい場合は何度か水を取り替えながら2〜3時間さらすと良いでしょう。収穫して時間が経つほどアクが強くなるので、買ってきたらできるだけ早く下ごしらえをするのがコツです。胡麻和えや味噌やみりんと一緒に炒めた「ふきのとう味噌」など、コクのある味付けが苦みに合います。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん

スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

独特の苦みや香りがあるふきのとうですが、この苦みや香り成分にはさまざまな効能が期待できることがわかってきています。フキノール酸だけでなく、ケンフェロールには免疫力アップの効果が期待できるとされています。また、アルカロイドはほろ苦い春の山菜には共通して含まれる成分で、腎臓のろ過機能を高めて体内の有害な物質を排出したり、肝臓の機能を高めるはたらきがあると言われています。ただし、この植物性アルカロイドは大量に摂取し過ぎると下痢などを起こすことがあるので、食べ過ぎには注意してください。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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