旬の冬になると、味も栄養価もぐんとアップ!

おひたしや胡麻和えなどの和食から、ソテーやグラタンなどの洋食まで、鮮やかな緑色と甘みのある味わいが人気のほうれん草。現在市場に出回っている青果のほうれん草のほとんどは国産です。特に千葉県や埼玉県など、首都圏近郊で栽培が盛んで、ハウス栽培技術の発達もあり一年中店頭で見かけることができますが、旬は寒い冬。ぐっと甘みが増し、栄養価も高まります。
収穫前にあえて寒さにさらす「寒じめ栽培」と呼ばれる製法で育てられたのが「ちぢみほうれん草」で、葉の表面に縮んだようなシワが入り、ギュッとうまみと甘みが凝縮されています。冬のわずかな期間にしか出回らない「旬の味」です。

ビタミンAとCの相乗効果で風邪を予防

主人公がピンチに陥った時にほうれん草を食べると、みるみる元気が沸いてきてパワー全開!そんなアメリカの人気アニメ「ポパイ」で描かれていたように、ほうれん草は栄養豊富な野菜として知られています。特に豊富なのがビタミンA(βカロテン)で、100g(約5〜6枚)で一日分のビタミンAを摂取できるほど。ビタミンAは、皮膚や粘膜を健康に保つとされ、粘膜から風邪のウイルスに感染することを防ぎます。
また、ほうれん草は風邪のウイルスに対する抵抗力を高めるビタミンCも豊富に含まれているので、風邪が流行しやすい冬には欠かせない野菜といえます。

貧血予防にはうってつけの食材

ほうれん草にはビタミンだけでなく、ミネラルも多く含まれます。まず、貧血予防に欠かせない鉄分が豊富。含有量は小松菜よりも若干少なめですが、鉄分の正常なはたらきを助けると言われる葉酸、鉄分の吸収を促進するビタミンCもほうれん草には豊富なため、効率的に鉄分を摂取できます。葉酸は、赤ちゃんが胎内で育つのに欠かせない栄養素とも言われているので、妊婦の方には必須の栄養素でもあります。
さらに、骨を丈夫にすると言われるマグネシウムやカルシウム、など、不足しがちな栄養素も豊富に含んでいます。

下ゆではスピード勝負!

日本で出回っているほうれん草は、大きく分けて東洋種と西洋種があります。東洋種は歯が薄く切り込みが細かく入り、アクが薄く根元が赤いのが特徴で、さっとゆでたおひたしや胡麻和えに向いています。西洋種は葉が熱く丸みを帯びた形で、しっかりとしているのでバター炒めやクリームソースのグラタンやシチューに向いています。
ほうれん草は葉からどんどん水分が蒸発してしおれてしまうので、買ってきたら濡れた新聞紙やキッチンペーパーに包んで、冷蔵庫に立てて保存を。下ゆでする際は、塩を少々入れて沸点を高くしたお湯に、根元から入れて葉がしんなりしたらすぐに引き上げましょう。水にはサッとくぐらせる程度で大丈夫。あまり長く水にさらすと、風味と共に栄養価も溶け出してしまうので要注意です。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん

スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

栄養豊富な野菜として知られるほうれん草ですが、旬の冬とそれ以外の季節では栄養価が大きく異なります。たとえばビタミンCは、現在の「日本食品標準成分表」では冬採りのほうれん草のビタミンCは夏採りの3倍も含まれています。旬の冬にこそたくさん食べたい野菜です。ほうれん草のアク成分であるシュウ酸は、カルシウムの吸収を妨げ尿管結石などの一因になると言われますが、ゆでるとお湯に溶けだしてしまうので、下ゆでしてから食べれば問題ありません。最近出回っているアクの少ない「サラダほうれん草」は、シュウ酸の含有量も少ないので、安心して生で食べてください。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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