ふぐと並ぶ冬の味覚の代表格!

あんこうは古くから「東の鮟鱇、西の河豚(ふぐ)」と称される冬の味覚の代表格。水深100メートル以下に生息する深海魚で、平らな体に大きな上向きの口を持ち、ユーモラスな姿をしていますが、さっぱりとした上品な味わいです。
あんこうのオスはメスに比べて非常に小さく、食用として市場に出回っているのは、ほとんどがメス。身肉をはじめ、皮、水袋(胃)、肝(肝臓)、とも(ひれ)、ぬの(卵巣)、えら、のすべてを食べることができ、「あんこうの七つ道具」と呼ばれています。あんこうは皮がヌルヌルして水分が多く、まな板では捌きにくいため、あごから吊るして体内に水を入れながらさばく「吊るし切り」で解体されます。

たくさん食べても安心!身肉は低カロリー

さっぱりした味わいのあんこうの身肉は、"高たんぱく低カロリー"。また、プルプルした皮は、美肌に欠かせないコラーゲンをたっぷり含んでいますので、体重や美容の気になる女性にとってはうれしい食材です。
また、あんこうはビタミンB12、B2、B6などのビタミンBが多く含まれています。ビタミンB12は、赤血球の正常な生成に欠かせない成分で、不足すると貧血の原因に。また、精神の安定にもつながるビタミンなので、イライラや記憶力低下の予防のためにも積極的に摂取したい成分です。ビタミンB2とB6は肌荒れや口内炎予防が期待できます。

「海のフォアグラ」は栄養も満点!

「あんこうの価値は肝で決まる」と言われるほど、肝臓の「あん肝」のおいしさは格別。冬になると、産卵を控えたあんこうは、肝にたっぷりの脂肪を蓄え「海のフォアグラ」と称されるほど濃厚な味わいになります。この脂肪は青魚と同様にDHAやEPAなどの不飽和脂肪酸が含まれるもので、コレステロール値を下げたり、血液をサラサラにしたり、生活習慣病の予防を期待できます。
さらに、あん肝には皮膚や粘膜を保護し、肌に潤いを与えると言われるビタミンAや、ビタミンD、ビタミンB12、ビタミンEも豊富に含まれ、濃厚な味わいと同じく、栄養面でもぎっしり濃縮された食材です。

「七つ道具」の食感や味の違いを楽しもう!

あんこうを店頭で選ぶときは、身肉が淡いピンクで透明感のあるものを選ぶようにしましょう。あん肝は、ツヤがありプリプリしたものが新鮮です。あんこう料理で真っ先に思いつくのが「あんこう鍋」。身肉だけでなく、肝や皮などの「あんこうの七つ道具」を主な具材とし、野菜とスープと一緒に煮込み、部位ごとの食感や味の違いを楽しめます。
あんこうの産地で漁師料理として食べられてきた、「どぶ汁」もおすすめ。肝をまず乾煎り(からいり)したところに、あんこうの他の部位と野菜を入れて、水を入れずにあんこうと野菜の水分だけで煮込み、味噌で味付けをする調理法で、濃厚なコクのある味わいとなります。

スペシャリストが直伝!美味食材アドバイス

写真:藤森明子さん

スペシャリストが直伝!
美味食材アドバイス

あんこうは江戸時代から「三鳥二魚」(鶴、雲雀(ひばり)、鷭(ばん)、鯛、あんこう)と呼ばれるもっともおいしい5大珍味のひとつに数えられていたほど、そのおいしさは最高級クラス、と位置付けられてきました。栄養的には低カロリーなうえ、脂質をエネルギーに変えるために必要なビタミンB2とB6が豊富に含まれているので、ダイエットが気になる女性には最適の食材です。ただし、あん肝は脂肪が多く含まれている分、高カロリー。痛風の原因と言われるプリン体も多く含まれているので、体脂肪が高い人や尿酸値が高い人など、生活習慣病が気になる人は多量に食べすぎないように注意しましょう。

写真:藤森明子さん

藤森明子さん

食品メーカーに勤務後、料理教室の講師を経験。その後は栄養士として勤務。
1995年に管理栄養士を取得。
現在はマダムマーサ・クッキングスタジオや調理師専門学校の講師、食品メーカーの試食作り、食育イベント、保健指導などで活躍中。

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